深い疵 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (521ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488276058

作品紹介・あらすじ

ホロコーストを生き残り、アメリカ大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人が射殺された。凶器は第二次大戦期の拳銃で、現場には「16145」の数字が残されていた。司法解剖の結果、被害者がナチスの武装親衛隊員だったという驚愕の事実が判明する。そして第二、第三の殺人が発生。被害者の過去を探り、犯罪に及んだのは何者なのか。ドイツで累計200万部突破の警察小説シリーズ開幕。

感想・レビュー・書評

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  •  ドイツのミステリ作家による警察小説シリーズ第三弾。
     表題が示す通り、ナチスドイツの残党を追うという、第二次大戦時の負の歴史を引き摺った連続殺人事件がテーマ。
     各人物が持つ秘密と悪意は巧妙に隠蔽され、人間関係は入り組み、複雑な構成と場面転換、巧みなミスリードにより、読み進めるのに多少は骨が折れるものの、重厚感のある作品に仕上がっている。
     捜査の中心となるオリヴァーとピアの男女バディは、シリーズ当初よりも信頼の積み重ねが見られ、軽妙かつ婉曲な遣り取りにも、性格の違いが上手く噛み合っての味がある。
     高貴なバックボーンに依拠する謹厳実直な風体に見せて、妻やハニートラップに弱いボスと、気さくでさっぱりとした気性で、歯に衣着せず振る舞いつつも、情に脆い部下の女性という、主役コンビのキャラクターの相性が際立つ。
     筋書きとしては、警察組織内での障害による捜査の難航も然ることながら、現在も尚、ドイツが抱え続ける疵が流す、血の痛みが堪える。
     終盤、僅かでも遺族への救いが描かれていることが光明となっている。

  • ドイツ文学ってなんか優雅なとこあるよな…

  • 日本語訳にされたのは、これが一冊めのようですが、シリーズとしては三作目。

    基本的に読み切りなので、これ一作だけでも十分楽しめますが、ちょこちょこ過去の話題が出てくるので、やっぱり一作目も読んでみよう!と思うほど、面白かった。

  • ストーリーは濃厚だが演出が淡白で、もう少し芝居っ気があったほうが自分の好みには合うし、もっと感情移入できただろう。或る一族の歴史の暗部を掘り返すダークなストーリーだけに、不気味さや刺さる感じ、ひりつく感じを味わいたかった。ドイツ人が読めばそういう感じを味わえるようなキーワードが、ふんだんにあったのかも知れないが。

  • 2009年発表
    原題:Tiefe Wunden

  • 3.87/581   
    刑事オリヴァー&ピア・シリーズ(「悪女は自殺しない」→「死体は笑みを招く」→「深い疵」→「白雪姫には死んでもらう」→「穢れた風」→「悪しき狼」→「生者と死者に告ぐ」→「森の中に埋めた」→「母の日に死んだ」)

    内容(「BOOK」データベースより)
    『ホロコーストを生き残り、アメリカ大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人が射殺された。凶器は第二次大戦期の拳銃で、現場には「16145」の数字が残されていた。司法解剖の結果、被害者がナチスの武装親衛隊員だったという驚愕の事実が判明する。そして第二、第三の殺人が発生。被害者の過去を探り、犯罪に及んだのは何者なのか。ドイツで累計200万部突破の警察小説シリーズ開幕。』

    原書名:『Tiefe Wunden』(英語版『The Ice Queen』)
    著者:ネレ・ノイハウス (Nele Neuhaus)
    訳者:酒寄 進一
    出版社 ‏: ‎東京創元社
    文庫 ‏: ‎521ページ

  • 元米国大統領顧問ユダヤ人、ゴルトベルクは晩年をドイツで過ごしていた。
    老齢ながら老いさらばえることを厭い、かくしゃくとした生活を保っていたが、知人で地元の大物女性実業家ヴェーラの誕生日パーティーの前夜、何者かに銃で頭を打ちぬかれる。

    大物が殺されたと色めき立つ中行われた検視により、ユダヤ人どころかナチス将校である入れ墨痕があることが明らかになる。
    いったいゴルトベルクとは何者だったのか。
    その後次々とヴェーラと繋がりのある人物達が殺されていくことに。

    全く狙ったわけでなく、同じくドイツミステリの『誕生日パーティ』でクメール・ルージュの話を読んだばかりで、不思議な共時性を感じつつも、今度は本国でのホロコーストの話ですかと、ひとたび怖気づいたものの、こちらはきついのは事件の真相の場面くらい。
    基本的には警察物のフー、ホワイ・ダニットで、そこまでダメージなく読了。

    が、複雑な人物関係と、突如挟み込まれる意味深な場面、同じように聞こえる登場人物の名前で全然全体像が頭に入ってこない。。
    シリーズものだというが、主人公ピアの主観によるミスリードも強引だし、次作は読もうかどうかどうしようかなという感じ。

  • 「森の中に埋めた」でハマってしまったネレ・ノイハウス。
    ミステリー要素以外に、テーマや、オリヴァーとピアの世界が面白い!訳も素晴らしいのだと思う。
    ホロコーストについては学校で習う知識しかなかったが、本作を読んで、もっと知りたいと思った。過ちの歴史に対して、恨とも哀悲とも違う感情を覚えた。上手く言えないのだけど、無知である事が恥ずかしくなった。

  • 面白いだろ、これじゃあ

  • シリーズ3作目。前の2冊より断然面白かった。
    作者の真価がわかるという理由で、日本ではこの本がシリーズ中最初に出版されたというのも納得だ。
    殺人事件の被害者はホロコーストを生き延びた大物ユダヤ人で、それがなんとナチスの親衛隊員だったことが判明する。事件の裏に一体何が、と気になるのはもちろん、捜査や会話から少しずつ手掛かりが与えられて、あまり唐突な感じやとっ散らかった感じがしなくて引き込まれた。
    タイトル通りの深い疵は、私には想像しきれないほどで、震える。殺人を否定できない気持ちになってしまった。

    捜査チームに新しい人も加わったし、いけ好かない同僚の様子も気になるし、次も読みたい。

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