- Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480089298
感想・レビュー・書評
-
日本の歴史の諸相を批評的に見つめ直し、無根拠に信じられてきた通説に再考を促しつつ、日本の社会史に新たな光を当てる。必読書ではないかもしれないが、良書と言える。
興味深かったのは、特殊な職能民への畏怖が、社会が変化するにつれて蔑視・差別へと変質していったという考察。差別とケガレ意識は一筋縄ではいかない、重層的な問題だと感じた。
歴史の死角に光を当て、非農業民たちの、重商主義的な、文化の多様性に富んだ、海洋国としての「日本」を描き出す。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これよんでムラの本質ってなんだ?ってことに興味を持った。
-
網野史学。
-
前半は興味深かかったが、後半は説明が細かく読むのに疲れた。
-
百姓≠農民というのが非常に分かりやすかった。重商主義的な国家は専制的であるというのは、なかなか新しい発見だった。1990年以降の中国や55年体勢時の日本やアメリカの大統領制などもそうなのかしらんと思ったり。
-
自分が中高生の頃に習ってきた日本史とどのように異なるのだろうかと思い、手に取りました。
本書を読んだことで、歴史のイメージがガラッと変わりました。各時代を一度通しで学んだ後こそ、本当の歴史の勉強のはじまりであるのだということを感じました。
特に、「貨幣経済」「金融」というテーマは、経済学部に属していたこともあり、興味深く読むことができました。
「史(資)料批判」の精神を改めて勉強させていただきました。 -
網野先生の名著のひとつ。もともとジュニア向け新書シリーズの一冊として書かれたものだけに、文体も平易でわかりやすい(文庫化にあたり「続・日本の歴史を〜」との合本がなされており、いろいろお得)。必読。
わかりやすいが、そこは網野先生の著作だけに内容は濃く深く、教科書や授業では習わない、もちろん入試にも出ない歴史と文化の側面が盛りだくさん。なにより面白い。これ重要。
学校で習った歴史は致命的につまらなかった(もちろん主観。でも、あまりに面白くないので文系なのに日本史を選択しなかったくらい嫌いだったのだ)が、こうして丁寧に掘り下げてある本との出会いってほんとにすごい。
日本は稲作中心の農村文化だと何も考えずに思い込んで、というか教えられていた「知識」や固定観念がいかに表面的で浅薄なものであったか、もうそれだけでひっくり返ること請け合い。
大人を含めたわれわれが歴史について知り、学ばなければならないのはなぜかが本書を読むことでわかる。
日本固有の歴史ガーとか伝統ガーとか言ってる人たちも虚心坦懐にこういう本を読むといいと思うよ。絶対読まないだろうけど。 -
色々な意味で発見があった本だった。
学校で学んだ日本史というものがある一面から見たものでしかないということはわかってたが、具体的にどこがそうなのかということを教えられた。
有名な事件、例えば建武の新政は一般的には後醍醐天皇が、宋学に基づいた皇帝独裁を指向したため起こったと解されているが、内実はそんな単純なものではない。貨幣経済化の進行に伴って力をつけた商業勢力が、農業勢力を代表する幕府に対抗する目的があったこと。しかも幕府の中でも得宗である北条氏は、むしろ商業勢力を基盤に置いており、農業勢力である御家人とは対抗関係にあったため、後醍醐天皇のは経済権益争いの側面が強いことなど。
ここらへんは「異形の王権」に詳しく書かれていると思う。」 -
高倉さんに頂いた本