北欧の旅 (ちくま文庫 ち 8-4 カレル・チャペック旅行記コレクション)

  • 筑摩書房
3.16
  • (4)
  • (11)
  • (32)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 383
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424983

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • デンマーク、スウェーデン、ノルウェーと、およそ75年前の北欧をめぐる旅の記。荒涼としたしかし力強い(人間を含めた)自然の美が、シンプルで丁寧なイラストを添えて記されている。

    旅行記といっても、見聞きした物事のみにとどまらないところがチャペックならでは。特に、白夜の世界を時間の観念が失われる領域として描く章に、叙事詩のような幻想性がありとてもよかった。

    • なつめさん
      nyancomaruさん
      『イギリスだより』も面白そうですね。さっそく読みたい本リストに入れました
      nyancomaruさん
      『イギリスだより』も面白そうですね。さっそく読みたい本リストに入れました
      2012/09/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ご存知かと思いますが、チャペックはエッセイから童話、SF、哲学的小説と多岐に渡った執筆をされています。どれも素晴しいので、是非色々お読みくだ...
      ご存知かと思いますが、チャペックはエッセイから童話、SF、哲学的小説と多岐に渡った執筆をされています。どれも素晴しいので、是非色々お読みください。
      2012/09/10
    • なつめさん
      nyancomaruさん
      はい。チャペックを読んだのは、痛くなった歯を抜く村の人の話だか随筆だかを大昔に読んで以来でした。
      nyancomaruさん
      はい。チャペックを読んだのは、痛くなった歯を抜く村の人の話だか随筆だかを大昔に読んで以来でした。
      2012/09/11
  • 80年くらいの前の北欧旅行記。船旅がメインのこの本、今は何となくオシャレで素敵なイメージしかない北欧の国々は、厳しい自然の中で様々な歴史を経てきたのだ、という当たり前のことに気づかせてくれる。とりわけ海からむき出しの岩、時には荒れる広い広い海、とりまくたくさんの木々や森。自然について執拗なほどしつこく、ありったけの比喩で書かれているのでちょっと読みづらいけど、イラストが添えられていてなんともかわいい。
    旅であるがゆえの一過性物悲しさの切り取り方が響く。
    「何でもない、申し上げるが、何でもないのだ。しかし美しい。描くというよりもむしろ愛撫したいような美しさ。」

  • 1936年にデンマーク、スウェーデン、ノルウェーを巡った旅行記です。鋭い描写とユーモアラスで温かみのある表現と多数のイラストで、旅行で出会った北欧の自然・民族・文化を描いています。

    今夏の旅行中に読んでました。オスロからベルゲンを経由してトロンハイムまでの鉄道と船の旅の風景が、ほとんど変わっていないように見えて驚きました。また、著者は船旅の最中にアメリカの宣教師の布教集団の騒がしさに殺意を感じるほど辟易していますが、ヘルシンキ-オスロで乗った飛行機の2つ後ろの列でアメリカ人女性2人がずっと大声で話し続けているという状況に出くわして苦笑してしまいました。
    フィヨルドはこんな↓感じでした。

    「柔かく心地よくさざ波を立てる長い湖を航行している。何千もの細かい煌めく水面が、頂きに白い雪を持つ金色や青の岩の姿を映す。海峡はせばまり、岩と岩との間の小径に過ぎないようになる。ここでは水は、全く現実離れした状態で沈み込み、深い緑色となって、油のように滑らかに、夢のように静まり返る。」(P200)

  • 故郷をこよなく愛するとともに、世界の多様な風景・風俗を愛したチャベックは多くの旅行記を遺している。その優しくユーモラスな筆致は、深い悲しみと叡智を底に秘め、世界中に今もなおファンが多い。本書は1936年、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーを巡った記録。船と鉄道と車で、原始の面影を残す森やフィヨルドをたどり、壮大な自然と素朴な人間の暮しを感動いっぱいに描く。イラスト多数

著者プロフィール

一八九〇年、東ボヘミア(現在のチェコ)の小さな町マレー・スヴァトニョヴィツェで生まれる。十五歳頃から散文や詩の創作を発表し、プラハのカレル大学で哲学を学ぶ。一九二一年、「人民新聞」に入社。チェコ「第一共和国」時代の文壇・言論界で活躍した。著書に『ロボット』『山椒魚戦争』『ダーシェンカ』など多数。三八年、プラハで死去。兄ヨゼフは特異な画家・詩人として知られ、カレルの生涯の協力者であった。

「2020年 『ロボット RUR』 で使われていた紹介文から引用しています。」

カレル・チャペックの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
ヘミングウェイ
リチャード ブロ...
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×