- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488795016
作品紹介・あらすじ
近未来。人類はテレパシーを用いて会話する異星文明ロジアと接触し、友好的な関係を築いていた。リディアはニューヨークでロジ人の文化担当官フィッツの専属通訳を務めていたが、通訳の副作用で酩酊に似た状態になっているあいだに、フィッツが何者かに殺害されてしまう。重要容疑者にされたリディアは、事件の真相を突きとめるべく、警察の目をかいくぐって捜査をはじめるが……全米図書館協会RUSA読書リストSF部門受賞作。
感想・レビュー・書評
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異星人とテレパシーで会話ができる思念通訳者、なんて、ぶっ飛んだ設定ながら、わりとふつうの?ミステリーでした。
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正直言って、途中までは物語に入り込めず、なかなか読むペースが上がらなかったのだが、ある人物と共闘関係になってから俄然面白くなり、そこからは一気読み。
同じ地球人相手でも心の底では何を考えてるかわからない一方で、例え異星人相手であっても、腹を割って話し、言葉を尽くせばわかりあえるかもしれない。いつの時代もコミュニケーションスキルは大事だと思った。 -
創元文庫さんのSNSを見て、面白そうだなと手に取りました。
地球外生命体が地球に対して交渉というか対話を始めていて、その大使がいるという設定が面白いし、その通訳が語るミステリというなかなか捻ったお話。個人的には意思の疎通がはかれたのであれば機械的なインターフェースの方が実用的なのかな、なんて昨今のAIとか通訳アプリとかを見ると思いますがそれはそれ。
ヒロインの違法ドライブテクニックの話もここで生きるのか!と思いますし、最初はぎくしゃくしていた方と最終的にバディ関係になるのも後半盛り上がるポイントですね。女優さんが結構なんか後から出番あるのかと思ってたらそれは無かったけど(笑)面白かったです。 -
『人類の知らない言葉』という題名と表紙の絵に衝撃をうけ読むことにしました。ロジ人というテレパシーでコミュニケーションをとる異星人がでてくるので当然SF小説といえるが、ロジ人が殺されて犯人探しをする推理小説要素も大きく、はでなカーチェイスがあったり題名の賢そうなイメージとはだいぶ違ったお得な小説といえます。
異星人とのファーストコンタクトその後の物語でロジ人と地球人との通訳が主人公です。未来が舞台ですがテクノロジーの進化にくらべて人類はあまり変わっていないように描かれています。ロジ人による経済的な侵略、ロジ人に対する排他的な言動、貧富の差による就学や就業の差、ネット上に拡散されるフェイクニュースや誹謗中傷など。そして地球人もロジ人も皆孤独なんです、音声かテレパシーか意志を伝える方法に関係なく他人に真意を伝えるのは難しいようです。主人公のリディアも例に漏れず孤独な人間です、彼女のことを表す印象的な表現がありました。「リディアは、思わず涙が出そうになる。たとえ死者であっても、この大都会で自分を心配してくれる人が、少なくともひとりいるのだ」これは死亡したロジ人からの〈わたしは君のことを心配している〉というテレパシーを受けてのリディアの心境を表しているのですが、物語が展開してからくりがわかるとずっこけてしまうことになります。
リディアは貧しい母子家庭に育っているので、エリートの多い通訳の中でも異端児として描かれています。母親がネットゲームに夢中になっていて、兄とは自動車の改造と走り屋をして遊んでいたことがそれを物語っています。母親のゲーム狂が事件解明に役立ち、兄と遊んで学んだドライブテクニックで警察から逃れるところは痛快です。
リディアと一緒に事件解明していくロジ大使館職員のマディスンは最初半目しているのですが、一緒に活動していくうちにお互いの隠し持っている正義感にひかれ友情が芽生えていくところは希望のある良い展開だと思いました。
原作がクセがない話なのもあるのかもしれないのですが、茂木健さんの翻訳がいいのですごく読みやすく良い作品です。 -
テレパシーで会話する異星人ロジアと
友好的な交流をしている地球が舞台という前提。
文化交流を担当するロジ人フィッツの
通訳として働くリディアが主人公。
イギリスからアメリカに来て働く彼女は
仕事に誇りを持っているけど
故郷の家族のことや自分の人生に悩んでもいる。
まずは彼女とフィッツの日常を
単純に未来SFとして楽しみました。
思念を通訳するので「酔う」設定もユニーク。
で、酔って寝込んでいる間に
なんとフィッツが殺されてしまう!
容疑者扱いされたリディアの「頭」に
死んだはずのフィッツの声が聞こえて
ふたりは真犯人を追いかけるのですが。
変則バディものとしておもしろかったし
複数の容疑者がいて
真相が二転三転するのもハラハラしたわ! -
SFよりも特殊設定ミステリという方が合っている。がミステリとしては物足りないというか無理があった。
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地球外生命体であるロジ人と外交をするまでになった地球、近未来が舞台。ロジ人は音声での会話ではなくテレパシーによって会話をする。なので基本的には人類と会話をするのはかなり難しいのだが、なかにはロジ人と会話ができる素質を持っている人々がいる。そんな人々を選別し通訳者として仕事ができるよう専門学校があり、はれて文化担当官のロジ人の通訳者として仕事をしていたリディア。しかし文化担当官のロジ人が何者かに殺され疑いをかけられたリディア。リディアは誰がなんの為に殺したのか突き止めようとする。
ああ、とても良いSFミステリだ。面白かった。ページをめくる手が止まらなかった。ロジ人と話せば話すほどある副作用が発生する。それは酔いにも似た酩酊感に襲われること。そして異星人と交流をするようになった近未来でも一定の人々のあいだではロジ人の陰謀論などが流れている。まったく異なる文化と習慣、考え方もあわさって織り上げられていく事件の全貌……だけで終わらないスリリングな展開。部屋にいる人の気持ちを表す絵だとか、頓挫したゲームの不思議なログだとか。楽しかった。