七つの海を照らす星

著者 :
  • 東京創元社
3.65
  • (50)
  • (148)
  • (141)
  • (13)
  • (3)
本棚登録 : 722
感想 : 161
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024376

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 北村薫さんの円紫さんシリーズの中の『秋の花』を
    涙をぽたぽた落としながら読み終え、またすぐに読み返そうと本を開いたとき。
    本文1頁めに、謎解きのヒントが仄めかされていたことに愕然として
    思わず本を取り落としそうになったことがありました。
    これほど繊細な物語を紡ぎながら、
    一方ではこんなに大胆に、読者への挑戦をつきつけるなんて、と。

    あの、目が覚めるような驚きを、デビュー前の応募作で
    しかも本文1頁目どころか表紙で、大胆にも上書きしてしまう作家が現れようとは。
    七河迦南さん、計り知れない力を秘めた作家です!

    惜しいことに、こういったジャンルの草分け的存在である北村薫さんが
    鮎川哲也賞の選考委員に加わったのは翌年からで
    もし第18回の選考を北村さんがしていたら、どんな素敵な選評を書いたのか
    気になってしかたありません。
    (文庫化の暁には、北村さんが解説を書いてくれないかなぁ♪と
    果てしなく妄想はふくらみます♪ )

    さまざまな事情を抱えて、児童養護施設「七海学園」で暮らす子どもたち。
    死んだはずなのに甦ってピンチを救ってくれた先輩、
    階段の行き止まりから魔法のように姿を消した少女、
    女の子6人で通ると、闇の中から7人目の囁きが聞こえてくるトンネルなど
    「学園七不思議」と呼ばれる謎を
    心の支えにしたり、生き抜くための隠れ蓑に使ったり、
    美しい思い出として静かに胸の奥に仕舞い込んだり。

    体育会系熱血保育士の「はるのん」こと春菜と
    「あの子は本当にいい子ですねえ」と、学園のすべての子どもの
    心の声に耳を傾け、温かく見守る児童福祉司の海王さんが
    謎を鮮やかに解きながらも、「真実と事実は違っていい」と
    傷ついた子どもたちが、生きていくために容赦ない事実を必死につなぎ合わせ
    自分なりの解釈を加え、ある時は書き換えてまで作る物語を
    やわらかく受け止めてくれているのがうれしくて。

    ひとつひとつの謎は、淡水パールのひとつぶのように小粒だけれど
    第七話ですべての謎がつながったとき、目の前にひろがる物語は
    ひとつぶひとつぶ丁寧に糸を通して作りあげられたネックレスのように
    清らかな光を湛え、煌めきます。

    美しいタイトルそのままに
    銀河の果てで、今はもうなくなってしまったのかもしれないけれど
    それでも地球に届き、闇を照らしてくれる星の光を思わせる名作です!

    • まろんさん
      kwosaさん☆

      他ならぬkwosaさんから一番に花丸をいただくなんて、私こそうれしすぎて♪
      だって、kwosaさんがいらしたからこそ、読...
      kwosaさん☆

      他ならぬkwosaさんから一番に花丸をいただくなんて、私こそうれしすぎて♪
      だって、kwosaさんがいらしたからこそ、読めた本なのですから。

      『空耳の森』を予約したあと、あの本が『七つの海を照らす星』とつながっているので
      順番に読んだほうがいいとのアドバイスをいただいて
      あせって図書館に予約を入れようとしたら、例によって1巻目のこの本だけなくて。
      いつもはよほどのことがないと、リクエストカードを書かないのですが
      この本に限っては、と勇気を振り絞ってリクエストを出したら
      図書館のお姉さんが、きっとすぐには買えないからと、急いで県庁所在地の図書館から
      越境して取り寄せてくれたのです!
      しかも、私の予約数がいっぱいになっていたので、
      リクエストカードの名前を娘の名前にこっそり書き換えてまで。

      そして、kwosaさんや図書館のお姉さんの思いやりや善意に守られて届いた本が
      こんなに素晴らしい作品だったことが、ほんとうに幸せです。
      すすめてくださって、ありがとうございます!

