水の戒律 (創元推理文庫 M ケ 1-1)

著者 : フェイ・ケラーマン 高橋恭美子

• 東京創元社 (1993年4月1日発売)

感想・レビュー・書評

[fattycatloverさんの感想 · 2020年6月8日]

「授業の開始に爆弾予告」の後ろの広告で見て。

ユダヤ教のコミュニティでおこった女性暴行事件。
厳格な戒律を守る内部の犯行なのか、
ユダヤ人に対する排斥運動なのか。

子供もいて離婚した刑事と、
こちらも子供がいる事件関係者の未亡人が
魅かれ合う様子も気になるが、
様々な戒律を守らなければならないユダヤ教徒の信仰生活が描かれていて、
そちらもとても興味深かった。

[mmstponponさんの感想 · 2016年12月6日]

ユダヤ教徒美人に、実はユダヤ人のタフガイ刑事というのは・・・出来過ぎ展開

[rhodonさんの感想 · 2011年5月27日]

ピーター・デッカー＆リナ・ラザラス・シリーズ第1作。

アメリカのユダヤ教徒コミュニティを舞台としたミステリだが、謎解きよりも、知られざる彼らの暮らしぶりに興味が引かれた。衣食住のかなりな部分に宗教的な制約がある生活は、わたしたちからすると窮屈に感じられる。ごく普通のキリスト教徒として育った刑事ピーターと、敬虔なユダヤ教徒であるリナとの関係が今後どうなるのか気になる。

[sumipaaさんの感想 · 2011年5月23日]

友達にきっと好きだからと勧められて読んだ一冊。

はい、好きでした。

ユダヤ教の神学院で起こった犯罪を巡る警察小説、といえばそれまでですが、犯罪の捜査そのものよりもユダヤ教の世界観の特異さが際だちます。
宗教はその世界の人の中では普通であり必然であることが外から見ると異質に見える、そんな描写が面白かった。
犯人探しはさておき、宗教的な違和感とその受容の過程がますます面白くなりそうなので、きちんと順を追って次巻から読んでいこうかなと思いました。

[あのさんの感想 · 2010年6月10日]

普通に面白かったです。
さらっと読めるミステリじゃないかと思います。
ユダヤ教ってこんなにいろいろ制約があるとは知りませんでした。

[nao70さんの感想 · 2006年12月15日]

ユダヤ教の女性とアメリカ人警官の恋愛模様が背景にある、サスペンス？
これはおもしろい！結構残虐に人が殺されてるんだけど、あんまり嫌な気がしないでさらりと読める。
ユダヤ教について色々知れた。夫婦の営みの前には女性はミクヴェという聖なる水に浸かるらしい。トルコにもそんなのあったような・・・
続編が読みたいけど、古本屋になかなかない。

[木谷梨子ꕤさんの感想 · 2006年6月27日]

＜刺激物に慣れた現代人には新鮮なほどの繊細さ＞


　数年間この本だけは手をつけず、棚の底で冷凍睡眠につかせていました。急にミステリが読みたくなる夜があるので、その備えとしてとっておいたのです。ゴールデンウィークに解凍するような気持ちで開きました。2023年5月現在は絶版になっており、どうやら希少本を所持しているらしいです★

　リナ＆デッカーシリーズ、記念すべき第一作☆
　ある夏の夜、洗濯をしていた未亡人のリナが悲鳴を聞きつけると、外には衣服をずたずたに裂かれた、泥まみれの死体が！　いかにも「汚れている」と思わせる……。ちなみに、リナはユダヤ教のコミュニティーに属し、清めの儀式の場を管理している女性です。
　そして、事件の捜査に当たると同時にリナと巡り合うのが、ロサンジェルス市警のデッカー。大都会L.A.の凶悪犯罪を取り締まるたくましい熱血警官ですが、知的で品のあるリナに惹かれ、庇護欲をかきたてられたようで……。最終的に、デッカーは宗教的にも彼女とともにあることを選ぶのです。
　捜査の合間に異文化習慣や暮らしぶりがごく自然に描かれ、その点がシリーズの特色になることが想像されます。

　この事件の捜査過程と2人の心の交わりを、作者はなんと繊細に丁寧に慎重に綴るのでしょうか。そして……、本作は、なんと地味なのでしょうか★
　そういえば、水のようだなと思いました。私が親しんできたミステリの多くは、ヒリヒリと舌を刺す強炭酸のようなタイプだったのかも。頭脳戦で巧緻な謎に正解を出す、パズルのごとき推理小説か。あるいは、手段を選ばないタフガイが出てくるハードボイルドか。
　対する『水の戒律』は、人の心情の機微を読み取るタイプです。抑制が効いていてデリケートななかにも、大人のためらい、もどかしさが感じられます。ただし、よくよく見れば事件自体は陰惨……。刺激をおさえたものを読むうち、自分の味覚が敏感になってくるような感覚を味わえる一冊です。