白雪姫には死んでもらう (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488276065

感想・レビュー・書評

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  •  まずこのタイトルのインパクトが凄かった。
     実際にこの言葉が出て来た状況はちょっと肩透かしを食った感じだったし、物語の核というか本質を言い表してもいないと思うのだけど、それでもやっぱりこのタイトルはいい。

     何という残酷な話……。
     現代生活の中で人間や社会が“堂々と”行える残忍な行為を、これでもかこれでもかと詰め込んだような。
     11年。奪われるには長過ぎる年月。
     11年。2人分の命の償いには短過ぎる(と私は思う)年月。

     前作の『深い疵』の時も思ったけれど、この著者は、秘密にしているようで、本気で隠すような気もないような描き方をしつつ、それでも最後には「あ、それはそういう事なの」と驚かせてくれる、独特な雰囲気の文章の人だな。
     まだ2作だけなので、全てがそうかは分からないけど、出来れば他もそうであって欲しい。面白い。

     オリヴァーの弱点が分かる場面、唯一そこだけが笑える内容だった。

  • 二転三転し、少しずつ新事実が明かされる時系列な物語―変な“フラッシュバック”が無く、章の始めに順番に日付が付されて、淡々と物語が進む筆致が好い!!―で、夢中で読み進んだ。
    「トビーの帰還」で村に拡がる波紋が何処に至るのか?なかなかに読み応えが在る。本作は「人の非常に嫌な部分」に向き合ったり、「知っているつもりで、実は何も知らないという状態の中で暮らしていること」に想いを巡らせる…というような、何か不思議な感じもする作品だ…

  • 今作も高水準。女性陣の描写が相変わらず素晴らしい。

  • シリーズ4作目とのこと。ドイツの警察小説ということですが、面白かったです。

  • このドイツ警察小説シリーズは面白い。事件そのものだけではなく警部補とそのチームの人間性がよく描かれている。特に警部補がプライベートで悩む姿を描くところも気に入った。この後まだ未読のシリーズがあるので順番に読んでいく。

  • 最高だな

  • 冤罪で11年の刑期を終えたトビアスは、出所して故郷に帰って来る。
    それに合わせたかのように再び不穏な空気に襲われるアルテンハイン。
    暴力事件が起こり、再び少女が行方をくらます。

    これ、ものすごく怖い話です。
    例えばテレビの「逃走中」で自分一人が残った時に、何十人ものハンターが表情一つ変えることなく自分を追いつめてきたら。
    それも、捕まえて終わりではなく、命を取るまでゲームが終わらないとしたら。

    ところが自体はそれほど単純ではなくて、真実が少しずつ明かされるたびに二転三転と状況が変わって行く。
    トビアスは無罪。
    誰が、何のために、彼に罪をかぶせて、なおかつ今もなお暴力で支配しようとしているのか。
    加害者が自警団を作り被害者を襲う。
    その理由たるや、他人の痛みには知らん顔をしたまま自分の痛みだけを主張するおぞましさ。

    だけど、文章は読みやすくて、読後感もそれほど悪くはない。

    警察は警察でいろいろ問題を抱えているのだけど、例えば妻の浮気とか、自宅を強制退去させられる刑事の他に、届けを出さずにアルバイトする刑事や(届けが認められたらアルバイト可というのがびっくり)、知人に頼まれて証拠書類を廃棄する刑事(日本にもいるかも)など、日本の公務員に比べて職務専念の度合いの低さに驚き。

    次は自費出版されたデビュー作に挑戦だ!

  • ドイツのホーフハイム刑事警察署オリヴァー主席警部とピア警部を始めとする群像小説。ずっと前に読んだ「深い疵」は元ナチスの老人殺害事件を扱った謎解き要素の強い小説で面白かったと記憶してる。WEB本の雑誌の連載で杉江松恋氏が「(最新作が面白いのだから)過去作に遡る必要なし」と力説していたので、「穢れた風」を読み始めたものの、オリヴァーがコージマと別れてたり、いろいろ気になるので遡って読むことに。
    結果としては、しっかり楽しめた。登場人物多くて混乱するのは相変わらずだけどね。
    次から次に怪しい人物(しかも名前が紛らわしい…)が登場し、最終的には村全体が犯人なのか、って怖くなる。
    並行してオリヴァー、ピア、それぞれの私生活の迷走っぷりも楽しめる。
    長い話になりそうだけど、読み続けたいな。
    4.0

  • 2月9日読了。図書館。

  • タイトルと装丁のインパクトに惹かれて本屋さんで衝動的に手に取ったのですが…シリーズ物だったんですね。
    一冊完結だから、前の作品を読んでいなくても問題はないけれど、●●の事件のとき、とか△△の件で…、とか文章に出てくるのは前の作品についてふれているのだろうなぁと思う。
    だけど、日本語に翻訳されて出版された順番と本国で発売されている作品の順番が違うので、発売順に読みたいなら注意が必要かも。

    長くて暗そうな雰囲気と、やたら多い登場人物のせいで読むのに時間がかかるかな、と最初は思っていたのだけれど、全然そんなことなくて、一気読みでした。何故だろう…いつもは、こういう理不尽につきる話はあまり好きではないのに。

    ただ、貴族で品行方正?だとか抑制された感情とかそんな人物紹介だったはずのオリヴァーのポンコツっぷりが気になるんですが。妻の不貞で仕事が手につかないところか、色々ミスして事態をかなり悪化させてて、これ問題にならないの?っていうぐらいの失態でしょ。死ななくていい人が死んでるし。そしてそんな人が昇進…ドイツってこんな感じなのか。前作のオリヴァーはどうなんでしょうね。

    事件そのものは気分が悪くなるしかない内容でした。どいつもこいつも自分のことしか考えてなくて、事が露呈しても反省すらしない。真犯人は逮捕されたけど、解決とは言いがたいですね。何かとってつけたように、トビーの母親がかなりの土地を相続、となってたけど、それでめでたしめでたし、なんて思えるはずない。
    いや、すべての物語がハッピーエンドにならなければいけないのではないけれど、何だろう…後味がすっきりしないのは、オリヴァーのポンコツっぷりが気になるせいだと思う。
    ピアもそうだけれど、何で真犯人との初対面で相手に惚れそうな雰囲気かもしだすんだろう…。オリヴァーは最後にまた違う人に向かってるし。

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