世界推理短編傑作集5【新版】 (創元推理文庫)

制作 : 江戸川 乱歩 
  • 東京創元社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488100117

作品紹介・あらすじ

珠玉の推理短編を年代順に集成し、一九六〇年の初版以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』を全面リニューアル! 最終巻となる本巻にはアリンガム「ボーダーライン事件」をはじめ、ベントリー「好打」、コリアー「クリスマスに帰る」、アイリッシュ「爪」、パトリック「ある殺人者の肖像」、ヘクト「十五人の殺人者たち」、ブラウン「危険な連中」、スタウト「証拠のかわりに」など珠玉の名作を収録!

感想・レビュー・書評

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  • 1930〜50年代の作品集。サスペンス風が多く謎解きを期待してたらちょっと残念。フレドリック・ブラウン『危険な連中』は楽しい。既読の『十五人の殺人者たち』『妖魔の森の家』はスリリング。今更ながらタイトル裏の作品紹介は後から読むべき。

    • 111108さん
      たださん、返事のお返事ありがとうございます♪

      図書館で6巻見た時私もびっくりしました。
      今年中に読みたいです。
      積読ばかりで人のこと言えま...
      たださん、返事のお返事ありがとうございます♪

      図書館で6巻見た時私もびっくりしました。
      今年中に読みたいです。
      積読ばかりで人のこと言えませんが、たださんもぜひ2巻を(^^)
      2022/11/27
    • たださん
      111108さん

      積読ばかりと言いつつも、今年中に読まれる決意をされた、111108さんを見習って、私も今年中に読みますよ(2巻を)!
      111108さん

      積読ばかりと言いつつも、今年中に読まれる決意をされた、111108さんを見習って、私も今年中に読みますよ(2巻を)!
      2022/11/28
    • 111108さん
      たださん

      「読みたい」は決意というより希望です。
      読めなかったら笑ってやってください(^^)
      たださん

      「読みたい」は決意というより希望です。
      読めなかったら笑ってやってください(^^)
      2022/11/28
  • 『悪夢』は、推理というよりも、サスペンス寄りか……?

  • 海外ミステリ短編アンソロジー。読んだことあるのは「妖魔の森の家」くらいかな。
    お気に入りはジョン・コリア―「クリスマスに帰る」とフレドリック・ブラウン「危険な連中」。どちらもかなり短めの一編なのだけれど、読みごたえはあるし結末が実に効いています。ブラックな読み心地も好き。
    レスリー・チャーテリス「いかさま賭博」も好きな一編。これって映画「セイント」の原作なのかな? 読み心地がとても爽快です。やはり犯罪者であったとしても、こういう義賊的なキャラはカッコいいなあ。
    ベン・ヘクト「十五人の殺人者たち」にもやられました。うわー、何これ。怖すぎる話だ、と思っていたらまさかこういうラストに持っていかれるとは!

  •  医学者たちの秘密会議には常に神秘のオーラがつきまとう。医学者たちが自分たちの会合に秘密主義の幕を張りめぐらすのは、俗人どもに自分たちの知識の程度を知られるのを防ぐ意図から出たのではないかと、疑いたくもなってくる。そんなことを知ろうものなら、研究材料にされているのではなくて治療してもらっているのだという妄想のもとに、薬品やメスや呪文のわけのわからないたわごとに身をまかせている、われわれ大昔からのモルモットどもも、勇気を失うに違いないのだから。

    2019/12/15読了
    ベン・ヘクト『十五人の殺人者たち』(橋本福夫 訳)より。

  • 〇 総合評価 ★★★☆☆
     最終巻。第1集から第3集までは,古典として楽しめる作品もあったが,今となっては古臭く感じ作品も多かった。第4集は,古典として楽しめるものだけでなく,新作として読んでも楽しめるものもチラホラあった。そこで第5集。第1集から第3集までほど,古臭いと感じる作品はなかったが,第4集ほどは楽しめなかった。もともと,翻訳モノ独特の言い回しがそれほど好きではない。また,作品の背景にある文化的な部分が分かっていため,作品を十分に楽しめないことがある。古臭さはなくなってきたが,そういった翻訳モノ特有の読みにくさは健在
     個々の作品の評価は別途記載するが,面白かったのはいかさま賭博,十五人の殺人者たち,そして妖魔の森の殺人の3編。特に十五人の殺人者たちは秀逸。こういった読み味の作品は今でもあまりなく,今,新作として読んでも満足できたと思う。これでやっと第1集から第5集まで読み終わったという満足感もある。総合評価としては★3で。

    ○ ボーダーライン ★★★☆☆
     暑い日に,警察官が倒れている男(実は射殺されている。)を自分の管轄でない場所に移してしまったために,真犯人にアリバイが成立してしまったという話。被害者の恋人の真犯人を告発する証言が,死体を動かしてしまったことにより,逆に,アリバイを成立させてしまう。あらすじだけ読むと面白そうなのだが,実際に読むとそうでもない。翻訳モノ特有のジョークや説明不足の描写で読みにくく感じるのが原因だろう。★3で。

