妖精の女王 (創元推理文庫) (創元推理文庫 F マ 10-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488544027

感想・レビュー・書評

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  • 前々から気になってた本だったんだけど、なかなか読む機会が無いまま忘れ去りそうになっていたんだけど、
    つい最近ブックリストを作ったせいで思い出して、読みました。

    他の翻訳YAモノより、サイズが文庫本で小さく、文字もギッシリ詰まっています。

    妖精モノのロマンスものYA(ヤングアダルト)。

    だから、Twilightとかその手のヴァンパイアじゃなくて妖精バージョンのパラノーマルロマンスものを想像して読み始めたんだけど、
    予想とは違って、作品の世界観を前面に押し出した、ロマンスものだけどそこに焦点を絞って定めたっていうわけじゃなく当てたってかんじの作品なのが判明。
    一筋縄ではいかないかんじがあったよ。

    とてもよかった。
    この作品の世界設定と、登場人物の容姿設定というか、キャラクター設定が、個人的に凄く好みだったから、さらに気に入っていい評価の作品だったよ。

    というのも、
    舞台が妖精の世界と人間の世界で、
    一時期妖精に関する本を読みあさっていた時期があって、無駄に知識が付いてるというのもあってか、凄い想像しやすくてのめり込んでしまったんだよね。
    まさに、妖精の世界なの。しかも深みがあってファンタジーってかんじ。
    大抵の人が『妖精』って聞くとティンカーベルみたいな妖精を想像する人が多いんだけど、そういうのはほんの一握りで、もっと不気味で気味悪くて不細工なのが多いのね。もしくは、絶世の美男美女で人間を惑わして悪いことするとかそういう迷惑なのだったり。中には、見たら生きて帰れないっていうようなその辺のバケモノより怖いのとか多いんだよ。
    日本の妖怪に近い感じの生き物だから、イメージしやすい人は多いと思うけど。
    そして、妖精には沢山の種類があり、沢山の言い伝えや伝説があるんだけど、よく神話を元にした作品とかで神話を知ってるからオチがわかるとか、そういう感覚ってあるけど、この作品は知識もって知っていても、それを楽しむことができるっていうところまで持って来てる作品で、予備知識あった方が楽しめるんじゃないかって思ったくらいの作品だったのね。
    妖精だけじゃなくケルト神話だったりイギリスオタクなところがあるからか、情景が容易に浮かんで来るみたいだったし(笑)

    各章の冒頭に、妖精に関する伝説などの本の一節の引用が用いられていて、中には見覚えのある著者の名前があったり。その実際の妖精の伝承の世界と、この作品の世界がマッチしていて、その昔の伝承の世界が現代にもあって進行してる感じがしてとても面白く感じたよ。

    ほとんどの伝承の引用が英国人のものによるもので、アメリカ大陸に英国人が到達するよりも大昔から妖精伝説っていうのは言い伝えられていたものだから、この作品の舞台がアメリカっていうのに奇妙な感覚を覚えたのは確か。
    作中もコーヒーじゃなく紅茶ばかり登場するのも手伝って、アメリカが舞台の作品ではなくて英国が舞台の作品なんじゃないかって何度も思ったほど。
    アメリカを舞台にすべきじゃなかったかも。

    そしてそして、大抵いつでもどこでも、本を読んでても映画を見てても半分くらいの作品で思うのは、アタシのタイプと世間一般のタイプのギャップ。
    ブロンドの筋肉質なブラッドピットタイプな正統派イケメンに、どうも惹かれないし(笑)ティーンにキャーキャー言われてるロバートパティンソンは、全くどこがいいのか理解できなかったり。ディカプリオそんなにいいか?だとか。
    そしてそういう人物像のハンサムガイが出て来る小説も多くて。
    そして、大体ロックっぽかったりゴスっぽかったりする男っていうのは『カッコイイ』からなぜか遠ざかった設定になってる作品が多くて、その手の方が好みのアタシには、「うーん」って思いながら読んでたりすることもしばしば。
    で、今回はだよ。
    来たよ!来たよ!!
    タイプストライク!!な男が!(笑)
    主人公アッシュリンのボーイフレンドのセスが、黒髪で細身マッチョで、顔やへそやらにボディーピアスしてて黒いマニキュアしてて、チョーハンサムで、彼女のためなら火の中水の中タイプっていう設定。
    アタシの好みどんぴしゃりすぎてビックリ(笑)
    しかも、そういうのが好みだから想像しやすいし、流れてる曲もリンプの何だとかGosdmackの何だとか書かれてたらどんな曲かわかるし。
    読んでる最中セス大好きでした。最後まで中身も外身も男前すぎるし。


