- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480431448
感想・レビュー・書評
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キャラ立ちがはっきりしていて、読み易くて良かった。三浦しをんって放浪癖のある若者を登場させがちだけど今回も主人公の彼氏がそれだった。ただ今回のメインはオタクの主人公が社史を通じて会社の闇を暴露するというのが本筋になっているので彼氏の様子があまり描かれなかったのは残念。暴露とはいってもサスペンスよりコミカルな印象。社史編纂室のメンバーがゆるゆるなのが効いているんだと思う。上司である本間課長が「コミケに我々も出展しよう」と言い出して仕事そっちのけで小説作りに勤しみだすくらいのゆるさなので、こんな職場羨ましすぎるー、と感じながら読んだ。
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三浦しおんさんは小説が上手い人だと思う。他にそう思っているのは、山田詠美さんと宮部みゆきさん。
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三浦さんの本は11冊目になるのだが…
”三浦しをんワールド全開”
本の帯にはそう書いてあった。
そうかも~、と思ったのは最初のうちで…
どんどん読みづらくなっていった。
特に、本の中で主人公たちが書く小説(?)がとても読みづらく…
なんとか読み切ったという感じ。 -
星間商事の社史編纂室のメンバーそれぞれのキャラクターがまず好き。
何故か多くを語って貰えない高度成長期の穴と呼ばれる期間の裏側の社史を暴いていくっていう、ミステリー?要素あり、BLが好きな腐女子の話ありと、なかなか未知の世界だったけど、クスッと笑えるところも多くて面白かった。
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2019(R1)11.19-11.30
商事会社の窓際部署である社史編纂室のメンバーが、社史に隠された「黒歴史」を暴いていく。
その暴き方に面白みを感じるか否かで、この作品の好みは分かれそう。僕はあまり感じなかった。設定に少し無理がある気がしたと同時に、主人公の「公私それぞれの生き方」に一貫性が感じられず、特に、私生活における“腐女子”の部分と“恋人”の部分とのつながりがイマイチよく分からなかった。
きっと、細切れに読んだことと、読書の間隔が思いのほか空いたことが原因なんだろう。決して作者のせいではない。 -
仕事よりも趣味重視。
大っぴらにはしていないけれど、けっこうそういう人はいそうな気がする。
主人公である幸代は、まさに趣味のために仕事をし、趣味のために生きている。
友人と定期的に作っている同人誌を売るイベントは、幸代にとっては何よりも大切にしているものだ。
だが、やる気がまったくなさそうに見えた編纂室の課長に同人誌作りがバレたことから、事態は思いもかけない方向へと転がり始めていく。
社史編纂のために行なったインタビュー以降、何やら不穏な動きをみせる正体不明の脅迫者。
友人は結婚のために同人誌を抜けると言い出し、長年付き合ってきた恋人はどうにも幸代との将来を見据えているとは思えない。
まさに風雲急を告げる展開で、いったいどんな結末が待ち受けているのかと楽しみだった。
それにしても、同人誌とはそんなにも隠さなければならない代物なのだろうか。
この物語が最初に発売されたのが2009年。
もうその頃にはコミケも一般に認知され、一部のマニアックな人の嗜好ではなくなっていたように思うのだけれど。
物語の核となるものは重いけれど、軽いタッチで書かれているために陰鬱さは感じない。
登場人物たちの明るさに救われている部分も多いように思う。
何よりも結末の後味の良さに好感が持てた。 -
星間商事株式会社社史編纂室の川田幸代は、元は企画部で華々しくプロジェクトを成功させていた経歴を持っていますが、趣味の同人誌(ボーイズラブ)に割く時間を確保するために、この部署に移ってきました。営業部から異動してきたみっこちゃんも何だかとんちんかんだし、2年先輩の矢田信平も専務の愛人に手を出したとの噂で秘書室から異動してきています。定年間近の本間課長は毎日遅刻で、室長に至ってはまだ一度も出社したことがありません。予定の創立60年式典は昨年執り行われてしまいましたが、間に合わなかった社史をゆるゆる編纂し続けているうちに、編纂室の面々は、50年代後半だけ異常に情報が集まらないことに気づいていきます。その「高度成長期の穴」の解明に向けて進めるうちに、会社の隠された闇を暴くことになり…
といっても、サスペンスではなく、コメディタッチで話は進みます。主人公の個性的な恋人や、同人誌仲間の友人たちとの生活も絡めながら、それぞれが一生懸命に生きていく姿が爽やかです。
大好きな三浦しをんさんの作品で、細やかな情景描写や、しっかり下調べされたのであろうリアル感はさすがなのですが、最後が大味というか、ざっくりしすぎていてもったいない気がしました。 -
ちょっと堅い題名だけど、ストーリーはBL、コミケなどオタク感満載。しおんさん面白い!
編纂室の超個性的なメンバーが、いろいろありながらも団結していき、最後はほのぼの。ほっこりできた。 -
作品が直木賞、本屋大賞を受賞した人気作家、三浦しをん。
新作が出ていないか、チェックしている作家さんの一人です。
漢字だらけの題名の作品が、文庫になって並んでいたので、さっそく読んでみることにしました。
舞台は中堅商社の、社史編纂室。
会社設立60周年にも間に合わなかった社史を編集するのは、みな「ワケ有り」のメンバー。
主人公も、会社の仕事はそこそこにして、人には言えない趣味の時間を作りたいという、30歳手前の女性社員。
「ゆるい」職場のメンバーに、主人公の趣味がバレるというシーンから、話が始まります。
社史を作っていく中で、会社のOBたちが話したがらない時期があることに気づいた、主人公たち。
その秘密をいかにして暴いていくか・・・という展開。
オタクの世界を描いた作品かな、と思って読み始めましたが、謎解きもあり、期待されていない社員たちが会社上層部に食いついていく爽快感もありと、複数の楽しみが詰まっていることが、読み進めていくうちにわかってきました。
そして、登場人物たちの会話や心理描写の表現で、クスッとさせられるのも、この作家さんの魅力ですね。
登場人物のキャラクターもそれぞれ特徴があって、映像化されても面白そうだなと、感じました。
大きな賞を受賞した後も、このように力が入り過ぎない作品が書ける、この作家さんの魅力がまた広がったなあと感じた、一冊でした。