    ○ 好打 ★★★☆☆
     ゴルフ場で起こった爆殺事件。真犯人は虐待をされちた被害者の妻。ゴルフを一緒に回っていたロイデン大尉という男が,真犯人の妻を庇って偽装工作をしていたという話
     トリックがバカミスっぽいというか,少なくとも今のレベルでは傑作といえないデキ。文章も読みにくく,しっかり読まないとスジを追いきれない。説明不足というか,翻訳モノっぽいというか。
     物語をトレント(探偵役)に語っているロイデン大尉が偽装工作をしていたという点が面白いのかもしれないが,この程度は今のミステリでは普通すぎて全く驚けない。おまけで★3

    ○ いかさま賭博 ★★★☆☆
     これは面白い。最後にどんでん返しがある。主人公の義賊,サイモンは電車で一緒になった人物からイカサマで使えるトランプの話を聞く。それからたまたま出会ったカップルを助けるためにポーカーの勝負をするが,その相手が電車の中で説明を聞いたいかさまトランプを使っていた。サイモンが大きな賭けに負けたと思わせて,実は勝ち。カップルが巻き上げられたお金を取り戻したと見せ掛けて,実はカップルといかさま師はグル。それどころか電車の中でサイモンにいかさまトランプについて教えた男もグル。全てはサイモンから大金を巻き上げる計画だった。サイモンはそれを全て見抜いていたというオチ 
     今でも十分通用するデキだと思う。文章も読みやすい。★4で。

    ○ クリスマスに帰る ★★★☆☆
     ショート・ショート。ある男が妻を殺害し,埋める。アメリカに行き,ほとぼりが帰国する予定はない。いずれは周囲の人も自分達のことを忘れるだろうと思いながら。母国から送付されてきた郵便を見る。その中にはぶどう酒貯蔵場建造のための地下室工事の計画書と請求書がある。これにより犯罪が露見することを予想させるオチ
     オチがちょっと分かりにくい。ショート・ショートとしてはよくできているが,かつて,星新一の作品の多くを読んでいたので,ショート・ショートを読む目は肥えている。そもそも,ショート・ショートの傑作を書くのは難しい。

    ○ 爪 ★★★☆☆
     引退した元警視と友人があるレストランを訪れる。その店でかつて容疑者が働いていたことを思い出す。そのときの事件の決め手は爪。真犯人は現場に爪を残していた。その店で働いていた人物が容疑者。しかし,そのうちの1人は爪どころが指がなかった。どこかに切断した指があれば犯人であるという証拠になる。しかし,指がない。オチとして名物の兎のシチューにその指が入っており,ある婦人が食べていたと思わせる発言がある。
     オチは予想できてしまったが,文章としては読みやすい。しかし,シリーズには既に2壜のソースという傑作先にある。あっちほどの衝撃はない。

    ○ ある殺人者の肖像 ★★★☆☆
     父親を憎んでいた息子が,父親を金庫に閉じ込める形で殺害するという話。父親は息子を愛しており,息子を庇うために遺書を書く。3日金庫に閉じ込められていた父親は,死ぬ間際に遺書を書き,銃で自殺。警察はどうしてそんなに長い間金庫の中にいたのか疑問に思うが息子のことは疑わない。著者だけが友人である息子の犯罪い付いたという話
     奇妙な味系の作品。翻訳モノっぽいよく分からない描写がある。ミステリっぽさはそれほど感じない。面白くないわけではないが,強烈なオチというほどでもなく,どんでん返しでもない。★3だろう。

    ○ 十五人の殺人者たち ★★★★☆
     面白い。15人の医者が医療ミスで殺してしまった患者についての話をするというXクラブという会についての話。オチは,最後の人物が話したことは現在進行形。今,適切な治療をすれば命が助かる少年のことを話していた。魚の骨が原因。Xクラブの医師の助けで原因を見抜き,手術を成功させる。
     いろいろと悪態をついていた医師たちが,最後に少年の生存のために戦うというオチがすがすがしい。読後感がよい作品。作風が好みだからかもしれないが,今でも通用する出来だと思う。

    ○ 危険な連中 ★★★☆☆
     田舎の駅での話。近くの病院から精神病患者の犯罪者が逃亡している。駅で話をしている二人は,他害に相手が異常者の犯罪者だと思って,攻撃する準備をしている。そこに,本物の病院から闘病している異常者の犯罪者が,警察官の姿で現れる。二人はあっという間にその犯罪者を縛り上げる。「こんな物騒な連中がそこら辺に野放しになっているとは…。こいつらは狂っているかもしれない。」という異常者の独り言で終わる。なんともフレドリック・ブラウンらしい話。ミステリというより世にも奇妙な話系の作品だろう。映像で見たら面白そう。話としてはよくある展開。これが元祖なのかもしれないが…。今読むと傑作とまではいえず。★3で。

