遺伝子の使命 (創元SF文庫 ヒ 1-11)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488698119

作品紹介・あらすじ

惑星アトスでは男性だけが人工子宮で生殖を続けてきたが、それを支える卵子培養基が疲弊していた。急遽新しい培養基が輸入されるが、途中で偽物にすりかえられていた。この一大事に一人の青年医師が宇宙に派遣される。銀河の要衡たる巨大宇宙ステーションに到着した彼は、初めて女性に出会った-彼女は美貌の傭兵中佐エリ・クイン。すべての背後には惑星間抗争に関わる秘密が。

感想・レビュー・書評

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  • 2022/09/07二回目読了。一回目読んだ記憶が全くない。ここの記録を見るまで、読み忘れてたと思っていた。

  • SF。
    訳者あとがきによると、シリーズ3作目らしいが、外伝的な物語ということで、シリーズを読んだことのない自分でも問題なく楽しめた。
    大枠は、青年医師の冒険の物語。
    主人公イーサンの住んでいた惑星の設定が特徴的で、主人公の視点で読むと、新鮮な感覚を味わえる。
    特別難しい内容もなく、スピード感があって読みやすかった。良作。

  • 男性しかいない惑星アトスでの妊娠出産は人工子宮を使用。卵子培養基が劣化により使えなくなり、新しい卵子培養基を発注したら到着したのは牛の卵巣だった!イーサンは調査のため初めて惑星の外の世界に出かけ、女性に遭遇する。ヴォルコシガン・サーガの世界の、マイルズは全く出てこない物語。
    生殖に女性が介在せず、男性しかいない惑星で生まれ育つとこうなる的な人物は、女性を苦手とする若者が過剰反応する様子とよく似ていて、上手く描いていると思います。アトスへの移民の勧誘にドン引き以上の反応を示す人たちも。男同士のあれこれのリアルな描写はありません。アトスについては、三銃士のアトスと、ギリシャ正教会の女性禁制の聖地アトス山をイメージしているとのこと。三銃士のアトスは私はわかりませんが、確かにアトスの理念は宗教的。
    最後、どさくさにまぎれてジャナインの遺伝子の入った卵巣を持ち込んでるけど、アトスだと男の子しか生まれないじゃん。シーは女の子が見たくないのかね。
    倫理的な問題はともかく、男女産み分けが科学的に可能になるのは現実にそんなに遠い未来ではないだろうし、人工子宮はどんなに先の未来でもニーズはある。マイルズの世界は人間の女性から生まれてくる出産と人工子宮にお任せ出産の両方がある。現代では無痛分娩が普及しつつあるという状況と似ている。いつかは人工子宮が登場するんだろうか。日本の少子高齢化は人工子宮があれば一挙解決?それまでに日本はどうなっちゃうんだろうね。

  • おなじみマイルズシリーズ。今回はマイルズの片腕、エリ・クインが活躍する外伝的なストーリー。
    男性のみが生きる惑星アトス。生命は、人工子宮で育まれて生まれてくる。つまり、惑星の人間みんなが人工授精で生まれてくるということ。
    そしてその生命を支える卵子培養基が疲弊して、卵子を製造しなくなってきていた。
    そこで、新しく培養基を購入することになったのだが、それがゴミ同然のものとすりかえられていた。急遽、青年医師のイーサンがこの事件解決と培養基の購入のために宇宙ステーションへ派遣される。
    そこでイーサンはエリと出会い、わけも分からず惑星間の抗争に巻き込まれていく。

    男性しかいない惑星で生まれ育ったイーサンは、もちろん「女」を見るのはこれが初めて。
    しかも最初に接するのがエリ。女に対して偏見を持たないか心配です。

    タイトルにも使われている「遺伝子」の意味は、最後の最後でわかります。

    相変わらずのテンポのよさ。かる〜く読める、しっかりとした内容の小説です。
    シリーズものなので、シリーズを読み進めてきた人にはくすり、と笑えるシーンもあり、オススメです。
    初めて読む方にも、簡単な世界背景の説明などありますから大丈夫。ちょっとドタバタコメディ風な外伝。

  • 友人に面白いよ、と勧められた作家さんです。実は薦められた本は違うタイトルだったのですがその本は他の人に借りられていた為、こちらを選択。シリーズ物の3作目ぐらいだったとは…。後書きを読むまで気づきませんでした。