      この本が届いてすぐ、『アルバトロスは羽ばたかない』の予約を入れたので
      予約待ちの『空耳の森』より先にたぶん届いて、順番通り読めそうで、
      今からわくわくしています♪

      北村薫さんの円紫さんシリーズは、私が日常の謎をテーマにしたミステリの
      大ファンになるきっかけとなった作品なのです。
      ことに、第三弾の『秋の花』で
      もう死んでしまった少女として登場する真理子の人となりが素晴らしくて。
      もし少しでも興味を持たれていて、お時間が許すようでしたら
      ぜひ読んで、レビューを書いてくださいね!
      読書欲が泉のごとく湧き出るよう、ひそかに呪文を唱えてお待ちしています(*'-')フフ♪
      2013/01/29
    • 円軌道の外さん

      うわぁ〜
      まろんさんも読んだんやぁぁ(笑)(*^o^*)

      わ〜いわ〜い♪


      自分はこの一作目は
      いまだに読んでない...

      うわぁ〜
      まろんさんも読んだんやぁぁ(笑)(*^o^*)

      わ〜いわ〜い♪


      自分はこの一作目は
      いまだに読んでないんやけど(汗)
      kwosaさんの素晴らしいレビューを読んで
      『アルバトロス…』を手に取り、
      すっかり七河さんのファンになってしまいましたよ(笑)(^_^;)


      まだ三冊しか出てない作家さんということで
      自分も急いで
      追いつきたいと思います(笑)♪


      まずはこの
      一作目を読まなきゃなぁ〜


      2013/02/06
    • まろんさん
      円軌道の外さん☆

      そうなのです、私もついに読めました!
      わ~いわ~い゚.+:。(ノ^∇^)ノ゚.+:。

      気になっていた本だったのを、kw...
      円軌道の外さん☆

      そうなのです、私もついに読めました!
      わ~いわ~い゚.+:。(ノ^∇^)ノ゚.+:。

      気になっていた本だったのを、kwosaさんのレビューで背中を押してもらい、
      続編の『アルバトロス・・・』でkwosaさんと円軌道の外さんが盛り上がっているのを見て
      よし!もう読むしかない!と決意を固めたので
      おふたりにはもう、感謝感謝です♪

      でも、今週、『アルバトロス』が届くと思ってたのに届かなくて
      しかも図書館が15日まで蔵書整理でお休みなので、
      きー!なんでよりによって今、お休みなのー?!
      とプチ癇癪を起こしているところです(笑)
      七河さん、もっともっと新作を書いてほしい作家さんですね(*^_^*)
      2013/02/06
  • 第18回鮎川哲也賞受賞のデビュー作。
    児童養護施設を舞台にした~日常の謎系の連作です。

    児童養護施設「七海学園」で働く保育士の北沢春菜は、24歳。
    子供達からは、はるのんと呼ばれて、親しまれています。
    それぞれに事情があって、家庭で育てることが出来なくなった子供達が集まっている場所。
    学園の七不思議といわれる謎めいた出来事があって‥

    児童福祉司の中年男性・海王さんが、探偵役として登場。
    欠けた所を何とかしようとするのではなく、子供を信じておおらかに見守る海王さん。
    微妙な立場の違いから、児相(児童相談所)はあまり信用できないという気持ちを抱いていた春菜も、海王さんに心を開き、学んでいきます。
    自然なあったかさのある健全な春菜の様子に、ここの子供達も気持ちがほぐれることでしょう。

    後輩を励ますために死から甦って姿を見せた先輩。
    非常階段の行き止まりから、姿を消した新入生。
    女の子が6人で通ると、いるはずのない7人目が囁くというトンネル。など‥
    事件は中学高校で噂になるような出来事が多くて、いかにも今の女子らしいムードがあるのですが、その背景にはやはり深刻な事情も。

