60年代日本SFベスト集成 (ちくま文庫 つ 19-1)

著者 :
制作 : 筒井 康隆 
  • 筑摩書房
3.50
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本棚登録 : 176
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430427

感想・レビュー・書評

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  • <閲覧スタッフより>
    【SF文学諸作品】
    国内外のSF小説黎明期から現代まで、定番を中心に様々な作品を集めました。中には映画化されたものもあります!お気に入りの一冊を探してみてください。

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    所在記号:文庫||913.6||ロク
    資料番号:10219835
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  • やっぱSFは面白い。
    純粋なる空想の世界に純粋にワクワクできるから。
    最後は世界観をどんでん返す見事なオチで唸らせてぇ!

    「日本SF初期傑作集」-編者 筒井 康隆
    優れた書き手たちがその個性を存分に発揮しつつ、
    SFと小説の可能性を探り続けていた1960年代の代表的傑作集。
    斬新なアイデア、強烈なイメージ、ナンセンスの味わいたっぷり。
    「SF」の枠組みを超えて、二十世紀日本文学における
    ひとつの里程標となる歴史的アンソロジー。
    ―解説 大森 望

    ●「解放の時代」星新一
    挨拶以上にお気軽に 誰とでも無意味にセックスする国は、セックスを恥じることが罪だった。
    ●「もの」広瀬正
    末来の学者達が学説をこねくり回して判らなかった発掘物の正体は、下駄だった。
    ●「H氏のSF」半村良
    麻雀中の与太話。もしも性が4つならセックスでイくのも一人だけ?と悩む男にロン、あたり!
    ●「わがパキーネ」眉村卓
    超絶ブサイク宇宙人の特殊能力で、彼女を美人と思ってた男。夢から覚めたが見た目より心を信じる。
    ●「金魚」手塚治虫
    巨人の子供が拾い死なせてしまった小箱の小動物は核シェルターで生き延びた兵士だった。
    ●「色眼鏡の狂詩曲」筒井康隆
    米国人が書いた偏見だらけの日本のSF。中国のSF。お返しに書いた偏見だらけの米国のSF。
    ●「渡り廊下」豊田有恒
    ファンタジーと情感が見事に融合した傑作。「偉人たちの夏」的な。
    渡り廊下の先にかつてあった産婦人科から聞える泣き声。姉やと兄ちゃんと幼い私。
    ●「ハイウェイ惑星」石原藤夫
    網の目状に道路だけ整備された星で進化する車輪生物。彼等は止まると目が回る。。。
    ●「X電車で行こう」山野浩一
    幽霊列車X電車と鉄道マニアの私の奇妙なシンパシー。夢見る二人の電車ごっこの最後は?チュチュチュチュ
    ●「そこに指が」手塚治虫
    注視妄想症に悩む二次元(マンガ)の世界の人間は三次元の人間に見られていることに気付かない。
    ●「終わりなき負債」小松左京
    祖父の負債を一生払う男の正体は、祖父が息子に似せて作らせたアンドロイドだった。
    ●「レオノーラ」平井和正
    人間恐怖症の男が愛したのはアンドロイドだった。リセットして出荷元に戻されることになり…。
    ●「機関車、草原に」河野典生
    機械に管理される近未来。洪水で廃墟の東京に集う若者達が居た。
    ●「幹線水路2061年」光瀬龍
    絹の道守備隊同様、水路監視員の仕事は地味で誰にも知られない。今日も二人の若者が…。
    ●「大いなる正午」荒巻義雄
    難解。読みづらい。1行目から読みませんでした。

  • 2013年3月10日初版、並、カバスレ、帯なし
    2014年1月2日松阪BF

  • 大御所の期待通りのものあり、意外な拾いものあり、の選集。初めて読んだ石原藤夫や山野浩一が面白かった。眉村卓、豊田有恒、小松左京、平井和正など、日本のSFを代表する面々の作品はさすが。

  • 既読が多いが古い日本のSF短編集

     当然最初は「解放の時代(星新一)」 からだが、おもしろくはないな。「もの(広瀬正)」 は既読のショートショート。麻雀ねたの「H氏のSF(半村良)」 はつまらないショートショート。

     まあまあ新鮮かなと思うのが異星人もの「わがパキーネ(眉村卓)」。マンガの 「金魚(手塚治虫)」はイマイチだし、 「色眼鏡の狂詩曲(筒井康隆)」 もスラップスティック。

     タイムトラベルもの「渡り廊下(豊田有恒)」 はひねりがなく平凡だし、既読の「ハイウェイ惑星(石原藤夫)」 「X電車で行こう(山野浩一)」 を飛ばして、ディック風のマンガ「そこに指が(手塚治虫)」 へと続く。

