- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017859
作品紹介・あらすじ
音楽学科の定期演奏会の舞台を泡まみれにした犯人は誰か、その目的は? 爽やかな余韻の表題作はじめ、聴き屋の柏木君と文芸サークル第三部〈ザ・フール〉の愉快な面々が総登場する全5編。お待たせしました第2弾!
感想・レビュー・書評
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人の話を聞くのが得意という聴き屋の大学生柏木が主人公で日常の謎を解いていく。聴き屋というのも変な設定だけど、同じサークル仲間も個性派ぞろい。特に、存在感がないと言われネガティブ思考の先輩がいい味出している。祖父の話、恋愛の話、美少年タレントの話、かくれんぼの話、人魚の話の5編だが、どれも脱力感に溢れている。挿絵も雰囲気が合っている。世は何事もなし平和だなあ、という感じだねえ。
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音楽学科のコンサートの舞台を泡まみれにした犯人は誰か、その目的は? 爽やかな余韻の表題作はじめ、聴き屋の柏木君と文芸サークル第三部〈ザ・フール〉の愉快な面々が総登場する全五編。
お待たせしました第二弾! -
★この人は、人です。幽霊じゃありません(p.122)
けっこう好きなキャラたちなので続編が欲しいけど最近書かれてないみたい?
【青鬼の涙】泣いた青鬼の理由は? この解答が正解かどうかはわからない。そう思いたいということでよいのだろう。
【恋の仮病】冴えない男子学生の舞田くんと男前な女子学生志藤さんは恋のないところから付き合いはじめた。
【世迷い子と】美少年モデルの良介くんはなににおびえたのか?
【愚者は春に隠れる】フリーマーケットに出店したザ・フールは会場のさくら公園全域をエリアとしたかくれんぼをはじめた。
【人魚と金魚鉢】学内の音楽コンサートの会場が「人魚と金魚鉢」という演目にちなんで? 泡だらけに。おりしも柏木くんはその曲をつくった先生の弟子と知り合つていた。
■聴き屋についての簡単なメモ
【芸術学部祭 一行目】心理学の教授いわく、学部によって学生の服装傾向が分かれるのだという。
【人魚と金魚鉢 一行目】カーナビは偉大だ。舗装が行き届いていないこんな山道でも、正確に目的地へと導いてくれる。
【蒼神さま/あおかみさま】柏木君の祖父母の家の裏山に祀られている。地元では尊敬されており事あるごとに皆登る。山じたいは柏木家の持ち山。
【東/あずま】柏木くんの弟と思われる。高校生。バスケットボール部。素直な性格と思われる。
【安西芙美菜/あんざい・ふみな】写真学科四年。芸術学部祭最終日に焼死体となって発見された。
【梅ちゃん】「ザ・フール」の後輩の女子学生。文芸学科。BL系が好き。《あたしは妄想の世界に生きるって決めたんです》p.218
【浦口/うらくち】音楽学科三年。音楽学科の学生選抜コンサートの出場メンバーだが壁に向かってえづいていた。ヴァイオリン。
【会長】学生自治会の会長。使いものにならないと言われている。マンガなんこではふつうそういうヤツが鋭かったりするが?
【科学研究部】芸術祭でことごとく実験演目に失敗し科学困窮部となった。
【柏木くん】主人公で語り手の「ぼく」。生まれながらの聴き屋体質で誰の懺悔も苦もなくしっかり聴くことができる。《無関心であることが聴き屋を生み、聴き屋が結果的に第三者を救えているのなら、冷めた心はむしろ美徳といえる》p.14。刑事から捜査内容をある程度聞きだすことすらできる。東(あずま)や立夏(りっか)の兄と思われる。
【柏木くんの祖父】S県の田舎町の地主。大きな金属加工会社の工場長だった。隠居後は町のご意見番的存在だったようで厳しく見えるがご地元では「青鬼」と呼ばれつつも頼りにされ慕われていたようだ。聴き屋体質は祖父から受け継いだものかもしれない。ルックスはかなりよく東(あずま)はそれを受け継いだようだ。
【からくりツィスカの余命】ザ・ムーンが今度やる演目。原作者に対するお茶目ないたずらのせいで原作者が逃走しそのとき終幕部分を抜いていったのでどう終わるのかわからない。
【川瀬公彦/かわせ・きみひこ】柏木くんの友人。女装がものすごく似合う。家からずっとゴージャスな女装で通学した男らしさ。二ヶ月前に文学新人賞を獲ってデビューした。純文学系だが読書傾向はミステリ寄り。作家にはわりと多いようですね。実直なタイプとの相性がものすごく悪い。
【聴いてもらう】能動的なのではなく「聴いてもらう」という受動の面が強い。
【聴き屋】「ザ・フール」の芸術祭での演し物のひとつ(普段もやっているようだ)。柏木くんがひとりでやらされている。なんでもただ聴くだけ。懺悔室みたいなものかと。あるいはロバの耳。無料。かなり盛況でとにかく聴いてもらいたいことがあったら皆とりあえず柏木くんを探す。
【黒猫】キャンパスの女王。副会長からはクロちゃんと呼ばれている。
【芸術学部】T大学芸術学部。学生数四千人ほど。キャンパスは郊外の広大な土地にあり、他学部から完全に隔離されている。全八学科で文芸学科、美術学科、音楽学科、演劇学科、写真学科、映画学科、放送学科などがある。部室棟は五十以上の部屋を抱く。《どこか人種レベルで違うよね、君たちは。》芸術学部祭p.11。《キャンパス界隈の住民は芸術学部生の突飛な言動に慣れきっていた。》人魚と金魚鉢p.86。でも教授陣や上の方の人は意外に保守的で権威主義的だったりする。
