- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488016548
作品紹介・あらすじ
可愛がっていた飼い猫が大きくなっていき、気がつくと、ソファの隣で背もたれに寄りかかって足を組んでテレビを見ている!そして…という「猫の愛人」、真面目な青年と、悪さをしながら面白おかしく暮らす彼のドッペルゲンガーの物語「ドッペルゲンガー」、事故で死んだ女性が、死後もこの世にとどまって残された家族たちを見守ることになる「時空の亀裂」等々、十二篇のゆるやかに連関した物語。千夜一夜物語のような、それでいて現実世界の不確実性を垣間見せてくれる、ウィットブレッド賞受賞作家によるきわめて現代的で味わい深い短篇集。
感想・レビュー・書評
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「可愛がっていた飼い猫が大きくなっていき、気がつくと、ソファの隣で背もたれに寄りかかって足を組んでテレビを見ている!そして…という「猫の愛人」、真面目な青年と、悪さをしながら面白おかしく暮らす彼のドッペルゲンガーの物語「ドッペルゲンガー」、事故で死んだ女性が、死後もこの世にとどまって残された家族たちを見守ることになる「時空の亀裂」等々、十二篇のゆるやかに連関した物語。千夜一夜物語のような、それでいて現実世界の不確実性を垣間見せてくれる、ウィットブレッド賞受賞作家によるきわめて現代的で味わい深い短篇集。」
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短編集。登場人物がリンクしているのが楽しい。
現実世界のようでいて、ちらちらと顔を出すギリシャ神話がそれをおとぎ話めいたものにしている。
はきはきした文章が読みやすかった。
「テロメア」
ゼイン一族はみんな個性的だなあ。
それぞれのエピソードをもっと知りたい。
「予期せぬ旅」
予期せぬ旅がさらに予期せぬ方へ。
どこまでも行けそうな気がする。
「ドッペルゲンガー」
どうやら自分の知らないところで、自分として活動している人間がいるらしい。
本当にそんな人がいたら落ち着かないよ。鉢合わせるのは遠慮したい。 -
ゆるい連作短編集。探偵ブロディシリーズから知った作者なので、ミステリーのように伏線回収されるかと思ったが違った。登場人物達の生々しい会話や思考、日常生活が少しずつ歪んでいく不思議世界などとても好み。もっとこの世界に浸りたい。
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111108さん
いつも興味深く本棚を拝見させていただいております。
ついさっき、コメントに気付き、返信遅くなりましたが、「探偵ブロディ...111108さん
いつも興味深く本棚を拝見させていただいております。
ついさっき、コメントに気付き、返信遅くなりましたが、「探偵ブロディ」へのコメントありがとうございます。
「世界が終わるわけではなく」は、正直、未だに自分の中で消化しきれていない部分が多く、難しく感じたのですが、「探偵ブロディ」で、アトキンソンの魅力に気付きました。
111108さんの感想を見て、ブロディの続編、ますます楽しみになりました。早く図書館に通えるよう、身の回りの整理を頑張ります。2021/06/29 -
たださん、お返事ありがとうございます。
いつもたださんのレビューに「そうそう!」と心の中でうなづいております。
「世界が終わるわけではな...たださん、お返事ありがとうございます。
いつもたださんのレビューに「そうそう!」と心の中でうなづいております。
「世界が終わるわけではなく」を私もとうてい消化できてるとは思いませんが、ブロディシリーズでもそうですがアトキンソンの人の描き方にはまってずっと読んでいたいような気持ちになります。
また続編読まれたらぜひレビュー拝見させてくださいね。楽しみにしてます!2021/06/29
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時系列は異なるが、緩やかに繋がりのある世界を舞台にした十二の短篇集です。
内容は、言葉遊びから、家族ドラマ、バディもの、ホラー、SF等々、多種多様となっており、更には、それぞれの物語がひと癖ある展開で楽しめましたが、個人的にはやや引き気味の視点が多かったのが気になり、物語の好き嫌いもありました。
それでもタイトルについては、どんな事象が起ころうとも世の中は続いていくし、輪廻転生や、夢についてのポウの言葉を引用していることから、魂の普遍性や現実世界の儚さを感じ取ることにより、ちっぽけなひとりの人間の存在を感じ取れた事で、ある意味、気楽になれた自分もいました。 -
懲りにこった謎解きや何重にも絡む人間関係の複雑さを売りにし、結局読書を終えた後には疲労感と確かに読んだという記憶しか残らない本が多い中、風のようにさっとやってきて印象に残る本書は良かった。もったいつけずに言いたいことだけ書きました、って感じで清々しい。話の内容は単純で理解しやすく、故に文筆力が試されるような内容。探偵のやつはいまいち未消化だったが、こういう短編集なら何冊でも読みたい。ちょっと男性描写が辛辣な感じがする。
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そこにあるのはどうにもならない孤独、なのにぷっと笑いたくなる。
登場人物がつながっていくんだろうな、くらいは予想がついても、
もうひとつの仕掛け、つまりエンディング、はなんのことやら。
えっとこれはつまり、ちょっとジョナサン・キャロルちっくなの?
そこまでいかないの?
ファンタジーにはとんと疎くて。 -
皮肉の混じった現実の世界に、神話的な、あるいはSF的な非日常が入り込む。
関係のないようなそれぞれの短編は少しずつクロスしている。
一冊の本として巧みな構成となっていて、面白かった。 -
うっすらと登場人物が重なり合って一つの世界を作る短編集。どの短編も少し不思議な、幻想的な世界と繋がっている。また短編によって手触りが少しずつ違う。最初の短編は、まさしく世界の終わりのような日々の中でひたすら商品名が列挙される。妻を失った話は叙情的だし、いかにも十代な会話とモノローグ形式で進む短編もある。
シッターと有名人の不憫な息子の二人旅の話、認知されなかった大富豪の息子が、その家を訪ねた時の辛い思い出の回想の話が良かった。 -
「そもそも我々が現実とみなしているこの世界だけが、
唯一無二の現実なのだろうか」
訳者あとがきにある作者の問い掛け、と云うこの一文に
凝縮されているのではないでしょうか。
12編からなる短編集なのですが、
どれも少しずつ関連したお話になっています。
最初と最後の2つのお話だけが、
ある世界の現実としたらそれは悲劇の様ですが。
そしてシャーリーンとトゥルーディの寝物語とした処から、
千一夜物語の様、という書評に繋がるのでしょう。
それは置いておいて。
少しずつ絡む世界と人物を1つずつ探して楽しむもよし。
世界が何処で繋がっているかに思いを馳せるもよし。
個人的には「テロメア」「予期せぬ旅」
「猫の愛人」「忘れ形見」がお気に入りです。
表紙とタイトルに惹かれて手に取った一冊でしたが、
自分的にはかなりアタリの一冊でした。 -
(2014/07/20購入)(2014/08/01読了)