沈黙の果て〈下〉 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488211066

作品紹介・あらすじ

ヨークシャーの館で親密な休暇を過ごしていた三組の家族、だったが、ある明るい一日、中心的な女性と男性二人、そして子供が死体となって発見された。誰がなぜ? 異様な緊張感で複雑な人間ドラマが描き上げた傑作ミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 創元推理文庫から出版されているシャルロッテ・リンクの作品としては一作目。本作の前にはロマンス物が一作、邦訳されているとのこと。

    イギリスの片田舎の屋敷にバカンスに来たドイツ人の三家族。夫3人が友人同士でその妻たちの他、子供が3人。ある日、大人3人子供1人が殺され、子供が1人が重症を負う。犯人は、しばらく前から屋敷の所有権を主張していた男なのか。

    重厚感たっぷりのミステリ。冒頭、誰かが殺されたかは分かるのだが、一体誰が死んだのか、中盤以降のお楽しみとなっている。非常に長いのだが読みやすく、また先が気になる展開が多く読んでいて苦にならない(にしても少し長すぎるとは思ったけど)。
    ミステリ要素はそこまで。三家族の本当の姿、関係性が徐々に判明していく感じ。あまりにもクズな登場人物が多いため、読後感が悪いわけではないが、スカッとはしないかも。
    シリーズものもあるそうで、期待しつつゆっくり既刊を消化していきたい。

  • ドイツの人気作家のベストセラー。
    面白く読めました!

    イギリスの自然豊かな土地にある古い別荘。
    ドイツ人の3家族が、そこにバカンスで滞在していました。
    学生時代からの親友の夫たちと、その妻子。
    夫アレクサンダーと再婚して間もないイェシカは、長年行動を共にしてきた彼らのなかの新入りで、戸惑いを覚えていました。
    思いもよらない事件が起きたとき、自分に反発していた義理の娘リカルダを守ろうとします。
    少女リカルダの葛藤も一つの柱かな。

    それぞれに秘密や悩みを抱えていた夫婦たち。
    そこへ、屋敷の相続権を主張する不審な男性が登場。
    容疑者と疑われますが‥
    その男性フィリップは、恋人と一緒だったのですが、この二人のうまくいかない関係も綿密に描かれ、もう一つの柱といった感じです。

    ほぼエリートでしかも美男美女がほとんどなのに、とんでもない問題ありの状況だったんですね‥
    熱っぽい筆致で、息詰るような人間関係の謎が解き明かされていきます。

    作者はドイツの国民的人気作家。
    毎年長編を発表しているそうなので、選りすぐりの作品をもっと翻訳発行して欲しいです☆

  • 随分と細かいところまで時間をかけて書くのだな、というのが読み進んでいくうちの感想。
    この半分のボリュームで書くこともできたのだろうけど。
    しかし、それだけの読み甲斐があったストーリー。
    薄々気づいていたことであっても、こういう風にもっていくか、と唸らされた。

    日本語訳があと1冊しかないことが非常に残念。
    更なる翻訳を待ちたい。

  • 下巻になると、大体犯人の見当がついてくる。この人だろうな、と。フーダニットがこの小説の肝ではないので、それでもぐいぐい読ませてくれる。私は翻訳ものがあまり好きではないけど、こんなに夢中になれたのだからたぶん翻訳者の方の力量がすごいのだと思う。物語の舞台は夏だったので、真夏の冷房の効いた部屋で読めばもっと楽しめたかも。そこだけが残念(笑

  • 面白かった。下巻は一気読み。
    事件そのものは凄惨で、解決までの人間関係も激しく歪んでおぞましい部分もあるけれど、不思議と読後感はいい。
    唯一物足りなかったのは、3人の友人を結び付けている過去。もう一捻りあったらもっと面白かったのに。

  • イギリスの古い屋敷で休暇を過ごす3家族の話。上巻は、その3家族の屋敷での過ごし方や、人間関係の様子などが主に描かれていて、後半殺人事件が発生する。下巻は、登場人物たちの過去や人物像をおりまぜながら殺人事件の真相に迫る。この作品は、ミステリーというよりヒューマンドラマだと思った。3家族の関わり方をとおして人間関係の難しさや、異常なタイプの人間が一人二人いることで周りがおかしくなっていく様子がよくわかる。人間描写や心理状況がわかりやすくて、読みやすかった。ついつい感情移入してしまいそうな感じ。結末は納得できたし、いい感じの終わり方でよかった。

  • いいですね~
    最後までの解き明かしといい
    全てをフィニッシュまで持っていく流れといい
    シャルロッテさんなかなか面白いですね。

    人間心理の欲、自己などが描かれていて
    逃避してしまう人って
    確かにやっぱりいるんだなぁ・・・

    なんて

    もう少しこの人の作品を読んでみたいです

  • ドイツの国民的作家のミステリーらしい。でも舞台はイギリス。ヨークシャーの古い屋敷で春の休暇を過ごしていた3家族のうち、5人が殺害される。
     主な視点は、夫を殺された若い妻から。物語が動き出すのは下巻からだけど、それまでの3家族のなんか普通じゃない様子とか、どんよりたまった不満の空気とかが、イギリスの田舎の風景と合わさって書かれていて、静かに読めた。他の作品も出て欲しい。

  • 一気読み!とまではいかないけれど、もたもたしていないので、苦も無く上下巻を読み進めることが出来た。

    ただ、スピードミステリが好みの人は苦手かも。

    ものすごく登場人物たちの心理描写が丁寧で、
    寄り添った視点で物語が進むので、正直犯人探しの
    伏線とかミスリード狙いとかの小手先描写がない。

    全体の内容イメージは、メソメソしていないのが好感もてた。
    強い女性が主人公であるのに、ゴリゴリに肩張った「女性強し!」論調でもない。でもやわらかすぎない。
    悲しい結末だけれど、
    「だってしょうがないよね、心の傷だもん」って
    無責任でもない。
    特にキー人物たる男女二人の結末の、
    起こった出来事の引き受け方に非常に好感が持てた。

    著者は「責任」と最後の締めくくりに、キー人物の
    男性登場人物に語らせているけれど、
    まさに、責任という意識的な行為以前のもう少し
    初動対処的な部分に、日本人から見ても美しいと思う
    思いの納め方がある。
    ものすごく大人の生き方、考え方がある。


    日本人でももっと人気があっていい作品を
    書いているのではないか?
    もっと訳書が出版されることを大いに期待!!

  • 古い屋敷に滞在していた親密な3組の家族の5人が惨殺される。
    犯人は屋敷の持ち主の叔父だと言い張る男なのか?

    3組の家族と1組のカップル、それぞれが抱える秘密や悩みを中心とした人間ドラマは目新しさはないものの安心して読める出来。
    安定の大衆娯楽小説。
    読んだ後に残るものは少ないけれど、楽しんで読める。これ大切。
    あとがきに大衆娯楽作品なので文芸方面から批判されることもあるって書いてあったけど、カミラ・レックバリも同じことを言っていたなぁ。
    読者的に面白ければそれでいいのだ。

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