- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488663315
作品紹介・あらすじ
【創元SF文庫60周年記念新版】
月面調査員が、真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体はなんと死後5万年を経過していることが判明する。果たして現生人類とのつながりは、いかなるものなのか? いっぽう木星の衛星ガニメデでは、地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの巨星が一世を風靡したデビュー作。第12回星雲賞海外長編部門受賞作。
感想・レビュー・書評
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ハードSFの巨匠ジェイムズ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』です
ハードSF…なんかエロい(おバカ)
いゃあーゾワゾワした
めっちゃSF!もうめっちゃSF!
SFってこういうことよってのをあらためて感じました
SF好きを名乗りたいならば絶対に読んでおかなければならない一冊ですよ
確か国連総会で採択されてたはず
まぁ難しいけどね
難しいけど面白いのよ!
今回この名作を手に取ったのは翻訳者である池央耿(いけひろあき)さんが先日お亡くなりになったのを知ったからなんよね
SFやスパイ小説なんかを数多く翻訳された方で、アイザック・アシモフの『黒後家蜘蛛の会』は全部持ってました
ブクログ本棚にも池央耿さん翻訳本、何冊か登録されてます
お世話になりました
ご冥福をお祈りします -
月面で、五万年前の人間の死体が見つかる?!という謎から始まるSFミステリー。一九七七年米国で刊行、物語の舞台は二〇二八年ごろ。一九八〇年邦訳版刊行以来特に日本で愛され続け、なんと百刷超え、創元SF文庫を代表する人気作のひとつとのこと。二〇二三年夏以降、本作及び続編の新版が続々刊行され、未訳だった最終巻『ミネルヴァ計画(仮)』も出るらしい。ホットだ。私は図書館で借りた子供向けの『名作ミステリーきっかけ大図鑑』という名作紹介本で知り、読みたいリストに入れていたのを、今回オーディオブックで読んで(聴いて、ですけどなんとなく)みた。
オーディオブック向きなのか問題は常にある。気分が乗らなくてもとりあえず進めるが、ちょっと忘れたところに戻って聞き直すというのが難しいので内容把握が曖昧になる。オーディオブックとの付き合い方は要研究であるがメリットもあるのでまだやめない。朗読は森田順平さん、主人公ハント博士のときの声色が好きでした。
▼死体(仮名:チャーリー)の謎そのもの
これはメインディッシュ。これが知りたいという推進力で聞き進んでいくわけで、パワーは十分。レビューの最後に自分用ネタバレメモを書きます。
▼謎解きの過程
これがなんとも地味で面白い。地道な調査で確たる事実を集め、仮説、検証と科学的にアプローチしていく。本作で語られる学問的な諸前提が現実の科学に照らし合わせてどれくらいリアルなのかは私にはわからないが、調査の進め方には魔法やファンタジーやご都合主義の入る余地なく、とても真実味がある。
さらにこのプロジェクトのボスであるコールドウェルというおじさん(まあ主要人物のだいたいがおじさんだが)による人員配置がまた冴えていて、お仕事ものとしても面白い。彼の采配が光るシーンはいくつかあるが、何より、並いる科学諸分野のスペシャリストたちを率いるリーダーとしてハント博士を連れてきた慧眼と手腕が見事。コールドウェルが、ハントを「他の人が考えつかないような切り口で物事をみる特異な頭脳」を持っているという理由で引き抜いたとき、私にはその特異さというのがピンとこず、主人公は天才ってことかなあくらいに受け止めていたが、最後まで読んでみると、あの時やあの時の思考回路やひらめきを可能にするハントの力をコールドウェルは見抜いていたのか、と恐れ入った。
