白雪姫には死んでもらう (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488276065

感想・レビュー・書評

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  • 2014年5月25日読了。

    今回のオリヴァーのグダグダっぷりには、「しっかりしなさいよっ!」と尻を蹴っ飛ばしてやりたくなったわ。

    その代わり、ピアが本当に大活躍だったわね。

  • ドイツミステリーは初読でした。
    翻訳家さんのおかげか、ストーリーのおかげか、とても読みやすく、中盤からは一気読みでした。
    ドイツは土地勘、宗教観など、恥ずかしながら全く予備知識がありませんでしたが、違和感を感じることなく、面白く読み終えました。どんよりと流れる空気が、新鮮でした。田舎が舞台ですが、日本やアメリカの田舎とは違った雰囲気で、サスペンスを引き立てます。
    これから著者の他作品を読んでみます!

  • プロット、キャラ設定ともにしっかりしてて面白かった!オリヴァー&ピアのコンビがいい。滝沢&音道コンビをちょっと思い出した。宣伝文句には「人間のおぞましさと魅力を描いた衝撃の警察小説」とあったから、もっと暗い話かと思ったけれど、カラッとしたエンターテインメント(事件は痛ましいけれど)。映像化できそう。シリーズ全部読んでみたい。

  • 身に覚えのない殺人の罪を着せられて服役した男が山間の小さな集落に帰ってきた・・・。
    最近、こういう設定のミステリを続けて読んだ(『川は静かに流れ』、『ねじれた文字、ねじれた路』)ので、ああこれもまた、と思いながら読み始めた。が、それにしてもこのドイツの田舎の閉鎖性たるや、すごい。横溝正史ワールドを思い出す。
    ということで、そこにうずまく村人たちの情念・怨念も深く・・・。
    そしてまた、オリヴァーとピアという愛すべき警官ペアの私生活描写にも手を抜いていないのがいい。
    登場人物が徹底して人間くさい。そこが読者をつかんでいるのだと思う。

  • 小さな村で起こった殺人事件。無実を訴えながらも刑に服した青年が、その村に戻ってきたことから始まる物語です。

    嫉妬、恐れ、ひがみ。
    そんな人間の負の感情が複雑に絡み合い、事件の真相はなかなか見えてきません。

    犯人みっけ!と思った時は、まだまだ物語の中盤。もちろんその後も新たな事実がでできて、全く想像だにしなかった人物が…

    ドイツ語の名前や地名に苦労しつつも、ページをめくる手が止まりませんでした。

  • 何とも刺激的なタイトルですが、タイトルどおり殺されたのは当時17歳の美少女。学校の演劇で主役の白雪姫の座を射止めたのですが、その役を演じることなく行方不明になってしまいました。さらに彼女と同時期に行方不明になった少女がもう一人いました。やがて、二人を殺したとしして元恋人の少年が逮捕されました。その少年、トビアス・ザルトリウスは、状況証拠だけで10年の刑に処することになります。彼は翌年に大学へ行くことになっており、学業だけでなく性格も良く、村の女の子たちの注目の的の存在でした。この物語は彼がその10年の刑務所暮らしから出所したところから始まります。自宅に戻った彼はその変わり様に愕然とします。父が経営していた食堂は荒廃しており、やつれた父親がひとりでいました。母親はそこでの暮らしに耐え切れず何年も前に家を出て行ったのでした・・
    トビアスが村に戻った同時期に、殺された二人の少女の片方の少女の白骨死体が発見されます。この事件を捜査をする警部ピアは、その生来の勘の鋭さで刑に服したトビアスは冤罪ではなかったかと疑うようになります。彼女のボス、オリヴァ-は冷静沈着で普段は頼りがいのある人物なのですが、この時期彼は家庭での悩みを抱えており、時に冷静な判断を欠く有様でした。
    ドイツの片田舎で起こった少年少女たちのいざこざ、恋愛に絡む嫉妬や誘惑、盲目的な独善的な愛・・それに村の閉鎖的な人間関係に囚われた大人たちの思惑が、正常な判断を狂わしていきます。
    読み始めのうちは事件の奥行に引き込まれるものの、村人や捜査する側の人間関係の広がりに追いつくのにちょっと苦労しました。登場人物の名前や関係を確認するために、名簿をしばしばひっくり返しながら読み進めました。このお話の面白いところは、複雑に絡み合う人間関係が全貌を表していく道筋にあるのですが、その一方で捜査関係者の私的な部分にも焦点をあてているところです。ピアとオリヴァ-のコンビ、ボスの家庭事情と重なる捜査の行方など、警察官の人間的な内面の部分も丁寧に描かれているので、その点でも興味を持って読むことができました。

