黄色い部屋の謎【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488108045

作品紹介・あらすじ

フランスを代表する科学者スタンガルソン教授父娘が暮らすグランディエ城の離れの一室で起きた不可解な事件。内部から完全に密閉されたこの〈黄色い部屋〉から響いた女性の悲鳴。ドアを壊して室内に足を踏み入れた者たちが見出したのは、血の海に倒れる博士の令嬢マティルドだった。犯人はどこに? この怪事件に挑むのは18歳の新聞記者ルルタビーユ。密室ミステリの古典を、ジャン・コクトーによる序文を収録した新訳決定版で贈ります。

感想・レビュー・書評

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  • たぶん中学生の頃から知っていた題名。図書室で背表紙や表紙を何度となく見ていたがやっと読んだ。1907年(明治40年)発表という大古典なのだが、2020年の新訳では、訳者が現在の読者にも読みやすいようにテンポのいい訳文をこころがけた、というだけあってけっこうなページだったが、すらすら読めた。

    発見された時は密室だったが、殺人の行われた時はどうだったのか? ネタバレしてます? 先日読んだディクスン・カーの「夜歩く」も密室もので、謎解きは同じだった。でも密室で殺されかかった令嬢が死ななかったのでよかったなあ。父とともに化学の実験にいそしみ幾多の求婚もはねつけてきた35歳になろうとするマティルド。最後に、みごと謎解きをした、新聞記者の弱冠18歳のルルタビーユがちょいちょいと理由を述べる。ほー、人はみかけによらないし、部屋だけでなく、人間にも秘密はあるんだねえ、となり終幕。

    ミステリーを読む時、トリックよりは人間関係や殺人の理由に興味がある。この点から言うと、やはり1907年時点の令嬢をとりまく世情だったかなあ、という時代感もする。が、最後に、新たな事実の提示も示され、解説によると、「黒衣婦人の香り」という続編があり、そこでは謎解きをしたルルビターユの出生の秘密を明らかにしているという。

    マティルダ父子はフランスの城を買い、実験をするのに離れを作った。その実験室に隣り合う部屋が「黄色い部屋」と呼ばれる部屋。ゴッホの絵のような全部真っ黄色の部屋をイメージしていたのだがそうではなく、黄色い敷物があった、と文中にあった気がするのだが、あとでその箇所が見つからなかった。そうでしたよねえ?

    1907発表 フランス
    2020.6.30初版 図書館

  • 1907年の作品で密室ミステリの名作と評判の一冊。
    緻密に練り込まれたトリック、物語の構成力、そしてキャラクターの色の濃さ、
    どれをとっても時代を超えてワクワクとさせてくれる一冊でした。
    その頃の推理小説がどのようなものだったのかを知らないが、あっと驚かせたのは間違いないだろう。
    情報自体は全てが揃っている訳ではないものの、犯人を理論的に導き出す為の事柄は出揃っていたので、
    謎解きを楽しめるようになっている作り。
    古典ミステリといえど、素晴らしい作品はいつまでも素晴らしい。
    ミステリの歴史をどんどん散策したい。

  • 密室ミステリーの古典的なお話。

    ルールタビーユが犯人をなかなか言わないところにじらされてしまったが、それも、マチルダ嬢を守るため。紳士だと思った。

    たまに古典ミステリーを読むのもおもしろい。

  • 「密室」で起こる事件、どれほど多くの探偵や刑事達が数知れないほどの物語の中で、その解明に挑戦しているか……。

    「黄色い部屋の謎」は、そんな「密室」ミステリーの古典中の古典。

    作者は「オペラ座の怪人」の原作者として有名なガストン・ルルー。
    巻末の「訳者覚書」にもあるように、日本で発表されるやいなや江戸川乱歩が本作を絶賛している。

    海外の「古典」と称される「名作」は、日本語への新訳がなされるたびに、新たなファンが生まれ、いく世代にも渡りファンに読み継がれるのも楽しみの一つ。

    また、どんなミステリー作家がどんな「密室」をうみ、どんな解決で物語るのか……読者の楽しみは尽きない。

    それだけでも、この作品が世に出た価値は唯一無二。

    ありがとう!