    明るい春菜のあたたかな視点から描かれるために、重くなり過ぎないので、印象はいいですね。
    春菜の友人・佳音ちゃんもいい味出しています。
    謎は丁寧に考えられていて、最後に繋がってくるところが面白い。
    回文を作るエピソードであまりにもすぐにたくさん出来ちゃうのにはびっくり。作者がよほど好きなんでしょうね。

  • 人は物語なしでは生きて行けない、とは誰の言葉だったか。

    全七話からなる連作短篇。
    学園の七不思議的謎とそれにまつわる騒動。しかし、別の角度から光を当てれば違った事実が浮かび上がってくるという仕掛け。

    分類すれば『日常の謎』系ミステリになるのだろうが、児童養護施設が舞台ということもあって、背景がヘヴィな話もいくつかある。
    子供達がつらい現実を受け入れるためには謎や不思議に満ちた『物語』が必要なのだ。だから、時には真相が分かってもそれを伝えない場合もある。そこが面白い。『真実』とは人それぞれなのだ。

    とは言え、重いテーマを重く描くのでは芸がない。これを明るくさわやかなミステリに仕立てる作家の手腕が素晴らしい。連作短篇ならではのサプライズもいい。これがデビュー作なのだから今後が期待できるというもの。

    可愛らしい装丁とは裏腹に、児童福祉法や行政の対応などが丁寧に取材され、それがファンタジックな謎の解明に活かされているのにも驚いた。もっと多くの人に読まれればいいと思う。この『物語』を必要とする人はたくさんいるはずだから。

  • 文章がわかりにくいとことがいくつもあって、半分ぐらいで飽きてしまった。頑張って最後まで読んだら、最終章でスッキリした。

  • 第18回鮎川哲也賞。児童養護施設「七海学園」を舞台にした少年少女達の短編連作ミステリ。いかにも創元のような日常の謎っぽいが、物語の背景が施設の子供達なので、悲しい話が多い。養護施設と学校が別なので、わかりにくい部分もあり。
    短編の質は結構まちまちで、驚くほどトリッキーな展開もあれば、落語的なオチのものもあり。
    連作の伏線回収は手が込んでいていいが、強くカタルシスのあるような結末ではなかったかもしれませんね。

  • あざとい書き方だなぁと最初のページから思ったが、全て作者の計算だった。

    6つの短編に描かれる、舞台である児童福祉施設の社会的問題や、それぞれ異なる七不思議。細やかな伏線と前を向ける暖かな真相。

    そして第7話。最終話に作者の持ち味が凝縮されて、とてつもないインパクトを残す。
    ここまで盛り込んだ作品あるかってくらいの1話からの連鎖反応。ある衝撃の真実。細かいことでは某作品のアレだったり、某作家のメタ要素のアレだったり、最後のアレがアレでアレが…

    とんでもない作品なのだが、次作はさらにすごいらしい。早めに手をつけます。

  • 読了、80点。

    **
    児童虐待や片親など様々な事情により、親元を離れ生活を送る子供たちの集まる、児童擁護施設の七海学園。
    そこで勤務2年目となる北沢春菜は日々の業務に悪戦苦闘しながらも子供たちの持ち込む学園七不思議の真相を知っていく事になる…
    児童養護施設とそれに関係する社会事情に触れながら日常の謎を描く連作短編集。
    **

    『アルバトロスは羽ばたかない』(http://booklog.jp/asin/4488024580)の七河伽南さんのデビュー作です。
    『アルバトロスは~』のレビューで書いた不満点として、児童養護施設の諸々の状況(児童相談所との関係、他の施設と開催する運動競技会など)に関してはこちらを読んでみるとだいぶすっきりしました。
    またこの作品の最後の短編で明かされる事実に関して、「アルバトロス~」でネタバレを含まれているので、これから七河さんの作品を読んでみるという人は先にこちらの小説を読んでみることをお勧めいたします。