     半分すぎた頃で「終りなき負債(小松左京)」 の登場。本格的なロボットものでうれしい、そして、「レオノーラ(平井和正)」 も同じだ。

     「機関車、草原に(河野典生)」は少しわかりにくい。 期待した「幹線水路二〇六一年(光瀬龍)」は相変わらず意味わからん。 難解で有名な「大いなる正午(荒巻義雄)」はパスした。

     う〜ん、これもイマイチかなぁ。

  • 60年代とは思えないかなり新鮮かつ豪華な日本のSF集大成でした。
    SF界の大御所の若さが溢れ原石を見るような感じ。
    この作家たちが築いてきたものが今の日本SFの土台になっているのだな

    特に面白かったのがやっぱり筒井康隆さんの「色眼鏡の狂詩曲」私の電車の中で思わず吹き出してしまった本 ベスト5に堂々ランクインあるである。

    初っぱなの星新一氏イメージぶっ飛ばし短編やブレない平井和正節。
    本当に豪華なSF集でした

  • こちらは60年台という日本SF黎明期の傑作選。収録作のバラエティに富んだ内容がその次代のSFの勢いを感じさせる。選者・筒井康隆による巻末の解説も必読。

  • パキーネ愛し、渡り廊下が秀逸、X電車は知った駅路線が多々登場しわくわくした。チュチュチュ、可愛い。手塚治虫はさすがであった。機関車、草原に、こんな風景を書いてみたい。胸がぎゅうとなった。

  •  収録短篇は初めて読むものが多かった。いずれも特色があって面白い。
     石原藤夫「ハイウェイ惑星」と荒巻義雄「大いなる正午」は同時期に出た日本SF作家クラブ編『日本SF短篇50 Ⅰ』で既に読んでいた。ちなみに、『日本SF短篇50 Ⅰ』の解説では「わがパキーネ」「レオノーラ」「X電車で行こう」「ハイウェイ惑星」「大いなる正午」が日本SF初期の歴史の中で名前だけ出ている。

  • 星新一「解放の時代」
    広瀬正「もの」
    半村良「H氏のSF」
    眉村卓「わがパキーネ」
    手塚治虫「金魚」
    筒井康隆「色眼鏡の狂詩曲(ラプソデイ)」
    豊田有恒「渡り廊下」
    石原藤夫「ハイウェイ惑星」
    山野浩一「X電車で行こう」
    手塚治虫「そこに指が」
    小松左京「終わりなき負債」
    平井和正「レオノーラ」
    河野典生「機関車、草原に」
    光瀬龍「幹線水路二〇六一年」
    荒巻義雄「大いなる正午」

    筒井康隆は編者としても多くの仕事をしているようだけれど、そちらの仕事ぶりに本書で初めて触れた。
    「ハイウェイ惑星」「大いなる正午」は、この文庫版と同時期に出た『日本SF短編50 Ⅰ』で読んでいたので、今回初読で気にいったものを。

    豊田有恒「渡り廊下」
    主人公にとっての過去の記憶、ノスタルジアを感じさせる思い出とともに、子どものころ住んでいた家で赤ん坊の泣き声がするという現代起こっている怪奇現象を確かめに戻ったら……。情感に満ちた達者な文章力。後半の場面は、読んでいてセピア色の映像が浮かんだ。完成度の高い作品。

    小松左京「終わりなき負債」
    絶望的な物語。結末で人の在り方そのものを語られた思い。

    光瀬龍「幹線水路二〇六一年」
    孤独と決意。光瀬龍の作品はほとんど読んでいないけれど、今のところ共通する要素はこの二つ。本作も圧倒的なヴィジョンとともに、主人公の孤独感とその先にある決意を描いている。最後の数行がすばらしい。

    筒井康隆の解説も、作品紹介としても作者の紹介(筒井康隆との関係についても)や当時の情勢が書いてあって、筒井の軽快な文体もありとても面白かった。
    二十代のときに星新一を読んで、「なんだこんなもの。あったような話だし、おれだって書ける」と思ってしまったという若い頃の体験は、身に覚えがある人が多そう……。
    あと「大いなる正午」についての解説にあった、「おわかりであろうか。なあに、書いている方だってぜんぜんわからない」ってところがツボに入り笑った。

    追記がせつない。筒井さんはどんな思いなんだろう。

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著者プロフィール

1926 - 1997。SF作家。生涯にわたり膨大な量の質の高い掌編小説を書き続けたことから「ショートショートの神様」とも称された。日本SFの草創期から執筆活動を行っており、日本SF作家クラブの初代会長を務めた。1968年に『妄想銀行』で日本推理作家協会賞を受賞。また、1998年には日本SF大賞特別賞を受賞している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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