- Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488401146
作品紹介・あらすじ
『盲獣』いつにない早起き、ありふれた日常だったはずの朝が始まる。雨に降りこめられた展覧会場で、森厳な空気に相容れぬ雰囲気を醸す人影を見た水木蘭子は、凶事の予感に怖気をふるう。それは魅入られたかのように盲獣の魔手に搦め取られていく自身への哀歌にも似て…『地獄風景』旧家の一人息子が私財を蕩尽した大遊園地-さながら怪奇のおもちゃ箱-に集まる、名にし負う猟奇の紳士淑女たち。ひとり、またひとりと増える犠牲者を後目に殺人遊戯はエスカレートしていく。「犯人は誰か、その理由は」と公募された犯人当て懸賞小説。共に竹中英太郎画伯の華麗な挿絵を付す。
感想・レビュー・書評
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密かに江戸川乱歩小説の「変態度ランキング」なるものを作っている。やばい性癖や嗜好や行動規範を持った人物が数多く登場する乱歩作品にはタガが外れたようなすごい人たちがあちこの作品で出てくるのだ。この『盲獣』の主人公はそんな歴戦の変態たちの中でもかなり上位に食い込んでくるであろう変態で、最高に最低。タイトル通り盲目な男の物語であり、按摩師でもある彼が気に入った女性を次々と手にかけ残虐な方法で見世物にするという内容の中短編。なんでこんな男にほいほい美人な女性がひっかかるの?という疑問は出てきたりもしつつ、そこら辺は「そういうこともあるっしょ」くらいのテンションで適当に流されます。本作において重要なのはそんな部分には無くて、いかに男が狂っているのか、そして彼が最後に到達する地点がどこなのかを描こうとしているのだ。うん、あんたは本物だ。本物の変態だ。そしてこの無邪気なほどエログロに塗れた小説を書いた乱歩さん、あなたがナンバーワンだ。
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積ん読本の中から引っ張り出し、ハテ、どうしてこれを買ったろう?
と、我ながら首を傾げてしまったのだが、ともかくも読んでみた。
タイトルは盲目のケダモノ(=人面獣心)の意。
欲望のまま女を漁っては非道の限りを尽くす男の話で、
好みのタイプについて、見えないから顔の造作は関係ない、
肌触りの善し悪しが一番肝心と宣う。
で、目が不自由なので、拉致監禁その他一切、
まさかそんな手の込んだ犯罪など不可能だろうという先入観でもって、
長らく容疑者リスト入りを免れるといった塩梅。
ちなみに、この版では、
乱歩自身が読み返して「吐き気を催す」とて削除された部分が復元されている。
ご愁傷様である。
見えないと触覚が鋭敏になって、
見えている人には体感できない愉悦を味わうことが出来る――というのは、
谷崎潤一郎『春琴抄』にも通じると言えるけれど、
しかし、これはエロいのグロいのって(笑)
同時収録「地獄風景」は既読で
タイトルを目にしただけでお腹いっぱいなので割愛。
でも、雑誌連載時の犯人当てクイズ結果発表まで採録されているのが愉快。 -
犯人当て懸賞小説「地獄風景」も同時収録。作者本人もあとがきに書いてるが、「道化版パノラマ島」に納得w
「盲獣」は、触覚に注目した変態的で猟奇な世界観は面白かったんだけど、後半、書くのに飽きちゃったのか、怒濤の急展開で終わらせててちょいと残念。 -
盲獣のラストの発想が面白かった。これがエログロナンセンスというものか
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《未購入》『盲獣』は読み手を選ぶ作品だと思う。江戸川乱歩を初めて読む人は、間違ってもこの小説から読んではいけない。エログロへの嫌悪感より、まるで喜劇を見ているような笑いが込み上げて来るから不思議だ。
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エログロナンセンス