    そんな、アタシの得意分野に特化した作品だったのもあって、すごい面白かったです。
    だから、他の人が読んだら印象が違うかもしれないけど。

    ただ、話の展開が予想通りに進んで裏切らなかった作品ではあったかも。
    でも、裏切って欲しくなかったから、いいんだけどね。

    そして、このまま続編に続くのかと思えば、続編の主人公が違うというのを知ってちょっと衝撃。
    セスは!?(そこか。)

    って思って今、続編見て見たら、あらセス!(笑)
    そして、わ~やっぱり、アタシの想像通りの展開なのね。
    でも、いいわ。最後まで読もう。セスが奮闘するならば(目的はセスだけ?笑)

    映画化権はすでに取られていて、
    映画化されると噂が強い作品。
    これは、是非とも映画化して欲しい。凄い見たいわ。


    妖精伝説、ケルト神話、そしてロマンスものYA好きな人、オススメです。

  • いわゆる妖精連れ去りモノだけど、主人公の少女がサマー・キングに惚れないのは初めて。

    フェアリーが見える家系に生まれた高校生のアッシュリンは、恐ろしい彼らを注意深く避けながら生きてきたにも関わらず、ある日を境にふたりの強力な男女のフェアリーにつきまとわれるようになる。男は誰もが惹かれずにはいられないサマー・キングのキーナン。女はキーナンを愛した元人間で、自分が『選ばれし者』サマー・クイーンであることを証明しようとして失敗し、ウィンター・ガールとなったドニアだった。ウィンター・ガールの仕えるウィンター・クイーンはキーナンの母親だが、息子のサマー・キングとしての力を封じて勢力を拡大しつつあった。このままではサマー・フェアリーも人間も滅びてしまうと焦るキーナンは、自らの力を解放するためにサマー・クイーンを欲していた。彼はアッシュリンをサマー・クイーンと見込み、人間に扮して彼女を口説こうと近づくが、幼い頃からフェアリーの危険性を目の当たりにしてきたアッシュリンには甘い恐怖でしかない。むしろ、アッシュリンが惹かれていたのは、トレインハウスで一人暮らしをしているセスだった。フェアリーの秘密と恐怖を抱えきれなくなったアッシュリンは、セスにそのことを打ち明け、セスはアッシュリンを信じ、彼女を助けようとする。セスもまたアッシュリンを愛していたのだ。彼の献身に勇気を得たアッシュリンは、キーナンから逃げ回るのを止め、彼の目的を探っていたが、フェアリーのワインを口にしてしまい、自身もまたサマー・ガールに変貌する。こうなった以上はキーナンに仕えるか、『選ばれし者』のテストを受けてサマー・クイーンになるか、命を絶つしかない。けれど、どの選択も受け入れることができないうちに、彼女がサマー・クイーンであることを予感したウィンター・クイーンの攻撃が激しさを増す。アッシュリンは祖母や恋人となったセスを守るためにも、『選ばれし者』のテストを受け、サマー・クイーンにはなるが、キーナンの妻としてではなく、人間としての生活を送ることをキーナンに認めさせる。アッシュリンは無事にテストにパスし、サマー・クイーンとなる。しかし、その間にもウィンター・クイーンの魔の手がセスに伸び、セスがさらわれてしまう。アッシュリンとキーナンは協力して彼を助けるが、ウィンター・クイーンが直接サマー・キングに手を掛けたことはルール違反であり、彼女は自滅する。その力を受け継いだのは、かつてキーナンのために犠牲を払ったドニアだった。強い力を手に入れた彼女は、ついに愛するキーナンとも肩を並べられるようになる。こうしてアッシュリンとセス、キーナンとドニアの2組のカップルが成立した。

