- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480510426
作品紹介・あらすじ
「女性解放」はなぜ難しいのか。リブ運動への揶揄を論じた「からかいの政治学」など、運動・理論における対立や批判から、その困難さを示す論考集。
感想・レビュー・書評
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■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001200744
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「「差別の論理」とその批判──「差異」は「差別」の根拠ではない」を中心に。
私は「差異の意味を変え」られているだろうか?
Twitterの「「身体的性差がある(根拠、理由、原因)から女性は差別されている」を否定しても「女性は差別されている」は否定されないよ」
https://twitter.com/hiraharakurita/status/1638134609304227841?s=46&t=fj_uGYOVUoBmUhGvZznYew
に小宮友根氏からコメントいただき読んでみた。 -
悲しいくらい色褪せない名著
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オリジナルは1985年刊行だが、著者自身も述べるように、ここで論じられている問題の根本は今とほとんど変わっていない。男女共同参画基本法ができようと、女性活躍推進法ができようと、女性たちは今もあいかわらず「平等に扱ってくれと言うのなら男と同じ基準でやる覚悟はあるのか、あとで泣き言を言うんじゃないぞ」と恫喝されているのだ。
と同時に、イリイチのジェンダー論を鋭く批判する「女性解放論の現在」を読むと、1980年代にフェミニストたちが激しく論争していた「女性解放とは何か、そのためにどのような社会改革が必要なのか」という問いが、いまどれだけ共有されているだろうかとも思う。このとき共有されていた問題意識とは、近代資本主義の枠組みをそのままにしておいて平等な参入だけを求めても女性解放は達成されないということだった。女性解放の運動は、平等と同時に社会変革をめざすものでなくてはならなかったのだ。冷戦が資本主義の勝利に終わった今日、この「大きな問題」はフェミニズムの問題として正面から論じられることはほとんどない。それは女性の解放、いやすべての人の解放にとって進歩なのか、後退なのか。そんなことをあらためて思う。
また、ウーマンリブについて扱った論文2本や、これにつながる「からかいの政治学」がとてもよい。伝説的な運動ではあるが実態が伝わっていないウーマンリブとは、何を問いかけていたのか、いかなる点において画期的だったのか、なぜ激しい反発を引き起こしたのか、非常に分析的に記述されていて、多くの個人的回想録とはまた違った観点からこの運動をふりかえるために重要。 -
ジェンダー論では上野千鶴子さんと双璧をなすお方.著者の視点から女性を取り巻く1980年代の空気感が伝わってきます.所収論文の執筆当時から40年近く経とうとしていますが、なお読まれるべき内容を持っています.文庫化も納得ですし何よりありがたい.
冒頭の増補部分は各章のコメントも含まれているので本論を読み進めながら立ち戻る読み方がいいのではと思います. -
冒頭の増補部分(その後の女性たち―1985-2020年)だけでおなかいっぱいになった。(読み切れてない)
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【書誌情報】
『増補 女性解放という思想』
著者:江原 由美子
シリーズ:ちくま学芸文庫
定価1,320円(税込)
Cコード:0136
整理番号:エ-15-1
刊行日: 2021/05/10
判型:文庫判
ページ数:304
ISBN:978-4-480-51042-6
JANコード:9784480510426
「女性解放」を論じることはなぜ難しいのか。あるべき解放論を示すのではなく、かつて女性解放の運動と理論が直面した対立や批判、矛盾やその破綻を描くことで、今なお残る困難の数々を深く鋭く明かす論考集。1部には、イデオロギーに根ざす80年代女性解放論への批判と、「性差があるから差別ではない」とする言説の本質的な不当性を喝破した論考を収録。2部では、ウーマンリブ運動の思想史的位置付けと再評価を行い、3部では、フェミニズム運動への「からかい」が、非難や攻撃にもまさる抑圧的効果をもったことを明かした「からかいの政治学」など、メディアにおける女性表象の問題を追求した。今日までの状況を俯瞰する1章を加えた増補版。
〈https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480510426/〉
【メモ】
・ 富永京子による短評(初出は『ちくま』2021年6月号)
〈https://www.webchikuma.jp/articles/-/2433〉
【目次】
目次 [003-007]
はじめに(一九八五年一〇月 江原由美子) [010-012]
増補 その後の女性たち―― 一九八五-二〇二〇年 013
1 はじめに
2 バブル・バブル崩壊・格差拡大の時代へ
3 一九八五年から二〇二〇年まで、社会はどう変わったのか?
4 「より選択が困難」な時代へ
5 「女性解放論の現在」
6 「『差別の論理』とその批判――『差異』は『差別』の根拠ではない」
7 「リブ運動の軌跡」「ウーマンリブとは何だったのか」
8 「からかいの政治学」
9 「『おしん』」 「孤独な『舞台』――現代女性とインテリア」
I
女性解放論の現在 048
1 序――「セカンド・ステージ」
2 「家庭の重要性」と「男女の分業」
3 女性原理と男性原理
4 イリイチのヴァナキュラー・ジェンダー論批判
5 エコロジカル・フェミニズムの方向性
6 女性解放論における近代主義と反近代主義
「差別の論理」とその批判――「差異」は「差別」の根拠ではない 113
1 「女性問題」と「性差別」
2 「差別」とは?
3 「差異」と「差別」
4 「排除」としての「差別」
5 「性差別」の次元
II
リブ運動の軌跡 156
1 はじめに
2 70年代リブ運動小史
3 「文体」の解りにくさ
4 女にとって産むこと産まぬこと
5 「個人的体験の政治化」の矛盾
6 近代主義批判の陥穽
ウーマンリブとは何だったのか 219
1 誤まったリブ運動観
2 母幻想を超えて
3 〈性の解放〉とは何か
4 自分のことばで語る
III
からかいの政治学 238
1 はじめに
2 からかいの構造
3 からかいの機能
4 からかいの呪縛
5 からかいの政治学
「おしん」 264
1 はじめに
2 テレビに特異な女性像
3 消費の記号扱いの女性
4 貧しさも憧れの対象に
5 テレビに求める現実感
6 幸福を自覚せよと迫る
孤独な「舞台」――現代女性とインテリア 278
1 住まいへの関心
2 女性のいる空間
3 家族の変化と私的空間
あとがき(一九八五年一〇月 江原由美子) [289-291]
増補版あとがき(二〇二一年春 コロナ禍の横浜にて 江原由美子) [292-293]
初出一覧 [294] -
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