経済復興: 大震災から立ち上がる

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480864123

作品紹介・あらすじ

二〇一一年三月一一日午後二時四六分、東北・三陸沖を震源とする国内観測史上最大のマグニチュード9.0の巨大地震が東北・関東を襲った。この東日本大震災は地震だけでなく、大津波と原発事故を伴い、人的・物的被害の大きさは戦後最悪のものとなった。だが、このような未曾有の危機にも、必死に立ち向かう人たちがいるのを知るにつけ、わたしたちはお互いに勇気付けられている。こうした状況を踏まえて、今後、数年にわたって取り組むべき「東日本大震災からの復興政策」をここに提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 「山形浩生が選ぶ 経済がわかる30冊」の1つ。

  • 確かに今の時代にマッチしている人選ですね。デフレ脱却、増税阻止に最適かも。
    学者らしくなく、とてもよくわかりました。

  • 日銀による国債の直接引受がハイパーインフレには
    必ずしも繋がらない、という論証として
    戦前の高橋是清蔵相の政策が取り上げられていますが
    この辺の史実がわかりません。
    こちらを詳しく取り上げた金融経済史書をつぎに読もうかと
    思います。

  • なぜこれが30選なのか…。そこが不明だ…。

    日銀のデフレ政策批判が本著の半分は占めると思われるので、
    そうしたものにアレルギーがある人は最後まで読めないはずである。

    尚、震災直後に円高になったのは、
    世界の投資家が日本がデフレだからと考えたのか
    どうかというのは信憑性が乏しい。巷で言われる、
    短期の円の需要を当て込んでその需要に飛び乗る形で
    円高が進行したという話なのではなかろうか。と。

    彼は、震災復興に必要なお金についてこう考えている。
    復興債は日銀引き受けにするべきだ・・・と。

    何故か。

    復興債を発行すると、その主体は政府であり、
    そのお金を民間から調達することになる。
    そしてそのお金を元に復興事業を実施する。

    これは表向きにはお金の流れが民間→国→民間となり
    お金の総量が変わらない。
    これに対して、復興国債を日銀引き受けとすれば、

    民間が本来復興国債を買うべきお金はそのままになる。
    そして復興事業は日銀引き受けの復興国債で遂行されるので、
    お金の総量は増えることになる。

    というカラクリである。うまい話なのだがどうなのだろうか。


    二重住宅ローン問題についても触れていた。

    住宅ローンを持つ被災者を救済できないのは筆者に言わせれば
    当然とのことでありここは同意できる。

    ●住宅自体がある種の個人資産である。
    ●賃貸を選んだ人に比べ補助を受けるのは公平性から考えどうか
    ●現在住宅ローンを受けている人は税額控除を受けており、全く控除を受けない賃借人と比べ公平性が損なわれている。

    故に二重ローン救済は困難であり、一定所得以下の層に対する
    公的扶助による賃貸の住宅補助あるいは、公営住宅への入居推進が妥当な答えではないか、とのことである。

    が阪神大震災では土地区画整理事業の実行を条件に
    これら被災者の救済に繋がる事業を推進する。という考え方だ。
    これは一つの解決策だろうなと思えた。

  •  リフレ派経済学者の著者が,今次の震災復興について,関東大震災,戦後復興,阪神淡路大震災の歴史を踏まえて論じる。国債の日銀引受によって復興支出を増加するのが肝要としている。国債日銀引受は従来からの持論らしい。
     復興国債を民間が引受ける場合は,財政支出の乗数効果だけにとどまるが,日銀が引受ければ,それに加えて貨幣増加による需要拡大効果もあるという。ただ,財政法は国債の日銀引受を原則禁止してる。これは政府がそれに頼って放漫財政に陥ることを避けるため。
     戦前の高橋財政で,国債の日銀引受は行なわれた。これは失敗だとする考えもあるが,高橋の暗殺までは昭和恐慌からの脱却に一定の成功を収めていたそうだ。
     戦後復興でも国際や金融債の日銀引受が行なわれた(石橋財政)。このときハイパーインフレが起きたとされるが,これは貿易が封鎖されていたために,原油など原材料が圧倒的に不足していたからだそう。そんなものなのか。この辺の理論は良く分からないな。学者にも意見の相違があるみたい。

  • 3月の震災から約1ヶ月弱しか経ていない段階で、よくもこれだけの資料を集め、まとめることができたものだと驚く。そういう意味でのスピード感をとても感じる。エネルギー政策の箇所などは正直、これからの議論が必要かと思うが、それでも読み応えがありました。

  • 震災後に、何冊かの経済、復興に関する本が緊急出版された。それらのうちの一冊。何らかの形で仕事を通じて復興に携われないものかという漠然とした思いの中で手に取った。
    関東大震災、第二次世界大戦、阪神大震災という3つの大災害についてレビューし、今回の震災で復興はどうあるべきかを提言している。
    以下のような記述は納得がいった。
    ・復興の財源は国債発行でねん出し、国債は日銀が引き受ける。
    ・今回の福島原発による損害は、今まで隠れていた原発の費用が顕在化したものである。したがって、この費用は本当は電気利用者が事故が起きる前から負担すべきであったもの。従って、原発災害の対策費用がこれから電気料金に上乗せされることは合理性がある。
    ・現在は原発のコストとして、事故時の対策費用、使用済み核燃料のリサイクルや処分の費用が含まれていない。これらはコストとして内在化して電気料金に反映されるべきだが、そうすると、原発は高コストとなり、現実的な電源とはなり得ない。

  • 332.107:Iw

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著者プロフィール

学習院大学経済学部教授。金融論、経済政策専攻。主な著書に『金融入門』『経済学を学ぶ』『金融危機の経済学』など。

「2010年 『初歩から学ぶ金融の仕組み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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