    あらすじを書いてみて改めて思う。とにかくカタカナが多い。「夏の王」や「冬の女王」ではだめだったのかな。カタカナ→英語のスペル→意味という流れで変換しないとイメージが湧かないことが多く、実はちょっと難儀した。短期記憶の衰えを感じる。
    それはともかく、単なるシンデレラストーリーでないのは新鮮だった。セスも十分魅力的なので、ある意味ではシンデレラストーリーなのだけど、妖精王の魅力に屈服するよりはよほど主体的。そういう意味では現代という時代設定も主人公の生いたちも妥当だった。序盤から「セスを選んでくれー」と念を送っていたかいがある。主人公が二股をかけるような子だったら、がっかりしていたと思う。
    そんなわけで主人公のことは嫌いじゃないけれど、わたしにとってはキーナンやドニア、セスの気持ちの揺れのほうが興味深かった。アッシュリン視点だと彼女自身の魅力が分かりづらくて、ただ祖母の教えやフェアリーの恐怖から逃れたいとあがく思春期の女の子に見えてしまうからか。それかみんなを振り回すのがアッシュリンの側で、周囲の方が意識改革を迫られていたからかも。セスがアッシュリンに惹かれた理由でも分かれば、もっとアッシュリンに感情移入できたかもしれない。あとはキーナンがドニアのもとを去った時の心情、ウィンター・クイーンが夫を殺害した理由を細かく知りたかった。
    ウィンター・クイーンを除けば、登場人物がいい人ばかりで、複雑な人間模様がみられるわけでもないけれど、いい人が多いだけにハッピーエンドに納得感はあって楽しめる。続編もすぐにポチった。

  • アメリカが舞台の妖精ファンタジー。妖精設定のベースはケルト神話と、シェイクスピアの影響もある?土着の神話を持たないせいか、アメリカ製の妖精話はいつも借り物感というか、主人公の生活風景と妖精がマッチングしてない感が強いのだけど、この作品は話がいいのか訳がいいのか、あんまり妖精にバタくささがなくて意外だった。

  • 図書館で借りました。
    今時の女子高生とおとぎ話の世界の融合、と言うことなのでしょうが今時ではなく一昔前?かなあと思いました。日本だとそれほど美形のアヤカシモノは存在しないような偏見がありますが妖精の世界は美形揃いですね。(怖いのも恐ろしいのも居ますがキラキラ妖精が全面に押し出されていた感があって美形のイメージしか残らない…)

    それにしてもセスは主人公のどこが好きなんだろう?美人だからだろうか。なんだか読んでいて少女漫画を読んでいるみたいだなあと思いました。つまり洋の東西を問わず人間は美形に弱い!ということかな。
    個人的にはドニアが好きでした。影を持った美人は好きだ!と言う訳で主人公バカップルよりもドニアと夏王がどうなるのかハラハラしました。続きがあるみたいなので気が向いたら読もうかな、と思います。ドニアが主役だったら迷わず読むんだけどなあ。

  • 妖精物の、王道も王道な感じのストーリー。
    どこかで読んだことあるかな、と思うほどにありがちなストーリーではあるものの、主人公や周りのキャラが魅力的だし、読みやすい文章なので、楽しく読み終えることが出来ました。

  • ケルト民話が土台となっている妖精譚。夏の王に見初められた主人公アッシュリンの心の葛藤が読んでいてもどかしくなる。かつて夏の王に見初められ、裏切られたウィンターガール、ドニアやアッシュリンに想いをよせるセスの心情も絡み合い、どんな結末が待っているのかとじれったくなった。ケルト妖精譚が好きな人にはもってこいの作品。
    ただし、地の文にそれぞれの人物の気持ちが混ざり込んでいるので少し読みにくく感じた。

  • 表紙が気になったので読んでみた。

  • 2010年12月3日読了。

    ハイティーン向け?のファンタジー小説。
    これが予想外に面白かったです。
    ラストもすごいし…妖精の王と女王は職業…斬新だ。

    人間の恋人のセスがかっこいいですよね。
    まさに女の子の夢の王子様…って感じ。

  • サマーフェアリー(妖精)のキーナンが実権を取り戻すために探し求めた相手が、人間の女の子アッシュ。アッシュはビジョンがある−普通の人間には見えない妖精が見える−、キーナンはサマーフェアリーキングで、アッシュと近づくために人間になりすます、それがものすごく魅力的、あらがえない魅力をたたえている・・・。あとがきに第2の『トワイライト』との呼び声も高いとあった。確かにね、結構似ている部分はあるかも。でも私はやっぱりトワイライトだなぁ。この本だったらキーナンン、トワイライトならエドワードなんだけど、エドワードの100%君しか見えない〜って方が好き。

  • 現代っ子と妖精の丁々発止の物語、というかんじでした。絶世の美男子妖精に求婚される、といってしまうとロマンスですが、べったり甘いかというと全くそんなことがなくて読みやすかったです。

    西洋版百鬼夜行抄みたいで楽しかった。

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