帝都一の下宿屋

著者 :
  • 東京創元社
3.22
  • (2)
  • (13)
  • (34)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 161
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027926

作品紹介・あらすじ

時は明治。銀座は南紺屋町に「静修館」という古いけれど居心地の良い下宿屋がある。若者が多く住むこの下宿屋を取り仕切る大家は、料理をはじめ家事万端を見事にこなす梨木桃介だ。その働きぶりの前では、小説家の仙道湧水も我が儘を封印し、居住まいを正して下宿している。しかし静修館にはなにかと謎が持ち込まれ、「先生なら助けてあげられるかもしれないね」という桃介の一言に湧水は奔走する羽目になるのだった。連作短編集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 銀座は南紺屋町にある下宿屋「静修館」。
    傍若無人な小説家の仙道湧水は何軒もの下宿を追い出されてきたが、ここでは精一杯、規則正しい生活をしている。大家の梨木桃介の気持ちの良い気働きと、食事の美味さから追い出されるのを恐れているのだ。
    そんな湧水のところへは何故だか謎が持ち込まれる。

    品質の落ちた醤油
    莫大な利益を生む特許書類の行方
    借主の現れない隣家の秘密
    湯屋で頻発する板の間稼ぎ、高価な品ばかりを狙う手口とは

    湧水が淡々としているからか、緊迫感があまりなくてするりと読む。
    傍若無人さを感じられないのもあり、この時代の空気もなくて、期待しすぎかな。
    それと、なんだろう、事件や解決方法がデジャヴ。
    ホームズ、小五郎、ポアロ、これって、あの話に似てるなあと思いつつ読んだ。

  • 明治時代の下宿屋「静修館」。世話好きの大家である梨木桃介(家事万能。料理が絶品)と、そこへ下宿する小説家の仙道湧水(普段はガラが悪いが大家の前では猫かぶり)が、静修館へと持ち込まれる謎を解決するために奔走する連作短編集。
    湧水が小説を連載している新聞社の担当、坂口もこれまた良い感じに一筋縄ではいかない性格の白皙の青年で、この三人の下宿での描写を想像するだけで大変心が潤います。ブロマンス成分満載。
    4編の短篇が入っていますが、どれも美しい物語でした。(この作家さんのお話はいつも、かならずどこかに『救い』のある物語なので心がほんわかするのです)

    帝都探偵絵図シリーズの方のメインキャラであるあの人もお世話になってる下宿だけあって、チョイ役で出てきてくれてこれまた嬉しいくすぐりですね。

  • ★3.5

  •  三木笙子さん、初読みです。「帝都一の下宿屋」、2018.8発行。永遠の都市、障子張り替えの名手、怪しの家、妖怪白湯気 の連作4話。テンポが悪く、キレ不足に感じました。失礼しました。

  • 最初の人物紹介、背景を読んで、何か読んだ事があるなぁと思い、似たような本を読んだのか?或いはまた同じ本を手に取ったのか?
    途中、やはりこれは読んだ事があるぞとなり、しかしどんな話だったっけ?と思い、結局最後まで読んだ。自分の記憶力の無さにあきれ、ある意味読んだと分かったのだからまだましか?と自分を慰める。
    梨木桃介のような人物になりたい、もしくは静修館に住みたいと思う。

  • 2022-12これはシリーズにするのかな。主人公のキャラが弱く、周りの登場人物と並列くらいになっているのが残念です。でもこの時代の雰囲気が少し感じられて良作です。

  • 表紙のイケメンに魅かれて。
    美味しい食事を出してくれる下宿屋、最高ーじゃん。
    出ていきたくない気持ちわかる。
    別に猫かぶらなくてもいいような気もするんだが。

    若干安楽椅子探偵っぽい話かな。
    一応捜査、というか、色々調べてはいるけど、
    読み感としては、そっち。
    軽く読めるミステリー。
    おもしろかった

  • 装丁が素敵だなぁと思って読みました。

    うっすら謎解きほっこり下宿物語。
    湧水さんが桃介さんのことを大好きすぎていじらしい。もはやこれは恋では!笑

    そして坂口さんの毒舌に対して何かにつけて本を投げつけちゃう湧水さんに思わず笑ってしまったり。

    たぶんこちらの作家さんの本は2冊目くらいなのだけど、読みやすくて登場人物が素敵で良いなぁと思います。

    桃介さんと湧水さんと坂口さん、もう少し見ていたいなぁと思わせてくれるお話でした。

  • 著者の作品は数冊読んでいますが、真っ先に思ったのが、

    著者はツンデレ探偵がお好みなのかな

    でした。



    ◉永遠の市…桃介が贔屓にしている醤油が、最近になって味が劣化しているという噂が流れ、心を痛める心優しい大屋を見た湧水は、彼のために真相究明に乗り出す。

    ◉障子張り替えの名手…申請前の特許の機密情報を記した書類が忽然と消失した。

    ◉怪しの家…内覧も多く、好条件の物件なのに、一向に売れない物件の謎。

  • 時は明治、銀座の下宿屋「静修館」の家事万能の若き大家・梨木桃介と、下宿人で小説家の仙道湧水が世間を騒がせる怪事件を解明する。 
    4編から成り、「永遠の市」は醤油のブランド商標の不正、「障子張り替えの名手」は鉱物精錬方法に関する特許の横取りといった今でいう知的財産権にまつわる事件を取り扱う。
    また、「怪しの家」は、いい条件なのになぜかキャンセルが続く貸家の謎、「妖怪白湯気」は湯屋で起こる連続盗難事件を描いている。
    いずれも、血なまぐさはなく、さらっとして安心して読めるものの、明治ならではの背景にもっと突っ込んで欲しい歯がゆさがあった。

全32件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1975年生まれ。秋田県出身。2008年、第2回ミステリーズ!新人賞最終候補作となった短編を改稿、連作化した短編集『人魚は空に還る』(東京創元社)でデビュー。他の著書に『クラーク巴里探偵録』(幻冬舎)、『百年の記憶 哀しみを刻む石』(講談社)などがある。

「2019年 『赤レンガの御庭番』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三木笙子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×