女王陛下の影法師 ――秘書官からみた英国政治史 (ちくま学芸文庫 キ-34-1)
- 筑摩書房 (2023年2月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480511645
作品紹介・あらすじ
ジョージ三世からエリザベス二世、チャールズ三世まで、王室を影で支えつづける君主秘書官たち。その歴史から、英国政治の実像に迫る。解説 伊藤之雄
感想・レビュー・書評
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国王陛下・女王陛下と、政治と、秘書官。この歯車が噛み合わないと、国の運営が滞るイギリス。
単なるスケジュールの管理や外遊の手配だけでなく、王室のありとあらゆることに目をむけ、心配れる秘書官が必要であることを、あらためて感じる一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「君主の秘書官」という一見するとスポットライトの当たりにくいが重要な役割についての一冊。イギリスの歴代君主たちの秘書官がどのような過程で成立し、その役割をこなしていくのかについて詳しく書かれている。首相と君主の間で、バランスよく動かなければならない立場の苦労がよくわかる良書であった。
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2007年の単行本を文庫化。19世紀のヴィクトリア女王からエリザベス女王までの君主に仕えた秘書官の話。文庫化にあたっては、現・チャールズ国王の戴冠式のTV解説を行った筆者だけに、あとがきにて「今」を追記。君主に対しては中正公平に意見を述べ、政府との仲介にもあたった秘書官の動きを通して、自然と近現代の英国政治史が学べるお得な本。文章も読みやすく、別の視点から見た歴史書としても秀逸。
初版当時、英国連邦(コモンウェルス)には、14か国に25億人もおり、世界人口の30%を占めていたとあり、英国の君主の大変さがよくわかる(エリザベス女王の日課も書かれているが、自分にはとても無理)。とは言いつつ、「王冠をかけた恋」やダイアナ妃、チャールズ現国王の恋バナや、君主と首相の相性からくるゴタゴタ話など、「所詮、人間ですよね」と思わせる逸話も豊富。
日本には、こうした秘書官はおらず、侍従(長)が中心となって動いているらしく、日英のそうした違いなどもわかってお薦めの一冊。 -
英国君主と議会の間で奔走した国王/女王秘書官たいう役割から見た英国政治史。
「君臨すれども統治せず」とは全く政治に関わらないということではない、立憲君主の役割が、秘書官の仕事から見えてくる。 -
英国の女王/国王のそばに仕え、国内外の問題を報告・助言し、必要ならば政権首脳との橋渡しを行う「秘書官」という職の歴史と彼らの仕事を紹介しつつ、あわせて英国近現代史を学べる本。
文庫化にあたっては2022年9月のエリザベス2世逝去までの情報をアップデートしている。
比べてもしょうがないけど、日本の皇室にも現天皇/皇嗣の若い頃からずっと助言を与えられるような存在があったら、今みたいなことにはならなかったような気がする。 -
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