もうすぐ絶滅するという紙の書物について

  • CCCメディアハウス
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本棚登録 : 1653
感想 : 158
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484101132

作品紹介・あらすじ

紙の本は、電子書籍に駆逐されてしまうのか?書物の歴史が直面している大きな転機について、博覧強記の老練愛書家が縦横無尽に語り合う。

感想・レビュー・書評

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  • 装丁とタイトルだけで買って長らく積読していたが、やっと読み終わった!!対談、ということなので話があっちこっちいったりと読みにくさもあり、少しずつ読んだけどめちゃくちゃ面白かった。
    タイトル的に絶滅するかもの話をするのかと思いきや、残るって前提で話が進んでいく感じで、そうだよねぇって嬉しくなる。絶対この本棚の本たちは死ぬまで持ってるだろうなっていう根拠のない確信がある。
    本って無条件に崇拝されていて確からしさが保証されているような気がする(そう教育されてきた?)し、必読の名著!みたいに言われたりするけど、偉大な残されなかった本も、馬鹿阿呆間抜けが書いていていてもの残されてきた本もある。様々な解釈や脈絡が付与されてきた本もある。そう思うと、好きに読めばいいんだよなとあとがきにあったような強迫観念から救われる気持ちになる。インターネットやSNSのよくわからん情報に疲れがちなこの頃なので、うわぁ超好きってなりました。
    だいぶ知識不足が否めないのでまだチャレンジしたい1冊。エーコさんの本も読みたい!

  • 昔は、王族や貴族階級しか本を読むことができなかったけど今はどこでも本読めるし合わなければ読むのやめたっていいからいい時代だなって思った。基本的に読みたい本を買って読んでるけど時間が経つにつれてなんとなく妥協で読んでる本もある。読みたい本を読んでるよりも読むことが好きで読んでるみたいな状況も自分にもちょっとあるなって思った。

  • 放談に近いが、蘊蓄はすごい。コーディネーターの力量によるのかもしれないが、紙の本の問題の全てを網羅しているわけではない。

    装丁、活字組が素晴らしい。

  • 装丁が素晴らしくツボにくる。本の天地総てが、ブルーブラックで染色されており万年筆の青を思わせる。厚み、本棚での存在感がたまらない。そして中身はペダンチックて軽妙な対談集。

    • 如安さん
      装丁が素晴らしくツボにくる。本の天地総てが、ブルーブラックで染色されており万年筆の青を思わせる。厚み、本棚での存在感がたまらない。そして中身...
      装丁が素晴らしくツボにくる。本の天地総てが、ブルーブラックで染色されており万年筆の青を思わせる。厚み、本棚での存在感がたまらない。そして中身はペダンチックて軽妙な対談集。本というメディアの強さとしさたたかさを熱く語り合う老賢者が味わい深い。
      2023/07/27
  • 頭の良すぎる方々の対談集まとめ。
    まあよくもこんなにも色んなネタがほいほい出てくるなと。
    出てくる人名や書名がほぼ知らなくて解説必須だった。
    紙の本がなくなるわけがないだろうという逆説的な話だったのと、本の装丁がすごく好みだった。

  • 愛書家による本にまつわる対談集。こういうのがエスプリが効いた掛け合いとでも言うのでしょうか。
    原題直訳の『本から離れようったってそうはいかない』もなかなか良い感じ。
    邦訳タイトルはかなりおどろおどろしく、衝撃的ですよね。
    著者の片方、ウンベルト・エーコは薔薇の名前やフーコーの振り子のタイトルだけ知ってた作家さんであり学者さん。
    フーコーの振り子と言ったら上野の科学博物館ですわー。
    そのうち読んでみたいです。薔薇の名前は文庫版がないみたいで残念。