  • 凄くインパクトのある題名。
    かなりエグい「白雪姫」だ。元々ドイツが舞台なんだね。
    空軍基地跡から11年前に殺害された少女の白骨死体が発見された場面から始まり、同時に二人の少女を殺した罪で10年間投獄されていたトビウスが釈放され故郷の村に帰って来る。
    村人達は11年間、事件には目をつむり真相から目を背けてきた。が、トビウスの釈放と共にまた村全体が動揺し始める。
    トビウスの母親が歩道橋から突き落される事件が発生し、ピアとオリヴァーが捜査にあたるが、村の異常な閉鎖性に気付く。ピアは11年前の事件に矛盾を感じて独自に捜査を始めるが次々に村で異変が発生する。これがほんの導入部。物凄くややこしい人間関係、且つ閉鎖された村社会。
    殺された少女にそっくりな美少女が村に引っ越してきてトビウスに興味を持つ。そしてまたしても11年前を再現したかの様な失踪事件が発生する。
    話は大きな拡がりを見せ、混迷の度合いは増していく。もうこの辺で、どうなってんねんどうすんねん、と匙を投げたくなります。
    後半やっと少女二人は別々の動機・犯人に殺された事が判明、トビウスの友人、友人の父親、少女の学校の先生、大地主、大地主の息子二人、その息子の主治医、と事件に関わる人々は膨大な数に膨れ上がってくる。もつれた糸を解きほぐす様に、各人を追いつめて行くと最後は1ヶ所に話は収斂してくる。この辺の手際は見事です。
    このミス海外部門上位進出は間違いない!(そういやもうすぐ「このミス」出るな)
    本作は長編シリーズ4作目なのに3作目から邦訳されていて1,2作目は未訳との事。それだけ新しい作家なんでしょうけれど勿体ない。まずは3作目「深い疵」を読まなきゃ!

  • ネレ・ノイハウスの刑事オリヴァー&ピア・シリーズ翻訳第2作。
    ごく限られたコミュニティでのどろどろサスペンス。
    登場人物名が、相変わらず分かりにくいのはなぜだろう。

  • じわじわと追いつめられ、光明も逃げ場も奪われていくトビアスの状況と、深みにはまってどんどん悪いほうへ進んでしまう人々が恐ろしい。
    自分を守るための嘘をつくにしても、それで他人を陥れたり排除したりする姿は本当に胸が悪くなります。
    嘘をついているのは誰かより、嘘をついていないのは誰かを見つけるほうが難しかった。
    途中、オリヴァーがあまりにもヘコみすぎていて辟易しましたが、事情に気付きながらもほとんど不満を口にしないピアがいて、立派だというか仕事仲間(いえ、ボスですが)を簡単には見限らない懐の広さを感じて惚れました。

  • ドイツミステリー界の女王が執筆した本書。
    以前読んだ事がある「深い疵」のシリーズ続巻にあたります。
    主要登場人物たちはそのままですが、しかしその人間関係が激変する一冊になっています。

    では前置きはこの位にして以下であらすじをご紹介。

    2人の少女の殺害よる10年間の服役。
    これを終えたばかりの29歳の男性が出所する所から物語は始まる。

    自身の無実を訴える彼は、釈放後、故郷の小さな町に戻り事件の真相を明らかにしようと決意する。
    しかし、故郷では変わり果てた実家と服役中の彼には隠したまま離婚した両親の姿を目にする事となる。

    自身を敵視する住民に取り囲まれる中、それでもくじけずに父との生活を何とかしようとする男性。
    そんな彼の帰郷が故郷の村に思いもかけぬ波紋を広げる事となる。
    別々の地で起きた新たなる犯罪。
    旧友たちの真実。

    一方、オリヴァー指揮下の捜査11課も新たに発生した犯罪の捜査により10年前の真実に近づいていくが・・・


    25年連れ添った魅力的な妻コージマの不倫疑惑に苦しむオリヴァーの姿が描かれている等、冒頭で触れた様に主要登場人物たちの人間関係が大きく変わるストーリーにもなっています。
    ネタバレになるので不倫疑惑の行方には触れませんが、今後のシリーズの方向性に変化が表れてくるやも知れませんね。

    なお、元服役囚の29歳男性がイケメン設定になっているなど、シリーズ前巻の「深い疵」同様、「大衆文学」的な所は相変わらずです。
    しかし、ストーリーが練られている所も相変わらずなので、やはり本巻も前巻同様、ただの大衆文学には終わらない、「ザ・大衆文学」と言った所でしょうか。

    娯楽小説として文句なしの一冊です。

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