▼たまにロマンチック
そんなわけで基本はアカデミックなプロジェクトものできっかりかっちりしており、ロマンスとか誰かの人間的成長みたいな大きなヒューマンドラマはない(そこもいい)のだが、時折ふっと人間味に満ちた情緒たっぷりのシーンが挟まれるところがまたニクい。ハント博士と初めは対立するダンチェッカー博士とのあれこれ、チャーリーの手記、ハントの感傷など。冒頭ではハントの相方的存在だったグレイが、ノリスケみたいな奴で楽しかったのだがいつのまにか消えていた。
▼今が舞台
ほぼ今が舞台なので、五十年前に描かれた未来の答え合わせ的な楽しみ方もできる。紛争はなくなり…というところが、合っていなくて残念。この点や、ラストのダンチェッカーの語りなど、なかなか考えさせられるところである。
▼チャーリーの謎(完全ネタバレメモ)
※ここからはネタバレまくりメモ。
・続編を読まないと全ての真相が明らかにはならないが、とはいえ本作だけでも十分満足感はある。
・ところどころ私のメモが曖昧なのは、不明点の聞き直しを怠ったため。なので間違っているかも。あくまで自分用。
・かつてミネルヴァという惑星が火星と木星の間にあった。
・ミネルヴァ人=ガニメアンは、二五〇〇万年前に生きていた。高度な文明と技術を有していたが何らかの原因でミネルヴァは二酸化炭素過多になり生命の危機。その対策として地球からノアの方舟よろしく色んな生物を運んだ(交配して強くなろうとしたのか?この辺不明)。が、このプロジェクトは行き詰まり、ガニメアンはミネルヴァも地球由来の生き物も捨て、こぞって宇宙に飛び出した。彼らがどうなったかは謎。おそらく続編に続く。
・ミネルヴァに残された地球由来の生き物はミネルヴァにて進化を遂げた。五万年前ごろまでにホモ・サピエンス生まれる(サラッと書いたがこれが本作最大の驚くところ)。これがルナリアン。地球でもそのころまでにネアンデルタール人が生まれている。
・五万年前のミネルヴァはルナリアンの天下だが元々二酸化炭素問題などで環境もやばく、民族間は戦争状態。技術力は高い。他の惑星を狙って破壊できる兵器がある。チャーリーとコリエル?の所属する部隊はミネルヴァの衛星である「月」にいて、そこからミネルヴァを破壊する。
・ミネルヴァは木っ端微塵で宇宙の塵(小惑星帯)となり、「月」もそれを浴びる。さらに母体を失った「月」は太陽の引力に引かれてぐいーんと大移動、途中で、当時は衛星を持たない孤独な惑星であった地球の引力にひっかかる。色々あって地球の衛星、我々の知っている「月」となる。ここはロマンチックに語られる(本作第二?の驚きどころ)。
・この「ぐいーんと大移動」にかかる時間がどんなもんなのかが不明なのだが、チャーリー(とコリエル?)たちは移動後に青い地球を見て、最後の力を振り絞って地球に逃れることにする。
・チャーリーは行けなかったから月で死体となって見つかるわけだが、命からがらたどり着いた者もいる。これが我々人類の祖先。かつて持っていた技術も文明も失ったが持ち前の粘り強さで原始人として生き抜いた。ネアンデルタール人は空からやってきたホモ・サピエンス=ルナリアンに滅ぼされた(というか生存競争に負けた)のだった。あれまあ!私たちの母なる星は地球ではなかったのか!という驚き。しかし、我々は祖先からこの星を受け継いだのだともとらえられる。る?原題は“Inherit the Stars”と複数形。地球だけを指しているのではないようだ。
・ここんとこ、主人公ハントさんを差し置いていちばん美味しいところを持っていくダンチェッカーも見どころ。-
111108さん、こんばんは。
物語冒頭で理解が追いつかなくてのめり込めずそのまま放置しちゃうパターン、ありますよね。「気分」と私書いてま...111108さん、こんばんは。
物語冒頭で理解が追いつかなくてのめり込めずそのまま放置しちゃうパターン、ありますよね。「気分」と私書いてますが、「理解できなくて気分が乗らない」も含みます!
