冬のフロスト 下 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488291075

作品紹介・あらすじ

デントン市内で起きた事件は大半が未解決のまま。署に州警察本部の調査が入るわ、“超能力者”が押しかけるわで事態はまさに八方ふさがり……フロスト警部、ついに降参か!?

感想・レビュー・書評

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  • 今回のバディは、スケベでドジなモーガン。
    いくらなんでも、こんな刑事はいないよなあ。
    でも、それを言えば、そもそも主人公のフロストみたいな警部自体がありえないのだけれど。

    今回も、いつものフロストや、同僚達、マレットなどのデントン署の面々に会えて、嬉しくてにんまりしてしまった。

    いままでの作品同様、何件もの事件が同時多発し、どう解決していくのか、期待しながら読んだ。
    リズが拉致されてしまった事件はちょっとショックだった。リズは本当に堕胎したのか?(と思うけど)退院早々に、こんな目に遭ってしまったが、もっとリズの活躍ぶりを見たかった!

    最後の終わり方は、エラリー・クイーンの小説のようでかっこよかった!! なるほどね、っていう感じ。本格推理小説みたいで。

    とうとう、これで未読は「フロスト始末」だけとなってしまった。寂しさが湧き上がってくる。
    本当は、すぐに読みたいけど、もうしばらく時間が経ってからにしよう。

  • 冬にデントン市内で起きた事件の数々は、大半が未解決のままだった。少女誘拐の容疑者は不在となり、売春婦を狙う殺人犯はいまだ野放し。マレット署長の小言には無視を決め込み、モーガン刑事の相次ぐ失態はごまかしてきたが、それも限界だ。どでかい失策に州警察本部の調査が入るわ、“超能力者”が押しかけるわでデントン署は機能不全の瀬戸際、フロスト警部もついに降参か!?
    原題:Winter Frost
    (1999年)
    — 目次 —-
    第十三章
    第十四章
    第十五章
    第十六章
    第十七章
    第十八章
    第十九章
    第二十章
    第二十一章
    第二十二章
    幕引き
    フロストはいい/養老孟司
    ジャック・フロスト警部シリーズ作品リスト

  • イギリスの作家「R・D・ウィングフィールド」の長篇ミステリ作品『冬のフロスト〈上〉〈下〉(原題:Winter Frost)』を読みました。
    『『夜のフロスト』に続き、「R・D・ウィングフィールド」の作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    寒風が肌を刺す一月、デントン署管内はさながら犯罪見本市と化していた。
    幼い少女が行方不明になり、売春婦が次々に殺され、ショットガン強盗に酔っ払ったフーリガンの一団、“怪盗枕カヴァーといった傍迷惑な輩が好き勝手に暴れる始末。
    われらが名物親爺「フロスト警部」は、とことん無能で好色な部下に手を焼きつつ、「マレット署長」の点数稼ぎが招いた人手不足の影響で、またも休みなしの活動を強いられる……。
    大人気警察小説第5弾。

    〈下〉
    冬のデントン市内で起きた事件の数々は、警部お得意の勘頼み捜査が的中したものを除き、大半が未解決のままだった。
    少女誘拐の容疑者は不在となり、売春婦を狙う連続殺人犯はいまだ野放し。
    「マレット署長」の小言には無視を決め込み、「モーガン刑事」の相次ぐ失態はごまかしてきたが、それも限界だ。
    どでかい失策に州警察本部の調査が入るわ、“超能力者”が押しかけるわでデントン署は機能不全の瀬戸際、「フロスト警部」もついに降参か!?
    解説=「養老孟司」

    *第1位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門
    *第1位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
    *第1位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/作家部門
    *第1位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/翻訳家&評論家部門
    *第3位『ミステリが読みたい!2014年版』海外編
    *第3位『このミステリーがすごい!2014年版』海外編
    *第6位『週刊文春 2013年ミステリーベスト10』海外編
    -----------------------

    1999年(平成11年)に発表された作品で、イギリスの架空の地方都市デントン市を舞台にしたモジュラー型の警察小説、「ジャック・フロスト警部」シリーズの第5作目にあたる作品です、、、

    上下巻でなんと約1,000ページの大作… 「ジャック・フロスト警部」シリーズの愉しさを存分に堪能できました。


    冬のデントン署はまたしても忙しい… 酔っ払いのフーリガンがバス一台分、警察署に押しかけて大騒ぎになり、枕カヴァーを使う侵入窃盗事件が頻発し、娼婦ばかりが狙われる連続虐殺事件に行方不明の少女が他殺体で発見され、さらに裏庭から白骨体が掘り出されてと署員はおおわらわだ、、、

    そんななか「フロスト警部」は、とことんダメな部下「モーガン刑事」と上司「スタンレー・マレット署長」に足を引っぱりまくられ、さらには「リズ・モード警部代行(部長刑事)」の戦線離脱という苦境にさらされながらも、いつもの軽口を武器に寝る間を惜しんで事件解決に奔走する。