    小説として良かったのは何と言ってもこの主題、児童養護施設という勝手な思い込みによるイメージ、それもどちらかと言えばネガティブなもの、が先行しそうな舞台で、今までは良く知らずに来た内容について触れている事には非常に感心させられました。
    それこそ今までのイメージだと虐待された子ばかりが入っているような施設をイメージしていましたが、作中の説明によれば、片親になりどうしても生活が困難な子供が普段施設で生活しながら、週末には親と実家へ帰りったり、とそういうのもあるのかと知りました。
    もっとも実際には知らないのでここで書かれているのがどこまで本当かは分からないんですが。

    あとは『アルバトロス~』のレビューでも書いたとおりテキストそのものや作風が非常にやわらかく暖かく好みなのも改めて確認。

    欠点としては、1つの短編でほぼ1人の子供の問題点が浮き彫りになって春菜が問題解決に動くと言う形式の為に施設内の子供同士の人間関係が不足している印象なのと、
    こちらは読み手の問題化と思いますが、上記のスタイルの為にキャラの設定ばかり優先されて性格や人となりの点がちょっとロスされている印象。
    別の作品で名前だけ出されてもどういう子だったのかちょっと思い出せなかったりしました。

    あとはミステリー的な部分としては実質的に探偵役を勤める事の多い海王さんが凄過ぎて、この日常の謎、生活臭溢れる施設を書く物語の中では少しだけ違和感が残ります。

    印象に残った短編は、最後で表題作でもある「七つの海を照らす星」は別として、、、、目次見直してみたけど何と言うか個々の作品のトリックというか謎の真相部分は本当にパッとしないなぁ。
    一連の作品として最後にあの真相を持ってきたからこそミステリー的な評価は高くなったけど個別に見るとちょっとキツイですね。
    謎解きの取っ掛かりがふとした会話からということで、「滅びの指輪」は上手かったかな、真相もかなり凄いものでしたし。


    ということでこの『七つの海を照らす星』、続編の『アルバトロスは羽ばたかない』と続くんですが、このシリーズここで終わってもらうと消化不良になるなと、是非とも3冊目が刊行されるのを期待しています。

  • 児童福祉施設を舞台にそこで現れる日常の謎を解決していい職員の話。短編連作で最終章の全てが繋がって綺麗に終わるのはとても良かった。基本的に過去に起きた出来事を解決するものが多いので、ひとりの人物が延々と説明しているところは、ちょっと辟易した。それでもやっぱり面白い作品だった。

  • ★この不思議は大事なものだった。(p.51)

    ・読後感はいい。主人公のキャラクタがいい。このおおらかさをもっと発揮させてあげたかった気もしました。
    ・児童養護施設「七海学園」で起こった不思議なできごとの謎。短編連作。重い話かと思えばそうではなく繊細な子どもたちにまつわるどこか叙情的な感じで。
    ・積み残し要素がかなりある。たぶんラストに向けての伏線としてあえてそうしてると思う。第一話の幽霊。第三話の短冊を書いた誰か。第四話で佳音が初めて来たはずの道を知ってたことと、全編通して最大の謎である直のその後と、なぜ回文? 第五話の裏庭から逃げた少女。第六話の小さな女の子と、謎の美少女。たぶんこのあたりがラストにつながるのだろう(最後の話は今の時点で未読)。……読んだあと、あ、まだ積み残しあったか、と。

    【一行目】くねくねと谷間を縫っていく県道を走るバスを降り、ゆるやかな上り坂沿いの小さな商店街を抜けた後、ひたすらきつい坂道と石段を五分ばかり行くと、土地の人が潮見台と呼ぶ少しだけ平らな場所があり、そこで振り向くと海が見える。

