深夜の博覧会 (昭和12年の探偵小説) (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.18
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本棚登録 : 457
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488405168

感想・レビュー・書評

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  • 『たかが殺人じゃないか』を読むために読んだ。

    ミステリー小説ながら、時代小説として充分読み応えがあって面白かった。当時の空気感が濃くて、逆に現代の常識が通じないところに気持ち悪さを感じた。すごい。

    実際の事件が起きるまでが、予想よりも待たされ、特に早く知りたいというモチベはなかなか湧かなかった。これは好みの問題だな。面白いんだがなかなか読み進められない。
    トリックについては、これはあとで使うからね!ばりに散りばめられてるし、建物の仕掛けもでしょうな感。あるある。
    犯人も、これ良いのかな。まあフェアだが、本格小説というにはバレバレでは。あまりにも容疑者が少ないしやってのけられる能力の人も少ないし、余所に目線をやろうにもこの閉じられたメンバー間での話ばかりなので、わかってしまう。

    全体的に、反戦なんだなとわかる。これはメタだが、結末を知ってる作者だからこそ、先を見据えたキャラを出せて、それを通してほらねと言ってるわけなので、はあ、そうですよねっていう気持ち。無邪気にすごいと楽しめなかった。つまらない人間になってしまった。

    人間ドラマもあんまり楽しめなかったな。2時間ドラマで、映像の演出があったら深みにハマれるかもしれないが、そこまで。
    でもまあその時代の空気を存分に感じられたし、館も面白かったしっていう感想。ミステリーとしてはまあまあかな。
    本命のほうに期待する。これを越えてて欲しい。

    史実とフィクションのあんばいは良かった。良いさじ加減。史実の人出してて大丈夫か?って思ったけど、まあいいや。ちょっと勇気が出た。

    うっすら横溝っぽいなと思ってたら同じような感想を見かけて、ですよね!っていう気持ち。

  • 2021.06.29 #025

  • 思った以上に戦前のいろいろって何も知らないことがわかった。

  • 2021/04/07

  • 著者の集大成的な作品となる<昭和ミステリ>三部作の第一弾ということで、拘りが随所に感じられる。戦前の昭和という時代を立体化する為に当時の情景描写、世相、風俗、蘊蓄の数々が散りばめられており興味をそそられるが、肝心な物語の本筋は駆け足で、著しく奥行きに欠けている。著者の経歴とこの猟奇的で大仕掛けな舞台設定ならば、キャラクターの魅力とストーリーテリングの妙、その両方を如何様にも発揮出来そうなだけに何とも物足りない仕上がり。しかし、刊行当時86歳という御年齢でこの作風を執筆出来るパワフルさには感服するしかない。

  • 2021/02/13読了

  • 「たかが殺人じゃないか」を読む前に、その前日弾であるこちらをまず読んでみた。

    昭和初期の風俗が活き活きと描かれているし、まだ日本が大陸進出を目指していた猥雑でありながらも活力がある時代が虚実様々な登場人物とともに興味深く描かれている。

    と、好意的に書けばそうなるが、実際は話の本筋と全く関係ない世相描写が長いし、キャラも中途半端に物語に絡んでくるだけ。肝心の事件が起きるまでが長く過ぎてウンザリ。
    そして事件の真相も強引だがさほど驚くほどでもない。

    主人公も含めてキャラが全く魅力のないのも致命的。
    続編を読むかどうかは微妙。

  • 「たかが殺人じゃないか」の前日譚、ということで手に取った。時代的な背景や人物関係、建物の構造など、少々複雑。また、ワトソン役の女性の話し方が鼻について読み進め辛かった…

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著者プロフィール

1932年、名古屋市生まれ。名古屋大学文学部卒業後、NHKに入社。テレビ初期のディレクター、プロデューサーをつとめたのち、脚本家に転身。『鉄腕アトム』、『エイトマン』、『ジャングル大帝』、『サザエさん』、『巨人の星』、『デビルマン』など、1500本超のアニメ脚本を執筆した。また、推理小説作家としても活躍しており、『仮題・中学殺人事件』、『迷犬ルパンの名推理』、『あじあ号、吼えろ!』、『完全恋愛』(牧薩次名義)など多数の著作がある。現在、デジタルハリウッド大学教授。国際アニメ研究所所長。本格ミステリ作家クラブ会長。

「2009年 『『鉄腕アトム』から『電脳コイル』へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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