- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488296049
作品紹介・あらすじ
ナポリでも治安最悪の地区にあるピッツォファルコーネ分署で、汚職により捜査課に大量欠員が発生。そこで各地から腕ききだが問題のある警官たちが送りこまれ、急造で捜査チームが結成される。ロヤコーノ警部を筆頭とする彼ら彼女らは、息つく暇なく起こる事件――スノードーム収集が趣味の女性資産家殺し、少女の監禁騒動など――へ果敢に挑んでいく……! イタリア発の大人気警察小説、21世紀の〈87分署〉シリーズがここに開幕!
感想・レビュー・書評
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バラバラの場所から集められた問題児たちが、やいやいしつつ連帯して何か問題を解決する、というのは警察ものに限らず見る設定で、よく見るというのはやはり面白いから人気があるということで。
今作も面白かった。
思ったほど、問題児たち揉めなかったけど。
狭い人間関係の中でロマンス過多になりそうなところはちょっと好みではなくて怯むが、終盤で、ええ?!と電車内なのに声を上げそうになったところがあり、それがどう展開するのか気になるので、続巻も読む!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「おすすめ文庫王国2022」の「冬休みに読みたい!おすすめシリーズ(ミステリー)」で推されていたので買ってみた(とっくに冬休みは終わっているけどね)。
ナポリでも治安最悪の地区にあるピッツォファルコーネ分署で、汚職により捜査課に大量欠員が発生。そこで各地から腕利きだが問題のある警官たちが送り込まれ、急造で捜査チームが結成される…というところから始まるお話。
敏腕であるが独自の捜査方針を貫いて左遷されたロコヤーノ警部、暴力衝動を抑えられないロマーノ巡査長、度を超えた銃器好きのディ・ナルド巡査長補、コネ就職でスピード狂のアラゴーナ一等巡査という面々に、新任のパルマ署長、不審な自殺を調査し続けるピザネッリ副署長とコンピュータに詳しいカラブレーゼ副巡査部長が彼らを支える。
シリーズ物の最初の巻なので、登場人物の背景について語られる頁が多いのだが、彼らの個人的な事情、悩みや心の闇を読んでいるだけでなかなかに面白い。捜査はおまけみたいな感じだが、イタリアの市井の暮らしが良く知れる。 -
刑事小説の金字塔として今も燦然と輝き続けるエド・マクベインの87分署シリーズは、後世の作家に影響を与えるものと想像しているが、本書により日本デビューしたイタリア人作家マウリツィオ・デ・ジョバンニはシリーズの開始にあたって、最初にマクベインへの謝辞を捧げている。
本書はイタリアはナポリを舞台にして現代の87分署とも言うべきものを意図した新しい作家による新しい警察シリーズである。実は87分署シリーズは、1956年でぼく自身と同じ誕生年となる。マクベインと直にお会いできた幸運により当時の新作『ララバイ』と『ダウンタウン』にサインを頂きお話させて頂いたのは早川書房の社屋でのことだった。なので、こういう動機だけで本シリーズにぼくはやはり入れ込む。
もちろん本シリーズは、ニューヨークをモデルとした架空の巨大都市アイソラとは全く異なるナポリに展開する。しかし、人種の坩堝、国家経済の中心地、風光明媚な観光都市といった個性を持つこの都市は、物語を展開させるには十分な条件を満たしているようだし、警察小説のシリーズ展開にはうってつけの街であるように見える。
また集団小説という中で87分署のスティーヴ・キャレラ的主人公刑事を添えたのも、またその風貌がどこかキャレラに似ていることにも、なんとなく87分署愛を感じさせてくれ、嬉しいことこの上ない。
改めて落ちこぼれ刑事ばかりを集めたP分署の捜査活動再スタートという珍しい展開の中で、刑事たちは分散して二つの事件に当たる。二つの事件のミステリー性という面白さは未だ成熟を迎えていないようにぼくには思えたが、今回は刑事たちそれぞれの個性表現に重きを置くということに徹しているようで、事件の縦軸としたら刑事たち個々の物語を横軸と見ることができるので、その分、人間的には厚みのあるシリーズになり得ると期待感が高まる。
昨年同時期に『パリ警視庁迷宮捜査班』というこれまたパリを舞台にした新しい刑事チームが発足してこちらも個性的な刑事たちを配したシリーズとして楽しみなので、今この時期に世界中でチームワークと個人たちの活躍を描くハイテンポなエンターテインメントがシリーズ化されている様子は日本の片隅から眺めていても、警察小説好きには浮き浮きする気分である。
そんな新警察シリーズ、間を置かずどんどん翻訳されることを願ってやまない。刑事たちとナポリへの愛情が高まるには、スウェーデンのマルティン・ベック・シリーズのように、少なくとも10作は読ませて頂きたいように思う。 -
シリーズの始まりということもあって各人の背景描写のボリュームが多すぎるような気もするが、次につながる伏線もあり、シリーズを追いかけようと思う。
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メリハリがないぼんやりした文章が少し苦痛だったが、散りばめられている謎自体には魅力があった。せっかくすばらしい食材が用意されているのに、それを一流の料理に仕立てあげるには手腕に不安が残る。そんな感覚が拭えなかったので、もう数段は洗練された小説を所望したい。ある人物の言動で早々に「こいつが犯人だ」とわかってしまったのだが、そういうところに関してももっと工夫ができたのではないか。文句ばかりだな、とおもわれても否定はしない。もったいない印象が残った。おそらく、続きが刊行されても次は買ってまでして読まないだろう。
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「パリ警視庁迷宮捜査班」を彷彿させるメンバー。ナポリを舞台にしたはみ出し刑事達が活躍する警察ミステリー。今回はそれぞれの紹介にページ数を費やしていて、捜査の仕方にメンバーの性格や特徴を滲ませている。シリーズ化されるようなので次回を期待したい。先日読んだ「汚れた雪」などイタリアミステリが翻訳されだしたのが嬉しい。それにしても、イタリア男性の惚れやすい性質が面白い。
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シリーズ化している書籍は、最初にググッと来ると続けて読むのだがインパクトが無いと続けて読むのはきついです。新聞の書籍欄でお薦めでしたがこの書籍欄で当たった試しが無い。