    ▼七海学園についての簡単なメモ

    【開かずの門の浮姫】七不思議のひとつ? 大昔に学園を追い出された女の子が死んだが勝手に入ってくるようになったその子を封じ込めるために開かずの門が作られ鍵とたくさんの呪文が使われた。
    【亜紀/あき】葉子と同じ施設から移されてきた。葉子には何かが取り憑いていると言う。マイペースで、皆から敬遠されている葉子に対しても平気で近づいてくる。噂話が好きであれこれ仕入れてきてはさも本当のように語る。得意テーマは「学園七不思議」。
    【明/あきら】川崎明。美形。大日愛児園の女生徒とつきあっているらしい。
    【秋本譲二/あきもと・じょうじ】沙羅と健人の父。
    【浅田優姫/あさだ・ゆうき】→優姫
    【ウランちゃん】安藤藍(あんどう・らん)。通称「ウランちゃん」。ひばり寮。勤(アトム)の二卵性双生児の妹。沙羅と仲がいい。
    【大隈/おおくま】ひばり寮の主任。四十代。学園全体に睨みを利かせている。こどもたちからは「クマさん」と呼ばれている。
    【海王/かいおう】児相の児童福祉司。「大きな人」らしい。この話の探偵役って感じ。
    【柿沢/かきざわ】児相の児童福祉司。海王の部下か後輩。
    【夏期転住/かきてんじゅう】かつて、八月の半月ほど学園の子どもたちの大半を連れて自然の中の陽向山荘で過ごすイベントがおこなわれていた。
    【勝弘/かつひろ】空気読まない系でおしゃべりで騒々しく「オトコ亜紀」と呼ばれている。
    【加奈子/かなこ】塔ノ沢加奈子。七海学園の高三生。つばめ寮の最年長。面倒見はよさそうだ。県内児童養護施設の自治会連合役員会に出席している。穏和で真面目、すらりと背が高くセミロングの髪に理知的な銀縁眼鏡。
    【佳音/かのん】野中佳音。春菜の友人。おっとりした「お嬢さん」タイプ。浮世離れしたところがある。車のハンドルを握ると人格が豹変する。運動神経はかなりいい。わりと探偵の才能がありそう。
    【河合恵美子/かわい・えみこ】春菜と同じつばめ寮で働く同僚。歳は同じだが職場では先輩。こどもたちからは「イヨちゃん」と呼ばれている。
    【消えた少女】七不思議にカウントはされてないようだが学園に一週間だけいて消えた少女の話。先生も知らず俊樹の記憶にしか残っていない。
    【北沢春菜/きたざわ・はるな】→春菜
    【救護院】いまは自立支援施設と呼ばれている。問題行動を起こす子どもたちが入所しているらしい。
    【健人/けんと】沙羅の弟。ひばり寮。
    【古森/こもり】葉子が前にいた施設の調理員。玲弥に対しても優しく接していた。
    【沙羅/さら】つばめ寮の中一。弟の健人はひばり寮。父(秋本譲二)はちゃんといるが母が家を出ていってしまい忙しくて世話を続けるうち失職しかけたので学園にあずけることになった。いつも週末の土日だけ家族で過ごしている。
    【三条美寿々/さんじょう・みすず】優姫が捕まったとき名乗った名前。金持ちの娘。一度連絡すると父親はけんもほろろの対応を取ったが後に何か力になりたいとわざわざ言ってきて少し不自然だった。
    【児相】児童相談所。児相が子どもの児童養護施設入所を判断する。子どもひとりひとりに担当する児童福祉司がいる。
    【実誠学園/じつせいがくえん】七海学園と近くに夏期転住していた救護院。ちゃんとしてたら炎のようなお揃いのタンクトップをもらえる。
    【大日愛児園/だいにちあいじえん】県内の児童養護施設のなかで最もルールの厳しい施設。
    【拓美/たくみ】俊樹の親友。
    【血文字の文子】七海学園七不思議のひとつ? 父親に引き取られた文子という少女が部屋に閉じ込められ病気で死んだ後に七夕になると白い壁に血文字で恨み言が浮かび出てくる。
    【勤/つとむ】つばめ寮の中一。ニックネームは「アトム」。二卵性双生児の「ウラン」とともに鉄腕兄妹と呼ばれている。