    勘に頼り、常に現場に足を運び、不眠不休で働き続けるという「フロスト警部」の捜査方針は相変わらず… しかも、本作品ではドジばかりを踏む部下の「モーガン刑事」に幾度となく足を引っ張られ、それにより「モード警部代行」が窮地に追い込まれるという、これまで以上に大変な状況、、、

    いやいや、どうなることやらと思いましたが、終盤、運にも助けられ複数の事件が一気に解決に向かいます… いやー 面白かった、「フロスト警部」ワールドが堪能できましたね。

    このシリーズ… というか、「フロスト警部」って、読者を惹きつける不思議な魅力があるんですよねー 長くて読むのは大変なんだけど、それでも愉しめるシリーズですね。


    以下、主な登場人物です。

    「ジャック・フロスト」
     デントン警察の警部。主人公

    「ビル・ウェルズ」
     巡査部長

    「アーサー・ハンロン」
     部長刑事

    「モーガン」
     刑事

    「ジョー・バートン」
     刑事

    「ランバート」
     巡査

    「エヴァンズ」
     巡査

    「ケン・ジョーダン」
     巡査

    「シムズ」
     巡査

    「ジョン・コリアー」
     巡査

    「ハウ」
     巡査

    「ポリー・フレッチャー」
     巡査

    「リズ・モード」
     警部代行

    「スタンレー・マレット」
     警視。デントン警察署長

    「アレン」
     警部

    「サミュエル・ドライズデール」
     検屍官

    「ミス・グレイ」
     ドライズデールの助手

    「トニー・ハーディング」
     鑑識チームの責任者

    「マッケンジー」
     警察医

    「ロリータ」
     売春婦

    「リンダ・ロバーツ」
     売春婦

    「バーサ・ジェンキンズ」
     売春婦

    「チェリー・ホール」
     売春婦

    「アンジェラ・マスターズ」
     売春婦

    「セアラ・ヒックス」
     売春婦

    「ドリーン・ビーティ」
     デントン市民

    「トミー・ジャクソン」
     タクシーの運転手

    「ロバート・グラッドストン」
     へべれけドライヴァー

    「ヴィクター・ジョン・ルイス」
     ガソリンスタンド店員

    「ハリー・グラフトン」
     売春の元締

    「ミッキー・ハリス」
     ハリーの用心棒

    「カークストン」
     ミッキーの弁護士

    「ヴィッキー・スチュアート」
     8歳の少女

    「ジェニー・ブルーアー」
     7歳の少女

    「メアリー・ブルーアー」
     ジェニーの母親

    「デニス・ハドレイ」
     メアリーの同棲相手

    「トニー・スコットニー」
     11歳の少年

    「レッドウッド夫妻」
     強盗事件の被害者

    「ハーバート・ジョージ・ダニエルズ」
     強盗事件の被害者

    「マッグズ」
     ダニエルズの友人

    「パトリック・トマス・モリス」
     石油会社の営業

    「バーニー・グリーン」
     小児性愛者

    「チャールズ・エドワード・ヴィーヴァー」
     写真愛好家

    「メイジー・ホワイト」
     ヴィーヴァーの伯母

    「フォスウィック」
     ヴィーヴァーの弁護士

    「ヴィヴィアン・テイラー」
     若い母親

    「ネリー・オルドリッジ」
     ネルソン・ロードの住人

    「ヘンリー・ブラマー」
     超能力者

    「サンディ・レイン」
     『デントン・エコー』紙の記者

    「テッド・ターナー」
     屋台の店主

    「アシュビー」
     歯科医

    「ヘレン・ストークス」
     歯科医院の受付係

    「マーヴィン・アダムズ」
     <サマリタンズ>のボランティア

    「スクリヴナー」
     <サマリタンズ>のボランティア

    「マックス・ゴールディング」
     <デイトン送迎サーヴィス>の経営者

    「メイヴィス」
     <デイトン送迎サーヴィス>の配車係

    「プレストン」
     デントン署の主任警部

    「ベイリー」
     州警察本部の警視正

    「ホップリー」
     州警察本部の主任警部

  • 不安要素なモーガン君。
    やらかしてくれました。
    もう、登場時点から、フラグたちまくりだった君。
    上巻で事故起こした時も、「ああ、ほら、やっぱり」って思ったけど、
    下巻でも、予想通りにやらかしてくれました。
    期待を裏切らない。
    けれど、捜査が進展したのは、彼が通っている歯科の受付嬢が殺害されて、最初、その被害者が娼婦っぽくなく、誰なのかわからなかったのに、モーガンが気付いたあたりからでしたから、まぁ、役に立ったのか?