    ○ 証拠のかわりに ★★★☆☆
     長い。これだけ80ページもあり,中編といえるほど。第5集は20ページ程度の短編が多く,余計に長く感じる。
     有名なネロ・ウルフもの(この作品ではニーロ・ウルフと表記されている。)。ネロ・ウルフものを始めて読んだ。ウルフのもとに自分が殺害されると相談に来た男とその妻。男は爆殺されるが真犯人は妻。ウルフのところに相談に来たのは夫に似た別の人物で,妻はその男も殺害していた。
     ミステリなのだが,トリックというほどのものもない。推理らしきものもなく,スジの面白さを楽しむ作品といえる。さすがにキャラクターはしっかりしちる。
     面白くないわけではないが,傑作というほどでもない。★3で。
     
    ○ 妖魔の森の家
     ジョン・ディクスン・カーが,カーター・ディクスン義で発表した短編。「探偵小説の理論と実践の,ほぼ完璧な手引書」とも言われている。専門家からの評価がやたらと高い作品で,第1週の「十三号独房の問題」と並んで,第1週から第5集に収録されている作品の中で,一番読みたかった作品
     少女時代に妖魔の森の家から消失したことがあるヴィッキーという少女。イーヴとセイジの二人は,遺産相続のためにヴィッキー殺害を計画する。
     まるでヴィッキーが本当に消失してしまったかのような印象を見せながら,最後の最後にヘンリ・メリヴェール卿は,ヴィッキーはバラバラに切断され,メリヴェール卿も運んだバスケットの中に入れられていたという真相を見抜く。
     確かにデキはいい。とはいえ,実際問題として,ヴィッキーが消失してしまうという終わり方になるわけがなく,そうするとミスディレクションなどもないので,それほどろけない。イーヴとセイジしか犯人になる人物がいないのだ。そうするとハウダニットの作品になるのだが,その手法は物理トリック。作品の雰囲気とトリックの使い方は上手いが,肝心のトリックがどこかで見たことがあるようなもの
     このトリック(切断した死体を探偵に運ばせる)は応用が効くので,どこかで同じような作品を見たことがある。そのためにインパクトが薄らいでいるのかもしれない。
     よくできた作品であることは認める。キャラクターもいいし,読みやすい。★5にはできないが★4で。

    ○ 悪夢 ★★★☆☆
     闇を極端に恐れるヒロインにもとに,殺人者が来る。殺人者は隣人のビル・チェスリーだった。ビルはヒロインに殺人の後の姿を目撃されたと思って殺害しようとしていた。ヒロインは,逆にビルを殺害してしまう。
     これは…。サスペンス映画の1シーンのような作品であることは確かだが,古典として残る作品とも,傑作とも思えない。よくあるステレオタイプ的な作品に感じてしまう。もしかしたら,この手の作品の元祖なのかもしれないが・・・。★3で。

    ○ 黄金の二十
     クイーンが1920年頃に選んだ長短編推理小説のベストテン。しかし,選出の基準が内容の絶対的価値だけでなく,歴史的価値と初版本の希少性も加味している。よって,基本的に誰でも知っているような古典しかベスト10に入っていない。読み物としてもさほど面白くもない。★2で。

  • 江戸川乱歩編な傑作推理短編集の新版
    新人の新作より古典の再読の方が楽しめてしまうってのは、老いの証拠だったりするのかな?(;´・ω・)

  • 面白い作品が多かった。
    どれがというよりは全体的なレベルが高い。

  • 『世界短編傑作集』完全リニューアル版第5巻(最終巻)。
    アリンガム「ボーダーライン事件」、アイリッシュ「爪」、カーター・ディクスン「妖魔の森の家」など錚々たる顔ぶれ。時期的には第二次大戦前後頃に書かれた作品達となりますが、どれも甲乙付けがたい珠玉の名作達でした。
    物語の視点の置き所がらしいなぁ、と思ったQ・パトリック「ある殺人者の肖像」と、サスペンス鮮やかなジョン・コリアー「クリスマスに帰る」が好みでしたね。

  • 本書は同名タイトルの最終巻である。これまでの巻に掲載されている多くの短編推理小説と同様に、選び抜かれた珠玉の作品集である。ただし、江戸川乱歩が選んだ作品なので、ほとんどが古色蒼然とした印象は拭えない。若い読者の評価はどうだろうか?
    いずれの作品も、現代の翻訳者が訳したとしても作品のカビ臭さ(褒め言葉)が漂っており、そこが珠玉の珠玉たる所以であろう。それぞれの作品のトリックも現代の諸作品の原型であり、その意味で新鮮さを感じる部分もある。
    日本人作家による傑作短編集も期待したい。

  • 2019/05/02読了

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