殺意 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488124014

感想・レビュー・書評

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  • 倒叙物ミステリー。
    アントニーバークリーのこういうオチは大好き。
    主人公のキチガイ具合もたまらない。「私が捕まるわけがない。なぜなら私は完全犯罪を実行したからだ」と本気で考えてるあたりがもういかれてるなーと思う。
    主人公の周囲の女性達もいかれてるし、ただ誰しも人は理屈に合わない、いかれた言動をとることが多いもので、この作品はそういった部分を抽出して描写されてるのだと自身で結論を出しました。

  • 10年ぶりくらいに読んだ。
    これはこの前のと違って、遊びがうまくいってる。

  • 一九三一年に出版されたせいか、描写があからさまな印象がする。年代的に考えれば、最後の結末を含めて先駆的な作品なんだろう。読んでて「駄目だってそれ」って言いたくなる危なっかしさのある主人公だった。

  • アントニイ・バークリー別名義の作品。
    田舎の開業医ビクリー博士が殺人を企む倒叙形式で、三大倒叙物の一つだそうです。

    なんといっても主人公のビクリー博士が魅力的。
    地域では評判が良く人のよさそうな医師でありながら、実際は愛のない口うるさい妻に憎悪を抱き、複数の女性たちと関係を持つ捻くれた男です。
    しかし劣等感と虚栄心と傲慢さとが同居する博士に、ストーリーの上手さもあってどんどん親近感が沸いてきます。

    さっきまでのとんでもない自信家が一人きりの夜に泣いて怯えているかと思えば、昨夜のおれはどうかしてたとまた元の傲慢さに戻ったり。
    こういった感情の起伏がおもしろく、嫌な奴ですがどこか憎めませんでした。

    物語の大半がビクリー博士と周囲の女性達とのいざこざですが、ここの展開が丁寧で詳細であるほどビクリー博士に寄り添うので、最後まで面白く読むのに効果的な展開になっていると思います。

    ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










    裁判中、ビクリー博士が不安になったり自信を持ったりと不安定な様子に、こちらも有罪か!?無罪か!?とやきもきしました。
    そしてほっと一息ついたところからまさかの展開です。
    無罪判決に浮かれ気味な博士が可愛く、その後どん底に突き落とされるギャップが良いです。

    実際ビクリー博士は殺人犯なわけですから、あまり可愛そうとは思わないのですが、冤罪での死刑という結果には苦いものが残ります。
    実に皮肉的なラストです。

    別作品のネタバレしてます・・・・・・・・・・・・・・・・











    最後まで読んで「死刑台のエレベーター」を思い出しました。
    同じネタですが、「死刑台のエレベーター」は無実の証明の為には別の殺人を告白しなければならないというようなジレンマがおもしろく、最後も驚きよりも運命や因果応報というものを強く感じます。
    対して「殺意」はこれまでのビクリー博士の人格と完全犯罪の経緯が詳細で、そのおもしろさに心を奪われていたら全く別方向からの思わぬ展開に驚きと滑稽さを感じました。

  • 倒叙推理

  • イギリスの田舎町の開業医ビグリー博士は妻のジュリアを殺そうと決意し、周到な計画を練って犯行へと移ります。
    完璧を誇る殺害計画、犯行過程の克明な描写、捜査の警官との応酬、完全犯罪を目前に展開される法廷での一喜一憂、そして、意外な結末。
    殺人者の心理描写は圧巻です。
    倒叙推理小説の3大名作の1つとして名高い傑作です。

  • ビクリー博士が殺人を犯すに至るまでと、成功させた後の犯罪者心理を描いた作品です。後半の、犯罪であっても何かを成し遂げたことで生まれる自信、思い通りに事が運ぶことから出てくる自惚れ、しかし元が気の小さい人間だからこそたびたび浮かんでくる不安など、ぐるぐると安定しない心理状態に見事に振り回されました。事態ももどかしいくらい二転三転し、早くどこかに落ち着いてほしいのにまだ終わってほしくないというワクワク感が味わえます。不思議なことに、犯罪者であるはずのビクリー医師に反感はあまり感じません。女遊びも激しく欲も深いし悪知恵も働く。けどどこか可愛げがあって、自分にもこういうところあるな、と思ってしまって、なかなか嫌いになれないんです。犯人が魅力のある人物であることが叙述ミステリの大事なポイントなんですね。最後は一瞬どういうことか分かりませんでしたが、じわじわとパニックが押し寄せ、あえて描かれていないビクリー医師の心理を身を持って体験できました。

  • 倒叙形式の醍醐味であるキャラクターの言動や心理描写が詳細で、とてもリアル。これはとってもおもしろい!

  • 「エドマンド・ビクリー博士が妻を殺す決心をしてから、それを実行に移したのは何週間かたってからのことだ」
    ビクリーの持つ「殺意」と「悪意」
    妻を殺害、その後自分を「裏切った」者たちを殺害しようと計画する。
    最後2ページのどんでん返し。

     2009年6月8日再読

     2010年2月4日購入

  • 倒叙三代名作の一作といわれる名作。犯罪心理小説としても評価が高く、ビクリー博士の視点から物語が進められていきます。名作といわれるだけあって、かなり楽しめました。倒叙は苦手だろうと思っていましたが、そうでもなく、すらすらと読むことができ、また、恋愛がらみにしてはおとなしく、心理面を前面に押し出していて、結構スリルがありましたし、勉強にもなりました。ただ、最後の――解説の言葉を借りるなら――背負い投げが一転して意味のわからない状況になってしまって、余韻があまりよくなかったです。

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