ひとめあなたに… (創元SF文庫) (創元SF文庫 あ 1-2)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488728021

感想・レビュー・書評

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  • ビブリオバトル部推薦本。SFファンと言いながら著者の本はエッセイ以外読んでいなかった。40年前の小説だが十分面白い。
    人類絶滅が確実視される巨大隕石の衝突が明らかになった。このSFはあと7日間を庶民はどう過ごすのかが主題となっており、その中でも主人公の恋愛ドラマが最大の見せ場。この状況下で世の中のインフラが完全に崩壊する中、彼女は練馬から鎌倉まで歩いて彼氏に会いに行くこと決意。その道中で人類の終末を様々なとらえ方で過ごす人々と一時を過ごすこととなる。
    この本を読めば全員が自分だったらどうするかを必ず考えることになるだろう。私は一応SFファンの端くれであるから、見晴らしの良い山の上か海岸に座り、家族全員でとっておきのウィスキーとチョコレートでもやりながらその瞬間を眺めていたいと思ったが、実際にそれほど落ち着いていられるものかは未知数だ。

  • いわゆる“セカイ系”と呼ばれるもの。

    「来週、地球が滅びるとしたら」という、あまりにも特殊な状況。その状況にもし自分がいるのならば、どんな行動をとるのだろうか。

    似たような破滅SFで伊坂幸太郎の『終末のフール』を連想したが、この『ひとめあなたに…』は来週という近い将来の話ゆえに切迫した内容だ。

    練馬から鎌倉までの旅で出会う女性たちがみんな個性的。最初に出会う由利子の「チャイニーズスープ」が強烈で、この小説は猟奇的な話が続くのかと思ってしまった。興味深かったのは智子の「夢を見たのはどちらでしょう」で、現実の捉え方がとても面白かった。

    この結末からすれば、これは恋愛小説なのだろう。

  • リーダビリティはさすがだが、SFとして面白いかといえば少し違うような。

  • もっと軽い話かと思いきや…良い意味で裏切られた。チャイニーズ スープは衝撃的。40年前の作品、20歳の女性目線による独特な文体や内面描写にも読みづらさは感じなかった。

  • 内容
    女子大生の圭子は最愛の恋人から突然の別れを告げられる。自分は癌で余命いくばくもないのだと。茫然自失する圭子の耳にさらにこんな報道が―“地球に隕石が激突する。人類に逃げ延びる道はない”。彼女は決意した。もう一度だけ彼に会いに行こう。練馬から鎌倉をめざして徒歩で旅に出た彼女が遭遇する4つの物語。来週地球が滅びるとしたら、あなたはどうやって過ごしますか。

  • 恋人から別れを告げられた圭子。彼は骨肉腫で彫刻を諦めねばならなくなり自棄になっている。折しも報じられたのは隕石の衝突によって地球が滅亡するまで残り一週間という事実。交通機関が麻痺した中,圭子は練馬から恋人が住む鎌倉まで自分の足で歩き始めた。その途上で彼女が出会う4人の女性それぞれが,限界状況で自分に向き直す物語も絡んでいく。美しい。

  • 文体がはまる、小気味よい、時代背景諸々踏まえ新井素子はすばらしい、でも後半の展開はないと思う、あと少女漫画過ぎて個人的にはあと一歩

  • No.898
    1. 目的
     ビブリオバトルで紹介されていた1冊。
    2. 得たこと
     「セカイ系」というSFジャンル。ディストピアを背景に、究極のシチュエーションで入り組む人間関係の描写に引き込まれました。
    3. アイデア
     新井素子さんの他の本を読んでみよう。

  • ラノベのはしりとも言われる著者、さらにその中でも「セカイ系」と言われる本作。文体的にはラノベというよりはケータイ小説……いや、これは新井素子文体か。癖がある、でもきっちり感情も情景も伝わってくる。それで表現されるのは辛辣な世界であり、素直な人の感情であり。陳腐な感想だが、心に深く染み入ってきた。読了後、あと一週間で避けられない人類滅亡があるならどうするかと思考を巡らせると、自分の大切な物・事・人が分かってくるかもしれない。余談だが、江古田(えこだ)がフィーチャーされているのは江古田好きのワシには嬉しい。

  • 女子大生の圭子は最愛の恋人から突然の別れを告げられた。自分は癌で余命いくばくもないのだと。茫然自失する圭子の耳にさらにこんな報道が
    “地球に隕石が激突する。人類に逃げ延びる道はない”練馬から鎌倉をめざして徒歩で旅に出た彼女が遭遇する4つの物語。

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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