    【俊樹/としき】学園の卒園生。美香より四歳年上で春菜が就職したときすでに卒園して大工をしていた。いまでも学園の手伝いをしてくれたりする。
    【直/なお】小松崎直。夏期転住のとき学園に入所した少女。消失した。
    【中村】俊樹が小学生だった頃の七海学園の児童指導員。
    【夏の小鳥たち】ペネロピ・ファーマーという人の書いた小説。直が好きだと言ってた。佳音も知っていた。
    【七不思議】「玲弥先輩の蘇り」「捕まえられない廃屋の幽霊」「血文字の文子」「非常階段で消えた幻の新入生」「開かずの門の浮姫」「トンネルで囁く暗闇の天使」。なるほどこの本の中の話は全部カウントされてるわけね。そしてもうひとつお決まりの「誰も知らない謎」。
    【七海学園/ななみがくえん】児童養護施設。おおむね二歳から高校三年生まで。管理棟を中心にひばり寮、かもめ寮、つばめ寮がある。
    【廃屋の幽霊】七不思議のひとつ? とある廃屋に女の子の幽霊が出て人をからかう。優姫がその当事者というか幽霊本人。
    【春菜/はるな】北沢春菜。主人公。語り手。二十四歳。七海学園つばめ寮で働く保育士。こどもたちからは「はるのん」と呼ばれている。目つきが怖いらしくナンパ野郎からは敬遠されている。声も自分で思っているよりもドスが利いていて迫力があるらしい。
    【博/ひろし】葉子が前にいた施設の子どものひとり。穏やかな性格の優等生。玲弥は彼に対して苛々していたようだ。彼の存在も伏線のひとつかと思っていたがそうではなかったようだ。
    【不思議】《そう、葉子にとって、この不思議は大事なものだった。》p.51
    【舞/まい】ひばり寮の小六生。
    【牧場/まきば】児童指導員。筋肉ムキムキのスポーツマンであだ名は「マックス」。
    【雅人/まさと】俊樹の親友。
    【マリーナ】春菜と佳音の行きつけのカフェ。
    【美香/みか】学園の卒園生。今は新七海駅近くの服飾店で働いている。春菜が就職したとき最上級生のリーダー格で一年間、むしろ世話になった。
    【みどり先生】俊樹が小学生だった頃の七海学園の保育士。俊樹と直に回文を教えてくれた。
    【ヤスコ】俊樹が小学生だった頃の七海学園の子ども。
    【山田】葉子が前にいた施設の調理員のひとり。あまりやる気はない。もうひとりの古森さんはちゃんとしており優しかった。
    【山根/やまね】児童指導員。
    【裕美/ゆみ】中二。
    【優姫/ゆうき】浅田優姫。十八歳。七海学園の最上級生。もうすぐ高校を卒業し七海学園からも退園する予定。古風な瓜実顔に控えめな性格。子どもの頃万引きして捕まったときほぼ天涯孤独なうえ戸籍がなかった。北沢春菜が担当。《いいの。あたしはこの世に自分のいられる場所があるってだけで十分満足してるから》p.71
    【葉子】中二で勝手な行動が目立つ。ケンカのスキルは他の女子を大きく凌駕する。他の施設の縮小に伴い移されてきた。
    【玲弥/れいや】葉子が前の施設でなついていた。ホストのような名前だが女子。乱暴とされていて孤立していた。自立支援施設に移されてまもなく亡くなったとのウワサ。葉子に玲弥がとり憑いていると亜紀は言う。

  • 85:新聞の広告欄で「空耳の森」を知り、とりあえずデビュー作から……と借りてみましたが、なかなか面白かったです。
    訳あって親元を離れて暮らさざるを得ない子どもたちが生活する「七海学園」。子どもたちの間で語られる七不思議を巡る、七つのお話。
    設定は重いのですが、学園で生活する子どもたちの明るさと、語り手の春菜たち職員が子どもたちを思いやる心に救われるような物語でした。
    謎の提示と解決法がワンパターンなことがひっかかりましたが、最終話でその不満も一気に解決される(かもしれない?)仕掛けになっています。
    他の本も読んでみよう、と思わせる作品でした!

全161件中 1 - 10件を表示

七河迦南の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×