人でなしの恋 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

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  • 東京創元社
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488401122

感想・レビュー・書評

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  • 人でなしの恋とは(相手が)人でない恋という意味だったのだ。
    短編で軽く読める枚数でしたが
    江戸川乱歩の文章力が凄くて短編とは思えないほど
    心にずっしりと気味悪さが残る小説でした。

  • かなり久しぶりの乱歩ワールド。美形で優しい( と思われていた ) 夫の心ここにあらずな様子を怪しんだ妻は、ついに夫が何者かと逢瀬を重ねていることを突き止めるのだが…

    やっぱり乱歩はねっとりしているなぁ。表題作は現代社会に置き換えてもあり得るストーリーかもしれない。

    三次元の生身の女性より、二次元のアニメキャラに傾倒する男性は珍しくもないし…と言うか、この頃からそういう志向の人々はいたのかな。

    一人二役 が個人的にはどきどきしました。自分の妻に他の男をしのばせて反応を見る…がその男を演じるのは自分で…歪んだ世界ですなぁ。

  • 久しぶりに再読。
    やっぱり、このあたりの短編が好きなんだよなあ。

  • 乱歩氏の目指す本格というものがよく解らなくなったというのが本書の正直な感想。
    がちがちの本格というよりも恐らくは当時乱歩は海外ミステリでよく行われていた「どんでん返し」の趣向に強い憧れを持っていたのではないだろうか。つまり一筋縄ではいかない結末を用意することに固執していたように思われる節がこの短編集では散見される。
    しかしその趣向が上手く機能しているとは云い難く、はっきり云って蛇足に近い。二流の作品で終える予定が三流の作品に貶めているように思う。つまり最後の結末があまりにしょうもなさ過ぎるのだ。
    ここに至り私は、乱歩氏は本格推理小説家としての才能は初期の短編の一握りの物にしか見られないと判断する。
    乱歩氏は本格推理小説を最も書きたがった通俗ミステリ作家だったのだ。

  • 乱歩の大人向け初期作品群は各社よりまとめ方に工夫をしながら多数でていますが、本編も新潮社の2編とかなりかぶっており、自身は再読のものが多い。題名についつい惹かれて手に取ってしまいます。大正時代の作風にしては本当に奇抜ですね。
    既読のものでも繰り返して読みたくなる乱歩作品です。
    表題作の「人でなしの恋」の意味は読んで納得、これだけでも価値ある作品です。

  • はあ、と思わずため息が出るような作品。
    門野が妻によって殺された彼女の轢死体を見た時、彼の心情を考えれば心底可哀想で仕方がない。
    誠実ではなかった。ただ、誠実であろうとしていた。
    門野は妻が彼女を滅茶苦茶にしたことを知ってるんじゃないかと。
    彼女の死と、自分の恋がバレたこと、その恥と耐えきれない悲しみに結局自死(というか心中)を選んだのか。
    人でなしの恋。
    その結末は悲惨だけど、人でなしは一体妻の方だったのではないか?
    嫉妬に駆られて、激情のまま人形を殺めたのだから。
    愛しいドールと同じ墓に入りたいと思う時点で私も門野と同じ人でなしなんだろう。

  • 十の短編集。やはり皆さまお勧めの「人でなしの恋」はとても良かった。他にも女の強さや男の純粋さ(弱さ)を押し出しているものが多かった気がします。「百面相役者」の悪い癖の部分も好きですし、しっかり本格の「灰神楽」も楽しかった。父の死の真相を探る「疑惑」も好みです。でも一番インパクトがあったのは「踊る一寸法師」のラストの影法師。こんなにめちゃくちゃなのに身を揉むほど痛々しく切ないのです。「木馬は回る」はこの短さに走馬灯のように一人の人生を追ったようでこれも良かった。読後読む自註自解が今回もとても楽しかったです。

  • 初期短編集。「人でなしの恋」は初期としては力作といえるだろう。「踊る一寸法師」は「孤島の鬼」に連なるテイスト。当時の挿絵が載っているが時代の空気が読めて素晴らしい。

  • 短編集。『一人二役』、『モノグラム』辺りが好み。『灰神楽』はベーシックな推理小説な感じで良いですね。表題先にもなった『人でなしの恋』は、さすが乱歩な描写で素晴らしかった。

  • 表題作が好き
    昔の作品て読みにくいけれど江戸川乱歩は読めるなぁ。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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