定価のない本

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 566
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028039

作品紹介・あらすじ

終戦から復興を遂げつつある古書の街・神田神保町の一隅で、ひとりの古書店主が人知れずこの世を去った。古書の山に圧し潰される皮肉な最期を遂げた商売敵を悼み、同じく古書店を営む琴岡庄治は後処理を申し出るが、彼の周囲では次第に奇妙な出来事が起こり始める。行方を眩ませる被害者の妻、注文帳に残された謎の名前、暗躍するGHQ――名もなき古書店主の死を巡る探偵行は、やがて戦後最大級の“計画”を炙りだす。直木賞受賞作家の真骨頂と言うべきミステリ長編。

感想・レビュー・書評

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  • 太宰治が突然出てきた。芳松の家の穴はなんだっけ。

  • 取り戻すことができてよかった。

  • 占領軍の「ダスト・クリーナー計画」実際にあったと思わせる筆力。歴史とそれを源泉とする肥大化した日本人の自尊心奪うため歴史を、古典籍を奪う。「古典は『のこる』ものじゃない、誰かが『のこす』もの」いろいろ考えさせられる。門井さんらしい歴史ミステリー。

  •  第二次大戦終結後まもなくの、東京・神田神保町の古本街を舞台に、日本の古典籍を巡る古書店主たちの静かな闘いを描いた、異色の歴史ビブリオミステリー。
     敗戦の窮乏に苦しみながらも、同業者の事故死に不審を抱いた主人公が、事件の背景を追い、やがて、GHQが秘密裏に仕掛ける文化統制・歴史剥奪の謀略に対峙していくことになる。
     架空の陰謀論ではあるものの、戦時中、アメリカが如何に日本攻略のために研究を重ねたか、その一端に連なる占領政策と見るならば、決して荒唐無稽なフィクションとは一概に切り捨てられない。
     主人公たちが切り札とする《文化の爆弾》の発想は痛快だが、一方で、今や日本人自らが、その爆弾を湿気させ、使い物にならなくさせている気配もあるようで、絵空事と片付けられない真理がある。
     『文化は残るものではなく、誰かが残すもの』。
     残そうとする者らが少数派となった時、この国の有り様は、どのように変貌するのだろうか。

  • 古典籍だけを扱う古書店の庄治。
    親しい同業者の芳松が本で圧死したとき
    事故ではなく他殺を疑う。
    その途中でアメリカ軍に連行され
    芳松はソ連のスパイで
    その妻が彼を殺したと明かされるのだが。

    真相を探れと米軍に言われて
    妻を東北まで追いかけた庄司でしたが
    結局、妻も死んでしまって
    そちらは明らかに他殺だったから
    結局ふたつの事件を解くはめに。

    うーん、戦後混乱期の古本の話も興味深いし
    謎解きでトリッキーな部分もあって
    とてもおもしろく読み進めたのですが。
    どうもこの著者の「落としかた」が
    毎回私の好みには合わないのが難点だ〜。
    あつかうネタが好きなのと
    途中がおもしろかったから良しとするか。

  • 日本のものは日本のもの。取り返せてよかった。

  • “本”や"古書店主”のキーワードや
    表紙に描かれている無数の本に
    惹かれて手に取った1冊。

    戦前から戦後にかけて
    日本の貴重な書物を文化を歴史を
    未来に伝えていくために
    命懸けで古書物を守った古書店主たち。

    今当り前のようにある日本文化や歴史は
    必死に守ろうとする人々がいたから存在するのだと思うと
    守り後世に残してくれた人々に感謝を伝えたい。
    そもそも感謝しながら日本文化や歴史に触れていかないと思った。

  • 面白かった。この作家らしさと意外性の組み合わせ。ミステリーと言えるかどうかは微妙だけど、ジャンルに拘らず、愉しさだけで言えば満足点。

  •  戦後、日本の古典をあやうく全部なくしてしまうところだったのを、古書屋の琴岡庄治が救う物語。
    古書の奥深さ重さを感じる。
    正倉院展に行ったときさらにおもむきあるものになり得る。
    文章のリズムが心地良かった。

  • 戦後の古本屋の矜持。GHQとの闘い。大袈裟なところもあるが、いいところをついている。

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著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、第42回オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。15年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となる。16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年に『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。近著に『ロミオとジュリエットと三人の魔女』『信長、鉄砲で君臨する』『江戸一新』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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