  • よくできているけれど、こんなにまでして秘密にしたいのかというところが納得感が薄い。100年も前の話だから、感じ方が違うのだろうけれど。

  • 古典ミステリを読もうと思う周期があり、ちょうど新訳しかもカバーデザインがクラフト・エヴィング商會なので買った。

    翻訳ものは苦手で敬遠していたのですが、こちらはとても読みやすかったです。

    まず勘違いしていたのが、黄色い部屋は何か犯罪後の異常な事態でそうなっていたのかと思っていたら壁紙が黄色い部屋のことだった。
    密室の謎も物理というより心理によるもので、そこは確かになるほどなと思わなくはないが、少し拍子抜けでもある。

    廊下の消失は、変装そんな凄いの⁉︎服装同じじゃない⁉︎あ、これオペラ座館のやつだ!(一番ダメな気付き)数十年越しにオペラ座だから同じ作者の作品からパクったと知りました…。

    撃たれた死体と思ったらナイフで刺されてた事件は面白いと思ったが、真相はうん?となりました。

    スタンガルソン嬢がなんでそんなに頑ななのかも不思議でした。

    あの時代のとても暗い夜だからこそ、婚姻や男女関係に対する世間の見方だからこそ、警察の科学捜査が発展する前ならではの事件でした。

  • 密室ミステリの古典、と言われる作品(らしい)
    完全なる密室で襲われた令嬢、謎を追う新聞記者と警部。さらに起こる怪事件。
    最終的に3つの不可能事件が鮮やかに解決されるラストは必読!!なるほどな!!これは納得!面白かったー!→

    後出し感はありつつ、カーやクリスティーより前の作品と考えたらこれはすごい。そして、乱歩が高く評価したのもわかる(乱歩のアレはこれのオマージュ?)
    一つ注意点は、作中前半でポーのモルグ街の殺人とドイルのまだらの紐のネタバレがされてます。上記2作品は先に読むのをおすすめします!

  • 本屋で見かけて衝動買い。密室ミステリーの古典的傑作との評判に納得。陳腐な印象を受けた読者もいたようだが、百年以上も前に書かれたことを考えたら、それも当然である。むしろ本作を参考にいろんなトリックを考えついた作家さんが現代では多いと考えた方が良いと感じた。

  • 古典小説&元はフランス語?なのもあってちょっと読みにくかった(特に登場人部の名称がコロコロ変わったりするところとか)けど、最後の謎解き部分はなるほどーっと楽しく読めました。騙されたー!あとルルタビーユめちゃめちゃもったいぶるじゃん。

  • 読んだ。古城で起こる殺人未遂事件(被害者は美女なんだけど秘密がある)で、二人の探偵の推理合戦(証拠重視と理性重視)や密室トリックや、複数の事件が絡まっているところ、過去に遡って事件の解明がなされる点などは面白い。ただし、犯人の解明ではフェアとは言えない点があり、解明されない謎ものこる。

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著者プロフィール

Gaston Leroux(1868-1927)
パリ生まれ。「最後の連載小説家」と称されるベル・エポック期の人気作家。大学卒業後弁護士となるが、まもなくジャーナリストに転身。1894年、《ル・マタン》紙に入社し司法記者となり、のちにこの日刊紙の名物記者となる。評判を呼んだ『黄色い部屋の謎』(1907年)を発表した年にル・マタン社を辞し、小説家として独り立ちする。〈ルールタビーユ〉〈シェリ=ビビ〉シリーズの他、『オペラ座の怪人』(1910年)、『バラオー』(1911年)等のヒット作がある。その作品の多くは、演劇、映画、ミュージカル、BDなど、多岐にわたって翻案されている。

「2022年 『シェリ=ビビの最初の冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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