- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488544058
作品紹介・あらすじ
ジャックは大学時代の友人のサイモンから、館にある図書室の蔵書目録の改訂を頼みたいという連絡を受けた。稀覯本に目がないジャックはふたつ返事で引き受ける。だが、館に到着したジャックを迎えたのは、窶れ果てた友人だった。その夜サイモンに見せられた、彼の亡き妻の手記には信じられない出来事が綴られていた。表題作「図書室の怪」を始め4編を収録。ポオの研究家でもある著者が描く、クラシックな香り高い英国怪奇幻想譚。
感想・レビュー・書評
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表題作の「図書室の怪」はじめ、「六月二十四日」「グリーンマン」「ゴルゴタの丘」の4作収録された英国のゴシックホラー。図書室の怪はミステリ要素もあり。
読むのになぜかすごく苦労したが、内容はおもしろい。ミステリ小説、怪奇小説の研究者であるという著者の手腕が発揮されている感じ。聖書やグーテンベルクの稀覯本、古書、図書室など著者の本好きがうかがえる。
クトゥルフ神話TRPG好きな人が好きそうな内容かなと思った。 -
いつの時代設定なんだろう…と思うほど、クラシカルな空気感に、懐かしさを覚えました。
私のミステリー好きは、ポーやドイルなので、ポーを研究されてる作者に、ポーの雰囲気を感じることができました。
特に好きなのは『六月二十四日』
ポーからの乱歩みたいなお話で、ワクワクしました!
お屋敷の図書館ってだけでも、ワクワクですけどね! -
2017年刊。
作者はイギリスの人で、もともとエドガー・ポーなどのミステリや怪奇小説を研究してきた学者さんのようで、本作は初めての小説。
表題作は200ページにわたる中編で、その後に短いのが3編入っている。
現代において書かれながら、古き良き19世紀古典怪奇小説のスタイルで、そのアナクロ趣味が特徴である。作曲でも21世紀の現在においてもドイツのバロック時代の音楽を模倣し続けている人もいるし、人さまざまな中に、このような作品があっても悪くはない。
さて実際に読んでみると、表題作はせっかくの王道的な怪奇プロットが、どうも文章に緊張感がなくて生かされない。書法がどうも上手くないのである。そこはやはり「駆け出し作家」というところか。全編、どうにもぼんやりしているし、クライマックスももうちょっと上手く書けそうなものなのに、ともったいなく思った。
むしろ最後の「ゴルゴタの丘」の後半、クライマックスから末尾にかけてが迫力をもって上手く書けていた。 -
クラシックな英国ゴーストストーリー短編集。
というか、表題作「図書室の怪」は中編ですね。屋敷の古い図書室に秘められた謎、妻の不審な死、そして現れる亡霊と過去の恐るべき犯罪、と魅力的な要素は揃い踏み。じわじわと迫りくる不吉な雰囲気に浸りつつじっくり読みたい作品です。が、まさか終盤これほどまでの恐ろしい展開になるだなんて……! そしてどこまでも断ち切ることのできない因果の重さが後を引きます。
「ゴルゴタの丘」も好きな作品。これまた王道のクラシックホラーだけれど。やはりこういうのは好きだなあ。 -
図書館で。
ミステリーのような、ホラーのような、不思議な小説。
中世からの旧家というかお城の図書室とか、確かに入ってみたいなぁ。ちょっと怖いけど。そのちょっと怖いが大分怖いに格上げされているようなお話でしたが。
それにしても日本だと旧家の蔵に所蔵されていた書物とか巻物になるのかなぁ?
それはそれで怖そうだな。 -
図書室、怪奇小説、クラシックな香り、英国ゴーストストーリーなどと言われれば、そりゃついつい。表題作はまさにそれなんですけど、意外にも他の3篇が私の好みでした。
仄暗く端正なゴーストストーリーで、とても現代の作品とは思えないほど。100年前の作品と言われても信じてしまいますよ私は。
ああ面白かった。 -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50225761 -
領主とか領館、執事、家令といった言葉が出てくるだけで雰囲気が出来上がってしまうのってズルいと思う。