    王道SF!と言う感じでとても面白かったです。個人的にはアトスの惑星はどういう戒律でそんなになってるのか非常に気になるところですがまあアリかな、と。純情可憐なアトスの青年がこの世界で一番恐ろしい怪物(笑)のウロウロする銀河に出てきてはたしてどうなる?どうする?と言う辺り、笑わせて頂きました。(青年は笑いごとでは無かった事でしょうが)
    後は強力な最終兵器的な能力を持った彼に目を輝かせて赤ん坊や病人の世話を薦めるなんて。可愛すぎるだろう。表紙の美女とそのうちラブロマンスが発生するのかと何となく思ってたら全然でしたね。

    男性の描くホモセクシャルってなんか友情の続きみたいな感じでさっぱりしてていいな、と思いました。まあそれが話の主題じゃないってこともあるかもしれませんが。
    不満があるとしたらタイトル。まあアトス星のイーサンじゃあ確かに何もわからないけどこの本のタイトルもどうかなあ、と。訳って難しいですね。

  • 男性しかいない惑星から来た医師イーサンの、エリ・クインらへの戸惑いが面白いw なんか、妙にリアリティがあります。
    次から次へと様々な登場人物と策謀が入り乱れ、イーサンと一緒になっていろいろ考えてしまいました。けっこうハラハラした。

    これ、他のシリーズの番外編なんだって。そのことを知っていたらこんなにワクワクしなかったかもね。そっちの主人公が魅力的らしいので、読んでみたいかも。

  • マイルズの留守に乗じて傭兵艦隊に潜入した、彼そっくりの偽者――クローンのマーク。特命任務と偽って快速艇とコマンド部隊を手に入れ、ジャクソン統一惑星へ侵攻するが、マイルズならぬ身、攻略にしくじり進退きわまってしまう。急遽あとを追ったマイルズだったが、マークたちの救出作戦敢行のさなか、敵弾の直撃を受け……マイルズが死んだ!?
    今一番追いかけている作家。ビジョルド。先天性の奇形のため病弱なマイルズが、口先三寸で宇宙を渡っていく話。…ですが、これはマイルズではなくて、副官のエリ・クインの物語。


  • マイルズシリーズだけど、番外と云ったところ。アトスって云う男ばっかりの惑星で、生殖のための卵子バンクが疲弊し、正常な子どもが生まれにくくなったために新しい卵子バンクを取り寄せたらそれがとんでもない不良品だったことから、アトスの青年医師が惑星外へ。クラインステーションで出会ったのは生まれて初めて見る(接する)女性、エリ・クインだった。当初のシリーズ概説ではクインが主人公のように描かれてるけど、実際には男性ばっかり惑星アトスの青年医師イーサンが主人公。

  • 惑星アトスは男性だけしかいない星で、子供は全て人工子宮から産まれていた。
     しかし、その卵子培養基はすでに疲弊し、子供が産まれなくなりつつあった。
     そのため、あらたな卵子をジャクソン統一星系から取り寄せたのだが、
     届いたものはどこかですり替えられた廃物だった!
     そこで、青年医師イーサンは新たな培養基のために、
     クライン・ステーションに送り出される。
     だが、そこでセタガンダの機密に巻き込まれ、危うく殺されそうに彼を救ったのは、
     同じく諜報活動で潜入していたエリ・クインだった!
     どうやら、テレンス・シーと呼ばれる何かを追っているらしく、
     アトスに送られてきた廃物もかかわっているようで……


     つまらなくはなかったんだけど、特に残るものもなし。
     やっぱ、マイルズが出てこないとなぁ。前回の『ミラー・ダンス』がかなり面白かっただけに比べちゃう。
     
     エリ・クィンが主人公なのは嬉しかったんだけど、実はメインキャラではなく、イーサンが主人公。
     原題が『ETHAN OF ATHOS』だもんね。
     初めて惑星外に出て、初めて女と会話するイーサンの姿が、
     都会に出たら悪い女に引っかかるぞ、て感じなのが見所(笑)
     やはり、エリはマイルズと一緒じゃないと、あまり彼女らしさが出てこないかな。

     ラストでイーサンがエリに申し出るくだりが、
     けっこう海外の女性SF作家を感じさせて、個人的には○。

     表紙がイマイチ。
     クィンはこんなんじゃないよ〜 

     まぁ、本当に軽めの外伝。
     アトスには住みたくねぇなぁ。

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