われわれはなぜ死ぬのか ――死の生命科学 (ちくま文庫 や 33-2)
- 筑摩書房 (2010年2月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480426512
作品紹介・あらすじ
われわれのDNAは、受精の瞬間から死に向けて時を刻み始める。ある細胞は自ら死を選び、また別の細胞は成長を止める-遺伝子にはあらかじめ死がプログラムされているからだ。なぜ生命に「死」が組み込まれたのだろうか。36億年かけて生命が進化させた「死の機構」とはいかなるものか。老化と死の宿命を逃れる術はないのか。死の誕生と進化をたどり、生命科学者がわれわれにとっての老いと死の意味に迫る。従来の死生観を揺るがす衝撃の書。
感想・レビュー・書評
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死について科学的に考察する
本書を読む為には生物学などの基礎知識が必要
働きバチは二ヶ月、女王蜂は五年の寿命。女王蜂は老化することはないが受精卵を供給出来なくなると雄のハチに殺される
産卵後のサケは老化はなく、青春から瞬時にして死へと突き落とされる
針葉樹のメタセコイアの寿命は数千年
イチゴのような匍匐茎を伸ばして増殖する植物は無性生殖している間は老化はない。しかし、有性生殖が起こると急速に全部枯れてしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「鹿の王」の著者が参考にしたと解説に書いてあったので、の第二弾。
こちらも難しすぎた。
理解できたのは以下の通り。
原生生物のテトラヒメナは細胞の数が少ないときには栄養分がいくらあっても死んでしまうことがあり、
細胞が増殖するためには環境からの情報が必要であり、
周囲の状況に合わせて増殖をコントロールする機構が単細胞生物に存在すること。
細胞がDNAや染色体から壊れるアポトーシスというのは、
胎児が成長し手ができてくる際に、
体の脇に盛り上がった丸い肉のかたまりの、
その先端部分で四本の筋を入れるように細胞がアポトーシスで死ぬ、といったように、
生きることには必要不可欠な現象だったこと。
生命の誕生時、
地球には酸素が乏しくオゾン層がなかったために、
強い紫外線にさらされDNAが切れ切れになった、または傷ついた細胞を除去するために、
能動的な死が発生した可能性があること。
その後、地球に増えた酸素を使うようになったため、
DNAやそのほかの細胞内分子が酸化されて損傷を受け、
それらの傷ついた分子が蓄積し、
細胞の老化さらには死をもたらす可能性があること。
しかし、
最後の章とおわりに、に書かれた死に対する洞察には、
感銘を受けた。 -
DNAには、生きるだけでなく、死もプログラムされている。ならば、仕事の人間関係も あらかじめ、止まったり、終わったりすることを頭の片隅に入れて考えるべきなのかもしれない。
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生命理学系の書籍は好きだけど、専門的でちょっと飽きた時もあった。1ページ、2回読まないと意味が分からないことも。でも、この著者の別の本は読もうと思う。
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生物が生まれるとは何か、死ぬとは何かを丁寧に書きます。
生物学者である著者が細胞の死、個体の死を丁寧に解説しますが哲学的な要素はあまりなく、教科書を通読したような印象を受けました。 -
死-見るもおぞましきもの◆人間はいつ死を知ったか◆生の終わりの多様性◆死を考えるための生命の歴史◆死の起源と進化◆細胞分裂と細胞死◆性と死◆死に向けて時を刻む◆すりへってゆく生命◆死とは何か
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読みやすいのだがいまいち食い足りない。退屈だったりわかりにくかったりはしないのだが、どことなくぼんやりとした印象が残った一冊。この人の「二重らせんの私」を読んでいたことを思い出した。
ただ、あるエピソードのためだけに、本書を読んでよかったと思う。それは「ゾウリムシ」の生命サイクルに関して書いた一節だ。
ゾウリムシは分裂して増えていく。1つが2つ、2つが4つ、4つが8つ・・・だとすると、ゾウリムシの寿命というのはあるんだろうか? もしあるとしたら、それはどこから数えるのだろうか? もしかしたらゾウリムシというのは不老不死なんではないだろうか・・・? ぼくは子供の頃からずっと不思議だった。
その答えが思いがけず、本書に書いてあった。やっぱり研究した人がいたのか。そして・・・そうだったのか! -
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2010-00-00
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「動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話」を読んで物
足りなかった部分を補おうと手に取った。結論から言うと
死について書かれた本と言うよりは、死というものを視界に
捕らえながら生命の歴史を振り返り、細胞の仕組みを考える
という内容の本で、細胞学の講義を受けたような印象が
残った。物足りなさは相変わらず残ったので次の本に続き
ます。