【芸術祭】突発的な演し物もOK(いちおう許可は必要)。
【こだわり】柏木《みんなそれぞれにこだわりがあるというのなら、それを尊重したいとは思う。》p.144
【さくら公園】都立公園。芸術学部近くで1.6kmにおよぶ桜の名所だったがザ・フールのメンバーは誰も知らなかった。春と秋にフリーマーケットが開かれる。
【ザ・フール】柏木くんが所属するサークル。文芸第三部。「変人集団」を率いる月子さんに「あの変人集団!」呼ばわりされた。《うちのサークルには局所的な能力を持つ人は多いけど、人と人の間に立って何かできる人材は絶無だよ》p.154。「先輩」や川瀬もここに籍を置いている。総部員数は幽霊部員も含めると百人を超えるがアクティブメンバーは二十名弱。柏木くん、美術学科の「先輩」、川瀬、部長、写真学科の羽鳥、美術学科の森里、デザイン学科の永江、後輩の梅ちゃん、津田などがいる。
【ザ・ムーン】月子さんが立ち上げた学生劇団。「変人集団」と呼ばれる。
【志藤さくら】舞田くんと付き合っている180センチ以上ありそうな長身で全身黒のウェアで牛丼特盛をかっこんだうえに麺類は別腹とペペロンチーノを注文した宝塚の男役みたいな女子学生。
【小説】川瀬《小説を口で説明したら、小説の意味がないだろうが。》p.33。それはその通りですね。その形式になっているからにはそれがまるごと必要なので。特に純文学系では。
【少年窃盗団】箱根に出没する。「テツ」「ヤス」と呼ばれていた。
【芹沢】ザ・フールのメンバー。「ポエマー」らしくすぐ詩を詠むが皆からはスルーされている。永江さんの従者になったらしい。
【先輩】柏木くんが知る誰よりもネガティブな女性。美術学科。何十分もだらだら愚痴を続けることができる。作家や芸術家向きかもしれない。おそらくかなり才能がある。年上からも「先輩」と呼ばれている。《わたしの話を聴いてくれるの、柏木しかいないから・・・・・・》p.18。背後霊のように柏木くんの背中にくっついてくる将来柏木くんと結婚する必要がありそうな人物。一家にひとつ柏木くん。
【月子】演劇学科三年。目立つ演劇学科の学生の中でも特に目立つ存在。憑依型俳優。
【津田】ザ・フールの後輩。男性。
【永江】ザ・フールの先輩。女性。手錠の持ち主。Sタイプ。芹沢のご主人様らしい。
【成田】模型部の紅一点。国際宇宙ステーションを制作中。地球人はもともと火星人だったのかもしれないという説を唱える。あまり多く交渉をもっていなかった柏木くんとしては天然系のように思われた。
【走れメロス】梅ちゃんに言わせるとBL系。そう思っている人は多いでしょう。
【長谷川】音楽学科四年。チェリスト。
【葉山】管楽コースの学生。女性。
【副会長】学生自治会の副会長。会長が使いものにならないので実質的な会長かもしれない。柏木くんに弱みを握られている。美少年が好きかもしれない。
【部長】冬が嫌い。
【古林】音楽学科教授。六十歳の著名なヴァイオリニスト。「人魚と金魚鉢」という弦楽四重奏曲を作り演奏することになっている。
【不破良介/ふわ・りょうすけ】十歳の小学生モデル。
【北条/ほうじょう】写真学科二年。
【ぼく】→柏木
【舞田】聴き屋の客。賭けに負け好きでもない相手(志藤さん)に告白した
【牧野】放送学科二年。模型部所属。ちゃらんぽらんで人望がなく敵だらけ。
【マスター】行きつけの喫茶店のマスター。ものごとに動じない。恰幅がいい。
【三門文子/みかど・ふみこ】不破良介くんのマネージャー。叔母でもある。良介くんからは「フミちゃん」と呼ばれている。大学OG、放送学科出身。
【模型部】弱小で全五名。部長は放送学科の三年の菅原、牧野、成田、音楽学科でフルート専攻の渡辺、映画学科の宮本、
【森里】美術学科。
【立夏/りっか】柏木くんの妹と思われる。祖母は「りっちゃん」と呼んでいる。中学生にありがちな家族と口もきかないというようなタイプではなくコミュ力高い。空手部。
【料理研究部】いつもユニークなものを作る。芸術祭で荒稼ぎしIHクッキングヒーターをゲットした。 -
今作は人も死なず、全てが日常の謎になっていて、違和感が消えてとても面白かった。フリマの話の理不尽なところとか、すごく好き。
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聴き屋シリーズ第2弾。
でも1話目の舞台が大学でなかったんで、最初、わけが分かんなかった。
超ネガティブな先輩、好き。
でも、前作ほどのネガティブ発言は少なかったかな。
出くわした人が彼女の雰囲気にビビるシーンは多かったけど。
おぇってばっかりいる浦口さんもよかった。 -
聴き屋が心理学の授業のテーマになるって面白い。聴き屋自身も面白いけど、さすが芸術学部だけあってキャラが濃くて好き。イラストもぴったり。この作家さんの作品もっと読みたいなぁ。
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聴き屋がシリーズになりました。
嬉しい。
変人の巣窟の中の変人たちの集まるサークル「ザ・フール」…って何してるんだっけ?
忘れました。
シリーズ化されたということで、聴き屋たる柏木氏の人物像というか家族にも視点が向けられたり。
前作同様面白かったです。
聴き屋のわりに、結構突っ込んでいて面白かったです。 -
聴き屋シリーズ第2弾。
今回も軽妙な語り口で楽しませていただきました。
柏木きょうだい、みんないい性格してるわ。
「恋の仮病」のラスト1ページのニヤリ感が最高。