孔雀屋敷: フィルポッツ傑作短編集 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488111076

作品紹介・あらすじ

一夜にして3人の死者が出た事件を調査するため、イギリスから西インド諸島へ旅立った私立探偵。調べるほどに不可解さが増す事件の真相が鮮やかに明かされる「三人の死体」。孤独な教師の不思議な体験「孔雀屋敷」や、奇妙な味わいの「鉄のパイナップル」、さらに「クイーンの定員」に選ばれた本邦初訳作「フライング・スコッツマンでの冒険」など、『赤毛のレドメイン家』で名高い巨匠の傑作全6編。いずれも初訳・新訳で贈る必読の短編集!

感想・レビュー・書評

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  •  フィルポッツの新訳、しかも短編集というのに驚き。
     乱歩の選ぶベスト10にフィルポッツの『赤毛のレドメイン家』が選ばれていて、自分もそうだったが当時のミステリ好きならば大体読んでいたのが一昔前、いやもう二昔前のこと。『だれがコマドリを殺したのか?』が新訳で刊行されたときにも「今、フィルポッツ?」と思ったのだが、今度はまさかの短編集。時代で言えばホームズの頃なのだから、今読んだら古めかしいのではないかと若干危惧しながら読み始めた。

     新訳ということで訳文、訳語自体に古さを感じさせないこともあり、全体としてとても面白く読むことができた。小説家としてミステリー以外にも多数の作品を書いているので、濃密な風景描写や心理描写にも味わいがあり、小説としての読み応えがある。

     過去の出来事をまざまざと見ることのできる不思議な能力を持つ女教師の、過去と現在が交叉する体験を描く表題作『孔雀屋敷』、西インド諸島バルバロス島で起きた三人の変死事件を調査する部下の調査報告を基に、鮮やかな推理で驚きの真相を解明する『三人の死体』はミステリーとしての面白さに惹かれたし、何か一つのことに偏執的に取り憑かれてしまう性癖を持った男の告白「鉄のパイナップル」は、この時代にこんな性格の人物をこんな形で描いていたのかとの驚き!でお気に入り。
     

  • 短篇集。どれもミステリの仕掛けとしては古いと感じる人がいるかもしれませんが、とにかく小説としての描写がとても上手い。
    物語の描き方というか、情景描写とか物事を描く順番(読者へ情報を提示していく順番)とかそういう点が素晴らしいので、そこを楽しむつもりで読むとグイグイ面白いですね。まぁ、この部分が肌に合わないと、なんだかちんたら冗長な描写が続く作品だなぁという印象になっちゃうのもそれはそれで分かるんですがね。私は好きです、こういう(あるいみ)文学的な小説。

  • フィルポッツの6編の短編集

    三人の死体
    いちばん好きだな
    手がかりが全くない状況で亡くなった三人の性格を分析した推理は納得できるな

    孔雀屋敷
    殺人現場を見たのは現実なのか?
    話を聞いたときの教父の心境はどうだったのかな

    フライング・スコッツマン号での冒険
    策にはまってたんだな
    見られたときにどうして気づかれなかったんだろう
    咄嗟の機転が救ったな

    ステパン・トロフィミッチ
    ロシアの農奴の過酷な状況
    あの状況での意外な凶器は告白が無かったら分からなかったな

    鉄のパイナップル
    心境が全く共感できなかった

    初めての殺人事件
    新米警官の独断専行

  • 2024/01/11読了

  • 2023/12/21読了
    収載の『三人の死体』は、『世界推理短編傑作集3』でも『三死人』(宇野利泰 訳)の題で収載されていた。代表作ということなのだろう。比べてみると、訳出の違いもあって、それはそれで興味深い。

  • アイデアストーリーとしては古びてしまっているし、枝葉の部分が多すぎたりする筋の展開は、あまりにも悠長。昔のお話だなあという感じで、今時の読者にはいらつく人もいるだろう。そうしたことを全部ひっくるめて古き良き英国エンタメ小説として楽しめるか、といったところ。ホームズ譚とか好きな人なら逆にマスト。

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