奴隷のしつけ方 (ちくま文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480436627

作品紹介・あらすじ

奴隷の選び方から反乱を抑える方法まで、古代ローマ貴族が現代人に向けて平易に解説。奴隷なくして回らない古代ローマの姿が見えてくる。解説 栗原康

感想・レビュー・書評

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  • 奴隷の値段は、年収が1000くらいだとすると、男は1000万女は800万くらいで、買ったあとも衣食住の世話をする。
    →現代のアルバイトのほうが安く使えるのではと思った。
    衣食住は本人持ちだし。

    鞭で従わせるのは疲弊させるだけで意味がない、公正にふるまうが、奴隷はあくまで言葉を話せる道具である。
    →調子悪いテレビをバンバン叩いたりする感覚かな。

    教育するには新たに連れてこられたばかりの奴隷のほうがいい。
    →だから現代でも新卒社員に価値があるのかと納得。

    初めは好きなだけ食べさせ気前よく褒める。
    宗教を捨てさせ家の守護神を拝むようにさせる。
    ローマの神々がローマ人を偉大にしたと思わせることで奴隷身分を納得させる。
    →仕事初日に上司からお昼をごちそうになるのはそれかと思った。

    奴隷というものは、ずうずうしく、噂好きで、怠け者で、嘘をつき、手癖が悪く、破廉恥が多い。
    素晴らしい奴隷の例として、追っ手から主人を守る為に近くを通りがかった老人を絞め殺して燃やして、この燃えているのが主人だと言ったとか。
    →偏見に溢れなにもかもがやばい。
    そもそも主人を助けないと殺されるらしい。ありえない。

    供給過多の時は奴隷は安い消耗品として死ぬまではたらかせていたが、基本的には貴重な財産なので疲労回復に十分な休養を与え、次の日の仕事に備えさせていた。
    →働き方改革みたいだ。

    現代のブラック企業も奴隷制度と変わらないなと思った。

  • 傑作。内容企画が秀逸。
    原題は「 How to Manage Your Slaves 」で、生真面目に訳せば「 奴隷経営論 」なのだが、斯様な邦題。「 奴隷のしつけ方 」とは刺さって来る。いやはや秀逸である。

    内容もしっかりしていて読み応え十分。奴隷を資産として捉えたり、契約を整えたり、古代ローマなのだが意外と「 近代的 」な面があるのが意外。実に興味深いのであった。

  • 古代ローマ史の研究者が、古代ローマに生きる主人(架空の人物)になりきって奴隷の扱い方を語った本。
    あくまでフィクションではあるが、実際に奴隷制度がある社会において、自分と同じ人間を異なる存在として扱う人の思考パターンを仮想体験できる。
    特にローマ社会の奴隷は、人種など生まれながらの理由だけでなく、一定の社会的合意を経て自由人との間を行き来する存在であったらしい。本書を「経営者の心得」とする評もあったが、確かに色々な差異に目をつぶれば、人をモノとして見るのは有能な管理者の視点でもあろう。もちろん、そこで目をつぶった色々な差異こそが大きな違いなのだけれど。
    全然違う時代の人をロールプレイングすることで、現代人としての自分に無意識にインストールされている基本的人権の概念の輪郭を確認できる。

  • 古代ローマ人の貴族が教えてくれる奴隷に関するhow to 本
    現代では奴隷制度は廃止されて久しいので、作者(ということになっている)マルクスの考え方は現代的ではないように思うけれど、結局上下関係がある人間同士のやり取りの本質は今も変わってないな、と思う(マルクス的やり方が正しいかは別としても、教師と生徒や親子、上司と部下などなど)

    そして何より問題なのはジェリー先生のあとがきにあるように奴隷制度は廃止されたのに、現代でも奴隷状態で労働させられてる人々が世界中に存在していること

  • 奴隷の主人になったときの心構えとかを古代ローマ人自ら教えてくれる本。
    これでうっかりローマに飛ばされても奴隷かえるよ!なんて。

    ローマ人の人名苦手すぎるのと時代背景の知識がなさすぎるのでところどころ飛ばし読みになっちゃったけど、
    奴隷のしつけ方についてローマ人が語ってるところから当時の価値観とか金銭感覚とか生活が透けて見えて面白かった
    なんていうか当時のビジネス本みたい笑

    あとがきに、本当は解説者の人が古代ローマ人になりきって本文も書いてるよってあった。
    そりゃそうか

  • 同僚におすすめされて読んだ本。ユニバの列に並びながら読む本だったのかは謎

    古代ローマ人の考え方価値観を奴隷マネジメントを通して知るきっかけになる良い本だったと思う。
    また、現代にも通ずる考え方もあったのでは

    読んでて面白かった

  • もう少し古代ローマ史に詳しかったら面白かったかもしれない。主人公(架空の人物)の性格が最初と途中で変わっていたり、今がいつの時代なのかよく分からないところがあったり。まあ私の読解力が無いだけかもしれないが…。

  •  

  • 奴隷制度が発展した理由、奴隷の選び方、教育、使い方などが網羅されている。
    読んでいると現代の労働者とほぼ変わりない。
    労働者として貢献するにあたり、知っておくべきことが述べられている。新社会人は読んで損はないと思う。
    また、辛辣だが「奴隷は無価値、道具であり、資産の一部」である。

    奴隷制度が発展した理由として、
    共和制の時代に土地が余り、元老院が「収穫した穀物の10%、果物の20%を収めれば土地を譲る」制度を設けたときに、富裕層がこぞって土地を買い占め、奴隷を雇い農作業させたことから。
    自由民の労働者でなく奴隷を選んだ理由は2つで、
    1つが「たくさんの子供を産むこと」、2つが「奴隷は自由民と違い信用がなく、戦争にいく必要がないので雇用の確保ができること」にある。
    特に前者では奴隷の子供は奴隷になり、彼らは他の身分や世界を知らないので飼い慣らしやすいという。

    奴隷の値段は15歳から40歳までの健康な成人男性が1000セステルティウス、女性や40歳を超えた男性、8歳から14歳の少年は800。60歳を超えたり8歳未満は400。※最低限の暮らしなら年に500セステルティウスあれば家族4人が食べていける水準
    奴隷は読み書き、計算、美貌などのスキルがあれば価格が高騰する。
    しかし知能が高すぎると返って使いにくく、
    奴隷の民族が一緒であれば奴隷同士で会話が出来るため、仕事中にお喋りをしたり主人を処刑しにかかったりとリスクがあるため慎重に選ぶ。
    犯罪歴、流産、痩せ細ってないかなども見極める。

    1番いい奴隷は新たに連れてこられた奴隷や奴隷の子供である。彼らは外の世界を知らず、素直なため教育をしやすい。

    またモチベーション維持のためによく働いたものにはいい靴や食料などを与える。目標達成できそうなものを掲げ、粉骨砕身働けば解放されるといった希望を持たせればそれに沿って懸命に働く。

    新卒至上主義、学歴社会、退職金、賞与、妻子を人質にとる、入社前の健康診断等、労働者も奴隷と近いものがある。また、主人は金儲けのために奴隷を雇っているのではなく、権力、名誉を誇示するために囲い込んでいるとのことで衝撃を受けた。


  • 想像を絶する感性。素直に怖い。

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