    とにかく、モーガンのお陰で、リズが犯人にさらわれてしまうことに。
    リズのことが心配で心配で。
    バートンがイライラするのが伝わってくる。
    リズ、バートンに愛されてますね。
    とにかく、助かって良かった。本当に。
    リズとバートン幸せになってくれ。

    犯人がやっていたタクシーの無線探知、まさか、あんなに堂々と!?
    これはやられた。
    そして、犯人が女性だったとはね。

    少女の殺人に関しても、フロストの勘は間違っていなかった。
    やっぱり、ヤツが犯人だったんだ。
    あのおばさん、怪しいと思ってました。彼女が加担したんだね。
    いやもう、あっちもこっちもハラハラすることだらけでしたよ。
    気になって気になって一気読みよ。

    ヴィッキーのお母さんのシーンは、涙止まらなかったなぁ・・・
    警察を攻める親ばかりだったのに、このお母さんは・・・

  • 流石にシリーズ5作目ともなるとマンネリ化は避けられませんが、癖になるストーリー展開はなぜか読んでいて安心出来る、水戸黄門の様な中毒性があります。今回も名作「サウンド・オブ・ミュージック」を「おつむのネジがハズレたように歌いまくる尼さん軍団云々」と下品さ絶好調です。養老孟司氏の解説もコンパクトでよろしい。

  • 作中のニ大事件の顛末が消化不良。リズ・モード警部がどうなったのかも語られず。
    途中で出てきた老婆と知的障害のある息子の事件が一番衝撃的。
    今まで読んだシリーズの中でちょっと劣るかな…。十分面白いけどその後が足りない。
    オチはかなり良い。
    次がラスト「フロスト始末」

  • 自分にとってイギリスの正統派ミステリはなじみが薄いが、この作品は別格で世界を代表する警察小説の金字塔だと勝手に思っている。
    主人公のフロスト警部は風采が上がらない、行き当たりばったりのいい加減なオヤジ。
    更にセクハラたっぷりの下品なトークの連発となれば、ユーモアを通り越して引いてしまう場面も多い。
    しかし、知らないうちにこの人物の魅力にぐいぐい引き込まれてしまうのが不思議だ。
    気づいたときには上下巻1000頁を一気に読まされてしまうのだ。
    本国イギリスでは1984年の『クリスマスのフロスト』からシリーズが始まり、現在2008年に発表された『A Killing Frost』までが出ている。
    シリーズは『A Killing Frost』で完結となる。その理由は著者のウィングフィールドが2007年に亡くなっているからだ。邦訳は2020年以降となるという情報もあり、いつの日か原書版のペーパーバックに挑戦してみようかとひそかに思っている。
    ともあれ、パワフルで、下品で、やさしくて、人情味があって…そして哀愁が漂うフロスト警部。
    猛烈に忙しい主人公の魅力に、どっぷりとはまらせてもらった。

  • 微妙に全部のフラグを回収しきれていないのでは?と思う気もするけど、まぁ細かいことを気にするのはやめにしよう。

  • 何よりもフロスト警部の手口は被疑者の人権尊重の点で問題がある。逮捕者を負傷させながら、本人が勝手に転んで怪我をしたと責任逃れをする始末である。フロスト警部は誤認逮捕もしており、決して褒められたものではない。以下の暴言まで口にする。「犯人なんか適当に見つくろえばいいけど、そいつを証明するとなると、くそがつくほど面倒くさくて、くそがつくほど難儀だもんな」(下巻167頁)。
    一方で日本の警察の救い難さを描いた『ポチの告白』と異なり、イギリスの警察には警察犯罪を抑制する仕組みがある。取り調べは全て録音されている。「取り調べの際のやりとりが逐一、録音されている」(上巻336頁)。被疑者には弁護士を呼ぶ権利が保証されている。また、フロストの強引な取り調べを同僚警官が注意するなど、健全な人権感覚がある。
    さらに『冬のフロスト』と『ポチの告白』を分かつものはフロスト警部が上司のマレット署長に反抗的なところである。媚びへつらうだけのヒラメばかりの日本の警官を描いた『ポチの告白』とは異なる。フロスト警部はマレット署長の陰口を叩くだけでなく、署長の面前でも反抗的である。これは清々しい。

  • このミス海外編2014年版3位。フロスト警部シリーズ5作目。このシリーズめっちゃ好きだわ。とても長いのだけど全編ユーモアに溢れており、フロストの発言の9割ぐらいは冗談ばかりだし地の文も笑わせる。ずっと面白いコントを見続けてるようで無尽蔵のネタが圧巻。次々に発生する事件と行き当たりバッタリで失敗ばかりの捜査もスピード感が溢れていて、どこをとっても無駄で退屈な部分がなく一気読みした。何年かぶりかで本に夢中になって電車乗り過ごした。後半は物語もクライマックスになって読んでいて鳥肌が立つぐらい興奮して話しに没頭した。感動するところもあり、最高のエンタテーメントでした。

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