60年代日本SFベスト集成 (ちくま文庫 つ 19-1)

著者 :
制作 : 筒井 康隆 
  • 筑摩書房
3.50
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本棚登録 : 176
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430427

作品紹介・あらすじ

「日本SF初期傑作集」とでも副題をつけるべき作品集である。(筒井康隆)-優れた書き手たちがその個性を存分に発揮しつつ、SFと小説の可能性を探り続けていた1960年代の代表的傑作を集める。斬新なアイディア、強烈なイメージ、ナンセンスの味わいなどがたっぷり。「SF」の枠組みを超えて、二十世紀日本文学におけるひとつの里程標となる歴史的アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 筒井康隆らしい、新機軸を巧みに導入した短編を集めた選集だった。ただ、筒井の悪い癖である構成が重視され、理論偏重になっていたきらいがなかったとはいえない。
    当時新しかった新機軸でも今では使い古された手法の1つとなっていたものもあり、時代を感じた。とはいえ収録作品はどれも瑞々しく読みごたえがあり、SFの領野はこれほどまでに拡げることができるのかと驚いた。若く野心的な一冊だった。

  • 60年代に書かれたsfなんて今更読んでも面白くないだろうという偏見を吹き飛ばす、珠玉の作品たちが勢ぞろいの短編集。時代の雰囲気を映した重めの作品と、人を食ったようなスラップスティックで皮肉な作品が半々くらいで収録されている。
    筒井康隆の解説もしっかりと書かれているので、先にそちらを読んでから本編を読んでもいいかもしれない。
    個人的に面白かったのは以下。
    わがパキーネ(眉村卓)、渡り廊下(豊田有恒)、ハイウェイ惑星(石原藤夫)、終わりなき負債(小松左京)、機関車、草原に(河野典生)

  • 2020/8/29購入

  • うーん、編者の趣味が合わないのか、それともやはりSF発展の初期だからなのか、あまり面白いと思える作品には出会えませんでした。
    その中で山野浩一の『X電車で行こう』は、姿の見えない電気だけの「幽霊列車」という、罪のない鉄オタサラリーマンのファンタジーが、大量虐殺を引き起こす悪夢へと変貌していくさまが強烈な印象でしたが。

  • 昭和30〜40年台のSFをかの筒井康隆氏が集めたアンソロジー。
    当時の鬱々とした精神世界が反映されていたり、その頃から想像した未来として現在の社会が描かれていて、的確な批判がなされていたり、凄いです。
    一番最初に星新一さんの短編が掲載されているのですが、別な意味で驚きました。流石筒井さん。

  • 1980年10月に徳間書店から刊行。2013年3月ちくま文庫にて復刊。15のSF作家によるアンソロジー。全て再読です。いずれも面白いお話で、60年代SFを再認識できました。楽しかった。

  • 筒井康隆は中学から高校にかけて狂ったようによ読んだ。新潮社から出た全集も毎月出されるのを楽しみにしてた。が、いつしかから、SFの荒唐無稽さが、バカらしく思え離れてしまった。

    今回、本当に久しぶりにSFを読んだ。目利きの筒井氏の撰修といこともあり期待してたが、やはり玉石混淆かな。

    個人的には、ハードSFより、情感溢れる「渡り廊下」や、発送が面白い「そこに指が」「X電車で行こう」が好み。

    続刊で70年代の集成も出ているが、購入どうしようかな。

  • <閲覧スタッフより>
    【SF文学諸作品】
    国内外のSF小説黎明期から現代まで、定番を中心に様々な作品を集めました。中には映画化されたものもあります!お気に入りの一冊を探してみてください。

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    所在記号:文庫||913.6||ロク
    資料番号:10219835
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  • やっぱSFは面白い。
    純粋なる空想の世界に純粋にワクワクできるから。
    最後は世界観をどんでん返す見事なオチで唸らせてぇ!

    「日本SF初期傑作集」-編者 筒井 康隆
    優れた書き手たちがその個性を存分に発揮しつつ、
    SFと小説の可能性を探り続けていた1960年代の代表的傑作集。
    斬新なアイデア、強烈なイメージ、ナンセンスの味わいたっぷり。
    「SF」の枠組みを超えて、二十世紀日本文学における
    ひとつの里程標となる歴史的アンソロジー。
    ―解説 大森 望

    ●「解放の時代」星新一
    挨拶以上にお気軽に 誰とでも無意味にセックスする国は、セックスを恥じることが罪だった。
    ●「もの」広瀬正
    末来の学者達が学説をこねくり回して判らなかった発掘物の正体は、下駄だった。
    ●「H氏のSF」半村良
    麻雀中の与太話。もしも性が4つならセックスでイくのも一人だけ?と悩む男にロン、あたり!
    ●「わがパキーネ」眉村卓
    超絶ブサイク宇宙人の特殊能力で、彼女を美人と思ってた男。夢から覚めたが見た目より心を信じる。
    ●「金魚」手塚治虫
    巨人の子供が拾い死なせてしまった小箱の小動物は核シェルターで生き延びた兵士だった。
    ●「色眼鏡の狂詩曲」筒井康隆
    米国人が書いた偏見だらけの日本のSF。中国のSF。お返しに書いた偏見だらけの米国のSF。
    ●「渡り廊下」豊田有恒
    ファンタジーと情感が見事に融合した傑作。「偉人たちの夏」的な。
    渡り廊下の先にかつてあった産婦人科から聞える泣き声。姉やと兄ちゃんと幼い私。
    ●「ハイウェイ惑星」石原藤夫
    網の目状に道路だけ整備された星で進化する車輪生物。彼等は止まると目が回る。。。
    ●「X電車で行こう」山野浩一
    幽霊列車X電車と鉄道マニアの私の奇妙なシンパシー。夢見る二人の電車ごっこの最後は?チュチュチュチュ
    ●「そこに指が」手塚治虫
    注視妄想症に悩む二次元(マンガ)の世界の人間は三次元の人間に見られていることに気付かない。
    ●「終わりなき負債」小松左京
    祖父の負債を一生払う男の正体は、祖父が息子に似せて作らせたアンドロイドだった。
    ●「レオノーラ」平井和正
    人間恐怖症の男が愛したのはアンドロイドだった。リセットして出荷元に戻されることになり…。
    ●「機関車、草原に」河野典生
    機械に管理される近未来。洪水で廃墟の東京に集う若者達が居た。
    ●「幹線水路2061年」光瀬龍
    絹の道守備隊同様、水路監視員の仕事は地味で誰にも知られない。今日も二人の若者が…。
    ●「大いなる正午」荒巻義雄
    難解。読みづらい。1行目から読みませんでした。

  • 2013年3月10日初版、並、カバスレ、帯なし
    2014年1月2日松阪BF

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著者プロフィール

1926 - 1997。SF作家。生涯にわたり膨大な量の質の高い掌編小説を書き続けたことから「ショートショートの神様」とも称された。日本SFの草創期から執筆活動を行っており、日本SF作家クラブの初代会長を務めた。1968年に『妄想銀行』で日本推理作家協会賞を受賞。また、1998年には日本SF大賞特別賞を受賞している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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