殺人者と恐喝者 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118365

作品紹介・あらすじ

夫が殺人者であると知った若妻ヴィッキー。居候を決め込んでいる叔父もその件を嗅ぎつけた。家庭内騒動の渦中に、衝撃的な殺害事件が発生。H・M卿、回想録口述の傍ら不可能犯罪を推理する。

感想・レビュー・書評

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  • あとがきによると評判悪いみたいだけど、個人的には面白かった。案の定ミスリードして全然違う人を犯人だと思っていた。犯人の存在感を消すのが本当にこの作品はうまい。

  • H・M卿が自叙伝の口述筆記をしながら不可能犯罪のなぞ解きをするテイストで、ほかの作品よりも卿のユーモア成分が多めに思う。とくに卿が思いっきりずっこけてマスターズ警部が口を押える場面を想像するとかなり笑えた。
    肝心のトリックは解説にもある通りさほどミステリ的カタストロフィを得られるものではないが、まさにこのタイトルにある部分はなるほどとうならせられる部分だろう。さほど複雑な話でもないので、おすすめできる一冊。

  • H・M卿の回想録の内容が愉快でそれだけでも読めて良かった(笑) 催眠術の最中の衆人環視の元での不可能殺人に加えて、相変わらず2組のカップルが登場してロマンス成分ありの、とってもカーらしい要素満載の作品でしたな。
    ちょっと解決部分でドヒャーと思ったことはまあ置いといて。邦題がいいですね。味わい深い。

  • H・M卿シリーズ。

    催眠術というどこか胡散臭いショーの最中での不可能犯罪は衝撃的でした。
    そう、まさに不可能犯罪!
    おまけに事件の裏には人々の秘密や思惑が潜んでおり、複雑な人間関係をあらかじめ読者に示すことによってより劇的な場面になっています。

    謎がとても魅力的だっただけにトリックは肩すかしでしたが、技巧を凝らして意外な犯人を演出していました。
    少ない登場人物の中で2組のカップルがおり、事件と絡んでこの2組の行く末も非常に気になるところ。

    ところで、そんな恐ろしい事件の中でもH・M卿はとっても楽しい。
    悪魔的なやんちゃっぷりを長々と述べるH・M卿と、うんざりしている筆記者に笑います。


    ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










    催眠術ショーの最中に席を立ったヒューバートが怪しいのは歴然としていますが、事件後に彼がほとんど登場せず、お酒ばっかり飲んでいる憎めないおじさんのイメージがついてしましました。
    捜査にあたるH・M卿も彼とはほとんど話をしていません。

    読者が知っている事と矛盾する情報を提示されたのに、殺人者と恐喝者の立場の入れ違いには全く気付きませんでした。
    フェアかどうかはあまり気にしませんが、恐喝をされる者の心理として危うい我儘をいうあたりはおもしろい。

    殺人者の夫を持つヴィッキー(実際は違いましたが)にどうしても肩入れしたくなり、まんまと作者の掌で転がされてしまったと思います。ヴィッキーとフランクに幸せになってほしいけれどもこの展開だと……と、いらぬ勘繰りをしました。このあたりは巻末での麻耶先生の解説が楽しかったです。

    ぶつぶつ文句をいうH・M卿を余所にみんな大団円で終わる気持ちのいい良作でした。

  • 2014/02/11読了

  • H・M卿シリーズ

    ポリー・アレンを殺したと認められたアーサー・フェイン。妻に気付かれ叔父であるヒューバート・フェインに恐喝される。リッチ博士の催眠術実験で催眠術にかけられたヴィッキー・フェイン。ゴムのナイフで夫アーサーを刺したはずが死亡したアーサー。回顧録を執筆中のH・Mの捜査。催眠実験の時に刺された針から破傷風になりかかったヴィッキー。ストリキニーネを盛られたヴィッキーの秘密。

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著者プロフィール

Carter Dickson (1906-1977)
本名ジョン・ディクスン・カー。エラリー・クイーン、アガサ・クリスティーらとともにパズラー黄金時代を代表する作家のひとり。アメリカ合衆国のペンシルベニア州に生まれる。1930年、カー名義の『夜歩く』で彗星のようにデビュー。怪事件の連続と複雑な話を読ませる筆力で地歩を築く。1932年にイギリスに渡り、第二次世界大戦の勃発で一時帰国するも、再び渡英、その後空襲で家を失い、1947年にアメリカに帰国した。カー、ディクスンの二つの名義を使って、アンリ・バンコラン、ギデオン・フェル博士、ヘンリー・メリヴェール卿(H・M卿)らの名探偵を主人公に、密室、人間消失、足跡のない殺人など、不可能興味満点の本格ミステリを次々に発表、「不可能犯罪の巨匠」「密室のカー」と言われた。晩年には歴史ミステリの執筆も手掛け、このジャンルの先駆者ともされる。代表作に、「密室講義」でも知られる『三つの棺』(35)、『火刑法廷』(37)、『ユダの窓』(38)、『ビロードの悪魔』(51)などがある。

「2023年 『五つの箱の死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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