山伏地蔵坊の放浪 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 2-4)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488414047

感想・レビュー・書評

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  • 2002年に読んだ本。しかし、読書記録もないので再読しました。あの頃、有栖川さんのものを読んだことがなくて、最初の一冊として選んだこと、山伏とはどういうものなのかということに興味を覚えていたので選んだことを思い出します。読んだ動機は思い出せましたが、ストーリーは、まるで初読かのように楽しめました。トリックを全く記憶していませんでした。30年前の読書だからしかたない、と開き直っても良いのでしょうか。
    読書には多様な楽しみ方があると思います。この本は、いろいろと考えず、この世界に浸りきることで楽しめる本、読んでいて感じる疑問を深く掘り下げるような読み方は合っていないのだと思います。
    地蔵坊の胡散臭さに浸りきる、語り手の青野さんの感覚にすっと寄り添って軽くうなずく、このトリックは厳しいなあと思いたくなるところをその気持ちを込みで楽しむのがより良い楽しみ方なのだと思いました。なんというか、パズルとしてよくできていると思います。ピースがうまくはまっていく感覚を楽しめます。ただ、完成した絵はちょっと歪んでいるかもしれません。
    地蔵坊の呷るボヘミアン・ドリーム、名前は素敵で似合いだけれども、グラスを呷る姿はちょっと奇態かなとも思います。2杯で心地よくなるのかなあ。そこらあたりも胡散臭さの根なのかもしれません。
    解説が秀逸でした。解説で多くのことを学び、本編読後のお得感がいっぱいです。

  • さすが有栖川という感じの完成度の高いミステリ短編集。短編ミステリの場合、短さゆえに可能性を絞り込ませるのが難しいのだけれど、どの作品もうまいことデータが積み上げられて、犯人当てに至っています。有栖川作品はロジックの完成度が高いので安心して読めますね。論文並みの解説もミステリ好きには見逃せない。

  • 連作ミステリー短編集。全7話。

    僕は毎週土曜日になるとバー『えいぷりる』に足を運ぶ。そこには僕と同じ目的に仲間たちが銘々集まってくる。僕たちが集まる理由?それは『えいぷりる』に毎土曜やってくる山伏の話を聞くため。彼は自ら体験し、解決した事件について話してくれるのだ。彼は『ボヘミアンドリーム』というカクテルの二杯目を飲み始めるころ、訥々と話し始める・・・。

    プププ。おもしろい(^▽^笑)トリックもさることながら、やはり有栖川有栖さんの特筆すべき妙味というのは、キャラクターでしょう。銘々が個性があって気が付くとすっかりストーリーに引き込まれてしまってます。

    そして、たっぷり散りばめられたユーモア。最高です。笑わずにはいられない(笑)行間から笑いが滲み出てますね(笑)有栖川先生に笑いのセンスはもろ私のツボです!!さりげない笑い。何気なく読んでると読み過ぎてしまいそうなくらいさらっと、皮肉が効いてたり、エスプリに富んた笑える表現がなされてるんですよね〜(*´ー`)

    じわりじわりとボディーブローのように効いてくるんですよ、この笑いが(笑)そして、物語の最後の一行でちゃんとオチまで付けてくれていてもうサービスばっちり!!(笑)

    そういやこの作品、以前読んだ『踊る男』とシチュエーションが似てるかも。でも有栖川作品には『踊る男』にはない『笑い』と活かしたキャラの『山伏』がいるんです♪

    ・・・プププ・・・笑いの余韻がまだ・・・(笑)

  • 地蔵坊先生の怪しさ、胡散臭さがいいですね。「えいぷりる」の客になってみたい。

  • 地蔵坊が語る体験談は、さすらう内に遭遇する事件たち。 結構がっつりしているのに、設定に現実味がないからか、とても読みやすい。 本当、体験談か作り物かなんてどうでも良くなるくらい引き込まれる。途中から問題編をじっくり読んで犯人を当てようとしたけど、犯人だけわかってもトリックが予想外なことが多くて、そこも面白かった。 ガラス窓のところとか、想像力が足りなくてこんがらがることがあってので、もっと読み込みたい。

  • 地蔵坊さんのお話ももちろん面白いんだけど、その後のフィニッシュストロークも決まってる!!

  • 山伏好きなので、早く読みたいわ

  • 山伏を探偵役とした珍しいであろう短編集。山伏である地蔵坊が各地で遭遇した事件を語り、それを聞いた者たちで議論する様は黒後家蜘蛛の会的なところがあるがそこらへんは控えめ。短編故にどの謎もそこまで深みのある謎でも奇抜なトリックでもないが妙に味のある話ばかりだったので有栖川有栖ファンなら読んで損はないと思った。

  • 昔、たぶんローカル線とシンデレラだけを読んで、積読になってた。
    読むと、地蔵坊の胡散臭さが爆発してて面白い。
    「ローカル線とシンデレラ」
    「仮想パーティーの館」
    「崖の教祖」
    「毒の晩餐会」
    「死ぬ時はひとり」
    「割れたガラス窓」
    「天馬博士の昇天」

    「崖の教祖」のとんでもなさに大笑いしてしまった。
    本格の皮をかぶったブラックユーモアみたいな…。
    戸川安宣さんの解説も読み応えがあってよかった。
    隅の老人のネタバレ凄まじいけど…

    解説最後の「有栖川有栖は大変なロマンチストであると同時に、非常に冷めた批評眼の持ち主だ」というのがとてもしっくりした。
    このバランスが好きなんだよなぁ…

  • はるか昔にたしかハードカバーで読んだことがあるんだけど、久々に読んだらなんにも覚えてなくていっこも犯人わかんなかった。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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