七つの海を照らす星

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024376

感想・レビュー・書評

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  • 児童養護施設が舞台で、そこで起こった出来事の謎を明らかにしていくミステリー。
    七話の短編で、連作になっている。

    ミステリーでは珍しい人が死なない作品。

    最後には仕掛けもあって面白かった。

    次作「アルバトロスは羽ばたかない」はさらに評判がいいので期待。

  • 児童養護施設で起こった謎を保育士と児童相談所の海王さんが解き明かしていく。
    いくつかの事件を経て、見えてくるもの。
    こういう本を読むとますます子どもたちはみんな幸せであって欲しいと思う。
    そして、子どもは、ただ単に守られる存在でなく、大人が思う以上にしっかり考えて行動している。

  • 様々な事情から家庭では暮らせない子供達が生活する児童養護施設、七海学園で起こる日常の謎系の事件の連作短編です。
    七海学園では学園七不思議と称される怪異が生徒達の間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけているのです。
    孤独な少女の心を支える死から蘇った先輩。
    非常階段の行き止まりから夏の幻のように消えた新入生。
    女の子が6人揃うといるはずのない7人目が囁く暗闇のトンネル等。
    最終章で今までの物語の複線が1つになって、新たな真実を見せるのには感動しました。

  • 児童養護施設を舞台に繰り広げられる『日常の謎』が主人公達によって紐解かれるミステリー。
    設定や構成が意外で面白い。テンポがよく、作者さんの頭の回転の早さや知識の広さがうかがえそうな作品。中盤からちょっとストーリーが疲れ気味だけど、最終的にはまるく収まり、大団円で好感もてます。

  • 児童養護施設が舞台の日常ミステリ短編集。六つのそれぞれの短編が最後の話に繋がっていく。


    最後まで読んで作者の名前を確認して納得。佳音ちゃんがこの小説を書いたって設定になるのか、な?



    第五話が一番好き。
    明くんも瑞枝ちゃんもいい子・・・。加奈子ちゃんとくっついてほしいような、吹っ切れて瑞枝ちゃんと新しい恋をしてほしいような。

  • 日常の謎系。第18回鮎川哲也賞。

    面白かったか?と聞かれれば「面白かった!」と答えるけど、好きか?と聞かれると「うーん…」となる本。ほんわか日常系と思わせつつ、社会派なエピソードを絡めてくる雰囲気は『退出ゲーム』とかのチカ・ハルシリーズに似ていると思う。でも、チカハルと比べて苦味が浮いた感じがしてしまって…。なんていうか、全体的に模範的過ぎるように感じてしまった。登場人物も、作風も。

  • 第18回鮎川哲也賞受賞作。
    次作となる「アルバトロスははばたかない」を先に読んでしまったので、この作品を読んで、話がやっと繋がった感じ。
    七海学園で起きる日常の謎を一話ずつ、短編で繋いでいき、最終章でまとめる作風はなかなか楽しめる。
    子供たちの今後も楽しみ。

  • 最後はちょっと強引な気もするが楽しく読めた。自動養護施設の様子など興味深かった。私負けましたわ。

  • 第18回鮎川哲也賞受賞作、続篇「アルバトロスは羽ばたかない」は2011年度このミスにて第9位にランキング。注目の新人作家さんのデビュー作です。

    しかしここ2~3年にデビューしたミステリ作家さんはネームに『七』が含まれるのが多いのは偶然でしょうか?七尾与志、中山七里、そして七河迦南…今作の七河氏のネームの由来は他の七の作家さんを意識したものなのか?もし意識されてたなら、恐ろしいミスリードと言えます。


    以下ネタバレあると思われますのでご注意ください!


    ジャンルとしては「日常の謎」になります。ただし舞台として児童養護施設「七海学園」を創造したこと、そして主人公北沢春菜を学園で働く2年目の保育士としたことが大きなポイントでありましょう。

    児童養護施設:児童福祉法に定める児童福祉施設の一つ。児童福祉法41条は、「児童養護施設は、保護者のない児童[1]、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」と定義する。


    wikiにはこうありました、作中でも様々な理由によって学園に身を寄せることになった子供達が登場します。主人公春菜のキャラとして、2年目の若手ながらも決して子供達に舐められてない、それでいて真剣に子供達と向き合い子供達の幸せを願って行動する、ドスの効いたお姉さんという描かれ方で好感が持てました。そして探偵役として登場するのが児童相談所の児童福祉司の海王さんです(なぜかワンピースの海王類を思い出してしまった)このキャラもなかなか秀逸だったと思います。


    学園に伝わる「七不思議」をめぐる短編集となってます、日常の謎ゆえ人が死んだり犯罪的な事件は起こりませんが、ミステリの定番というか古典というかトリックと謎解きは緻密な伏線とともに上手く仕上がっています。さらに特殊な環境において登場する子供達は、いずれも心に傷を負っていて、接する大人たちとの葛藤、友達同士の友情などのドラマが描き込まれています。この物語において悪人と呼べる人はほとんど登場しませんが、まぁそれはそれでいいと思えます。


    心温まる謎解きの連鎖の後に、大きな仕掛けが施されていたとは全く気付かずやられました。


    実は中盤において主要人物についての仕掛けは気付いていたんですが、深く考えることをせず読み進めたというか、ページをめくる手がとまらず引き込まれたというのは言い訳でしょうか…回文が大きなヒントになっていて、このあたりは故泡坂妻夫氏の影響を濃く受けてるんじゃないかと感じました、ラストのくだりはそのまま泡坂氏の「亜愛一郎の逃亡」のラストを彷彿させるものでした。


    そして最も大きな衝撃は表紙に…これは自分の思い込み「七」の作家さんが大きなミスリードになっていて全く気付きませんでした、トホホ。


    この作品自体が続篇「アルバトロえスは羽ばたかない」の伏線になっているとのことですごく楽しみになりました、図書館で予約済み、来週中には手元にあるんじゃないかな?

  • 児童養護施設を舞台にしたミステリー。
    施設について、児童相談所について、それにまつわる法律について本当によく調べているな、と思った。
    そのあたりの土台がしっかりしているので、子供たちのおかれた環境がリアルに感じられる。
    様々な事情(家庭内暴力や両親の離婚など)で家庭では暮らせなくなった子供たちを扱いながらも、暗さや悲惨さを感じさせないさわなかな文体でまとめているのは好感が持てた。

    児童養護施設、七海学園を舞台に、学園に伝わる七不思議の謎を解く、「日常の謎」モノ。
    伏線が分かりやすく配置されており、それでいてすぐに真相が読めるほど分かりやすいわけでもなく、謎が解けてところで思わず膝を叩いてしまうような絶妙なバランス(あくまで僕にとって、ですが)が良い。

    只、最終章は無くても良かったかな、と思った。あまりにも不自然で強引にこじつけた感じがしたので・・・

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