なんとか頑張って曲がりなりにも読み進んでいくと、あるとき急に興味を引くシーンに差し掛かって、そこから楽しめるようになることがあるじゃないですか。オーディオブックだと、そこまで行くのを自分が頑張らなくても強制的に進んでくれるのが楽です。
音声だけでなく文字の本も持っていたら、面白くなってきたと感じた後に初めの方に戻り、飛ばしたいところは飛ばし、難しいところはゆっくり考えながら、と自分のペースで読み直したいなあと思うので、理解しづらい作品は本と音声との併用がベスト?かもしれません。2024/01/28 -
なるほど、オーディオブックだと興味引くシーンまで自分で頑張らなくても強制的に進んでくれるというのはすごくいいですね!そして振り返りたい時は紙...なるほど、オーディオブックだと興味引くシーンまで自分で頑張らなくても強制的に進んでくれるというのはすごくいいですね!そして振り返りたい時は紙の本と。ダブル使いいいかも♪
‥とりあえず積読白状すると何故か読めることが多いので、本棚から探してきます!2024/01/28 -
「積読白状すると読める」ジンクスいいですね♪なんかわかります。
感想楽しみにしております♪「積読白状すると読める」ジンクスいいですね♪なんかわかります。
感想楽しみにしております♪2024/01/29
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めちゃくちゃ面白い。
これが1970年代出版?SF小説の金字塔と言われるのも納得。名作はやはり名作なのだな…と思う。
ざっくりストーリーは以下。
月で宇宙服を着た遺体が見つかった。該当の遺体を調べると、驚くべきことに5万年前に亡くなったということがわかる。
これは宇宙人なのか?だがしかし、その遺体はどう調査しても我々地球の人間と言わざるを得ないほど酷似している。当然、地球には5万年前に月に行けるほどの技術力はなかったはずであり、彼の出自を含めて議論が紛糾。物理学者である主人公ヴィクター・ハントは本件の調査に参加することになる。
海外翻訳小説の独特な文体はあるが読みやすい方。お前は誰だ?という謎解きのような楽しさとそこに絡む人間模様、そして終盤の「あまりに前提事項であるがゆえに見逃した」仮説への終着の仕方、そこに加えて1番最後にダンチェッカーから投げられた問い。いずれも秀逸。なお、専門用語についてはそうなるんだな、で理解を諦めて流し読み程度にした。
星5つにするか迷った。続編もあるようで、ずっと翻訳されてなかった5巻(最終巻)が2024夏に刊行予定らしい。シリーズ読もう。 -
ずっと積んでた宇宙SFをやっと読んだ。
専門的描写が多くてちょっと大変だったけど読み応えがあったし、こんな結末は想像もしなかった。
近未来の世界、しかも舞台は宇宙。
月旅行が海外旅行と同じくらい身近な時代。
死体の謎を解こうとする科学者たちの様々な仮説や議論のシーンは、日常生活ではほとんど意識しない分野なので頭をフル回転させながら読みました。
実際、各分野のスペシャリストが集まって、こんなふうに謎を解いていくんでしょうか…。
なんかすごい…!
前半はなかなか進展せず読み進めるのがちょっと大変でしたが、中盤からは勢いが増していく感じ。
予想外の展開で最後の一行までおもしろかった。
1977年の作品。この世界観が47年前に書かれたと思うと改めてすごいなぁと思う。
何十年も前にフィクションだった世界が、時を経て現実味を帯びてきていると思うと気分が高揚します。 -
何でもっと早く読んでなかったんだろ?
面白かった。
マクロスはこれも発想の一つになっていたのだろうなあ。
展開は、この作品以降のものを知っているからか、少し読めてしまうのが残念。
それと、アメリカのドラマや映画のようにエピローグが、人気が出たなら続編、となっているのには民族性を感じてしまう。 -
海外のSF小説を読んだのはもしかして初めてかもです。この作品の存在さえ知りませんでした。
外国人の名前は覚えにくくて最初登場人物を把握するのに時間かかりました。
SFって面白いな、と思いました。想像力が刺激されるというか夢が膨らむというか。
正直、ジャンル的になかなか食指が動かないのですが空想を旅したい気分になった時にまたSF小説も読もうと思います。
これ、漫画化はしているけど映画化はしてないのですね。観てみたかった。 -
長くて私に取って難解でそれでも何とか読了出来た事で良しとしよう。
空想する事には忍耐力も情報量も必要である、と。 -
ハードSFというジャンルは初めてでしたが、とってもおもしろかったです。物理や科学の知識がなくても十分楽しめました。ミステリーっぽくもあり、最後まで目が離せません。1977年作とは驚きです。
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読書中のワクワク感、読了後の開放感をここまで味わえる小説は稀です。
月面で発見された死体。調査の結果、死体は死後5万年を経過していることが判明。地道な調査と推理で進む謎解き。それにつれて現れる大きな矛盾。
荒唐無稽なストーリーに反して、登場するメカニズムや理論の描写はリアル。娯楽度の高いミステリーSFで一気に読めました。
(追記)
本作の翻訳家、池央耿(いけ・ひろあき)さんが10月27日、逝去されました。心からご冥福をお祈り致します。
ワクワクさせてくれる。
後半少しダレた印象でした。
黒後家蜘蛛の会!
懐かしいー。
結局いつも執事か...
ワクワクさせてくれる。
後半少しダレた印象でした。
黒後家蜘蛛の会!
懐かしいー。
結局いつも執事かなんかがもってくやつ(笑)
『黒後家蜘蛛の会』
『黒後家蜘蛛の会』