    『保存すべきものを保存するための当てになるツールが、今日なかなか見つからない(p93)』って、ほんとその通りで、だから私が積極的に電子書籍を買わない理由にもなってます。
    つい昨年も電子書籍のサイトがサービス終了で、全ての購入品が見られなくなりますなんていうニュースもありましたし。
    数年単位で買い換えて更新しなきゃいけない電気機器を使わないと読めないというのがどうもね…。
    音楽に関してはカセットからMD・CD・iPodを経て今はマイクロSDカードとパソコンに集約したかなぁ。これはもう他にどうしようもないので。
    USBメモリもマイクロSDカードも平均寿命3年くらいらしいですよ。
    あと自分で焼いたDVD-Rなどもメーカーに寄りますが、10年保たないとか。
    一転、物質としての本ならいつでもパッと手にとってめくれば済むのが強み。
    まぁ物質としての本も寿命はあるのですけど、手持ちの本は私の寿命くらいはだいたい持ちそうなのでそれでいいです。
    本の寿命で思ったんですけど、50年以上前の文庫より最近のラノベ系文庫の寿命の短さといったら!
    発行から10年も経ってない物でも、すぐぱかっとのど割れするんですよ。ノリが弱いのかなんなのか。
    一応修復できなくはないですけども。
    電子書籍だと検索できるなら便利かな?あとふせん。

    歴史的な話ではパラケルススの痕跡本の表現が素敵でした。
    『刺繍のように丹念に書きこまれた手書きの文字と印刷された活字が調和して、全ページがレース編みさながらです(p160~161)』
    あと行商本。何かどっかの本で読んだ気がします。
    コンキスタドールは許すまじ。
    意外と愛書家の方でも台詞だけの飛ばし読みすることがあるって所にびっくり。
    現代っ子の動画倍速視聴みたいなものですねぇ。

    『雇用の問題に誰もが頭を抱えている現代社会では、手工芸の分野に活路を見出す若者が増えています。これはイタリアでは明らかな事実で、おそらくフランスやその他の西欧諸国でもそうだろうと思います。(~中略~)五十年前に同じ仕事をしていた人々は、高等教育にたどり着かなかった人が多いので、その手の本は読まなかったでしょう。つまり今の人たちは高等教育を受けたうえで、手仕事の世界にのめりこんでゆくんですね。(p307)』
    これは地味に共感出来る話。もういまや、学校卒業して誰もが安定した会社にお勤めなんて夢を見ている時代じゃないんだよなって気がしてます。
    もっと一次産業や二次産業にも目を向ける教育が子供の頃から必要なのかも。
    それと続けるのにしんどくならない作業改革ですかねぇ。

    文庫で出たら手元に欲しい一冊でした(文庫ガチ勢なので。

  • 装丁とはうらはらに、真面目なアンチ紙でない書物トーーーーーーーーーーーーークだった…

  • ウンベルト・エーコとクロード・カリエールの、書物についての対話集です。題名は攻撃的ですが、2人とも紙の書物がなくなるとは思っておらず、様々な蘊蓄を交えながら書物に対する愛情を語り合っています。
    個人的にも、電子書籍の便利さを感じながらも、紙の書物を読む楽しみは捨てがたいと思っているので、とても共感できました。(^^)
    この感想を書く時に気づいたのですが、この本の電子書籍が発売されているのを知って、何となく笑ってしまいました。

  • 本を偏愛する2人、エーコとカリエールの間で弾むような会話が繰り広げられる。時に脱線もするのも含めてとても楽しく読めた。

    読者のナラティブによって本の解釈は変わっていくものだという。名作は歴史を経て豊かな解釈がなされて、現代にも意味を持ち続けている。だから古典は今でも価値があるのだと改めて感じた。

    印象に残ったのは以下の2箇所です。
    「書物の一冊一冊には、時の流れのなかで、我々が加えた解釈がこびりついています。我々はシェイクスピアを、シェイクスピアが書いたようには読みません。したがって我々のシェイクスピアは、書かれた当時に読まれたシェイクスピアよりずっと豊かなんです」
    「書物はもちろん読まれるたびに変容します。それは我々が経験してゆく出来事と同じです。偉大な書物はいつまでも生きていて、成長し、我々とともに年を取りますが、決して死にません。時とともに作品は肥沃になり、変容し、そのいっぽうで、面白みのない作品は歴史の傍らを滑りぬけ、消えてゆきます」

    傍に置いていつでも読めるようにしたい本。装丁も素晴らしいですしインテリアにもなります。

  • 紙の本についての深い愛が貫かれている1冊。
    少しリラックスした語り口(あるいは対談)なので、緻密な小説世界に比べて本当にちょっとだけ読みやすい(気がする)。
     

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウンベルト・エーコの作品

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