皆勤の徒 (創元SF文庫) (創元SF文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.89
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488757014

作品紹介・あらすじ

第2回創元SF短編賞受賞作に始まる幻惑世界全4編。卓越した造語感覚と、圧倒的なイメージ喚起力を駆使して描かれる異形の未来。現代SFの到達点にして世界水準の傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 全然読めなかった。序盤で脱落。文章もその繋がりも意味が分からないし、語彙も意味が汲み取れない。自分にとってこれを読むことに時間は使えない。

  • 果てしなき、あまりに果てしなき、切なさの旅路。

    第34回日本SF大賞受賞の本作、いろんなところで数々のレビューがなされていますので、今さら鴨ごときが紹介するまでもないでしょう。
    円城塔氏の文庫版帯の紹介文「人類にはまだ早い系」がものすごくしっくりくる、認識のパラダイム・シフトを前提として構築された圧倒的な世界観。「冥刺(めいし)」だの「遮断胞人(しゃだんほうじん)」だのといった言葉遣いがただのジョークじゃないの?という論評も少なからずありますが、そうしたユーモラスな言葉遣いが表現する世界の骨組みを朧げながらも読み取ると、全身に鳥肌が立つ空前絶後の言語SFでもあります。

    この余りの異形ぶりに訳が分からないまま読み進めて、読み進めてもやっぱり訳が分からないんですがヽ( ´ー`)ノ、歯を食いしばって読み進めるうちに何となく物語の背景が、どうやらこの世界に登場する異形の民は地球人類の成れの果てらしいということが薄らとわかってきます。
    この時点で、この作品の骨格の大半はまだ理解できていないのですが、それでも鴨的に強烈に感じ取れたのは、物語全体を通低音のように流れる、切々とした哀感。

    この作品世界において、現代の我々が認識できる普通の「人類」は最早登場しないのですが、それでも肌感覚で理解できる「滅びゆくもの」の切なさ。
    地球に残った人類は緩やかに死滅して行き、宇宙への潘種を目指して自らをデジタル化した人類もやがて否応なく異形の環境へと適応せざるを得なくなる・・・そして未来史の最後(この作品では最初に収録されている作品で!)において、情報から再構築された最後の人類は、新たな生命の種が地球に降り立つ様を目撃することになる。

    読み終えて本を閉じた時に感じる壮絶な虚無感、そこに至るまでの登場人物たち(その大半は人間の姿をしていないわけですがヽ( ´ー`)ノ)の愛おしさ。
    ぱっと見の印象はものすごく変態チックでものすごく読む人を選ぶ作品ではありますが、鴨はそこに優れた日本的美意識を、万物への温かい(そして厳しい)眼差しを感じます。現代日本SFが世界に誇れる、実に日本的な傑作だと思います。

    ・・・と、偉そうにレビュー書いてますけど、これも大森望氏の懇切丁寧な巻末解説があってこそ。途中で投げ出しそうになった方、大森氏の解説を読んでから再挑戦しても良いと思いますよ!

  • 面白い。同音異義語(?)がワラワラ出てきて言葉遊びが楽しい。
    描写が妙に生物的でグロテスクなので、耐性が無い人には辛いかもしれない。

    表題作が一番訳がわからない(といっても世界観がとてつもなくユニークで引き込まれる)話で、徐々にこの世界の仕組みが分かっていく構造になっている。解説を読まないと完全な理解はできないだろうが。

    解説には同じような世界観として『地球の長い午後』や『新世界より』など私にはイマイチな印象だった書籍が出てくるが、それらと共通するのは「空想の生態系が出てくる」という点だけだと思う。方向性も描写の仕方も異なる。
    …と思ったら、解説を読み進めていくとちゃんとそう書いてあった(列挙された作品とは格が違うことも)。

    本書の内容は海外に出てもウケると思うが、言葉遊びの面白さは他国語に翻訳するときにとても悩まされそう。
    あまりカタカナ語を使わず、本来なら外来語で呼称するものを敢えて独自の漢語(= 表意文字)で記載することでイメージと共に異世界感が強烈に表現されている。SFで軌道エレベーターや脳インプラント、脳内のインターフェイスがワクワクする単語であるように、海外ではこの漢語的な語呂が魅力的に見えるかもしれないなと思う。あえて漢語を残してルビを振っても面白がられるかもしれないが、感じの意味が分からないと面白さが伝わらないか。書籍への印刷や2バイト文字は画面への表示も大変で、労多くして・・かな。

  • 凄かった。いまは存在しない、でもいまとは独立でもない、そんな概念、存在で一冊の本が埋め尽くされていた。馴染みのない概念が多すぎてとにかく読むのに骨が折れた。でも、ここに一つの世界があるように思えて、まずはようやく一回通読することができた。積んでいるものを進めたいけれど、早いうちに二回目を読まないといけない気がする。
    解説を読まなければ、一体この小説は何だったんだ、というところで終わっていた気がして、解説が解説の役割を果たしている、解説に求められるハードルのとにかく高い小説だった。解説は星5だと思う。
    221029

  • 文体に慣れる必要があるけれど、独特な世界観がやみつきに!表題作「皆勤の徒」が一番好きになった。学園モノテイストな話もあったが、読者に媚びず、これからも作者の想像力を爆発させていって欲しい。

  • ・2010年代ベストSF第1位
    ・第34回日本SF大賞受賞作
    という帯に惹かれて購入。
     
    読後の感想は「モツ風味のタコ」
    近年これほど読みづらい小説を知りません。「わざとか!」と、言いたくなるレベルです。とにかくオリジナルの造語のオンパレード。ストーリーも理解し難い。しかも内容はグロい。
    いやぁ、呑み込みづらかったな~。
    とある世界を4本の短編で表しています。
    最初に来る表題作の「皆勤の徒」が最も難解です。

  • 異形の未来世界を描く連作短編集。とにかく漢字の造語に圧倒される。見た目、発音、文字自身の持つ意味が混然となって新たに作り上げられた「言葉」として頭に入ってくらくらする。絵にしてしまえば(本には作者自身の手による挿絵があるが)ペクシンスキーやギーガー、弐瓶勉らの描く世界の延長線上にあるものなだろうと貧困なイマジネーションの限界の中で感じてしまうのだが、それをオリジナルの言語で語られることで非イマジナルというか超イマジナルというか、具体的ではあるけれど像を結ばない世界が頭の中で出来上がっていく。読んだというより体験したという方が近い感覚(昔に読んだ筒井の「虚航船団」を思い出した)
    頭の中で音読しないと文字が読めないので、造語の読みを覚えられず読むのに大変苦労したがその価値はあった。
    収録作の中では表題作である「皆勤の徒」が一番良い。解説などでは「蟹工船」と評されていたけど、自分の中では初期の「ダメおやじ」が頭に浮かんだ。この世界感でサラリーマンの悲哀を描くという発送が絶対に頭おかしい。文句のない大傑作。

  • 全然意味分かんなかったけど、めちゃくちゃおもしろかった。意味は全く分かんないけど。
    「洞の街」が一番好き。ももんじ可愛い。外回り怖い。

  • 初伝法。読み終わるのに一ヶ月くらいかかってしまった・・。造語ばかりで取っ付き難く、映像を上手く脳内変換が出来なかったため少しも面白くない。円城塔氏に“人類には早すぎた作品(のようなこと)”と言わしめただけはある。どうやら私にも早すぎたようだ…

  • 「皆勤の徒」★★★★
    「洞の街」★★★
    「泥海の浮き城」★★★
    「百々似隊商」★★★★

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