マイクロソフトで学んだこと、マイクロソフトだからできること。

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492502167

感想・レビュー・書評

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  • 著者の本を読むのは3冊め。HP時代の『「愚直」論』、ダイエー時代の『変人力』に続いてマイクロソフト社長としてのこの1冊。

    グローバル企業の中で、いかに自分のエリアやリージョンのプレゼンスを高めていくか、また大規模な組織の中のマネージメント、戦略転換(マイクロソフトの場合はコンシューマー向けからビジネス向けへの転換)にどう取り組むかということが実例を踏まえて説明されている。

    個々にはいろいろなことがあるが、極論するとコミュニケーションの大事さこそが著者の強調するところであると思う。

    自分の市場の特殊性や事情を本社に理解してもらうためのコミュニケーション、組織の中で隈なくトップのメッセージを伝えるコミュニケーション、戦略転換に伴う社内での意識統一のためのコミュニケーションまた顧客に対するコミュニケーション。

    このようなコミュニケーションを可能にするための仕掛けも、もしかすると基本的なもので、フェーストゥフェースが基本になっている。そのために時間やコストを使ってでもそれを継続的に行っている。だからこそそれを無駄にはできないという決意も文章から伝わってくる。グローバル企業の日本法人もしくは支社という立場、もしくは組織コミュニケーションの観点からも非常に有効な一冊。

  • 2019年3月11日読了。日本マイクロソフトの前社長・樋口氏による社長当時のMS体験記。当時のCEOはスティーブ・バルマー。顧客主義など社員の意識改革やパートナーとの協業、品川への本社移転・集約など今のMSにつながる重要な施策はこの人が始めたものだったのだな。数字・データをベースにしてUS本社から徹底レビューを受けながらも、お客様や現場との関係を重視し「言われたことをやっているだけでは意味がない・新しいことをやらないと」と心がけて実践するって、言うほど簡単なことではないことだよな…と思う。自分も今の業務程度でヒーヒー言っていてはいかんな。

  • 良い本だった。特に印象的なのは人事評価。徹底的な360度評価により上にはちゃんとした人しか上がれない。特にCEOになるような人は本当に人当たりも良くできている。外資系の人事評価はシビアという印象があるが、これによりちゃんとした人しか上に上がっていけない、良い会社づくりになるのだと理解。こうした評価制度が徹底すれば日本企業のようなパワハラ上司であふれた職場は減るのではないか、と感じた。外資系は一見冷徹なようだが逆に人にやさしいともいえるのでは、と認識を一変。

    ただ恐怖政治状態になっているとなかなか上へのシビアな評価があげられないといったことがあるだろう。そうしたことが起こっていないか樋口さんは目を光られていた、というのが印象的だった。

  • 心に残ったフレーズをメモ。

    (1)普通、ビジネスの世界では先行者利益があると言われるが、ITに限っては後発者利益がささやかれている。
    日本はレガシーシステムが強くて、オープン化の流れに遅れた。
    一方、レガシーシステムを持っていない中国やインドなどの新興国の方が、しがらみのない中で、ローコストで先進的システムをスムーズに導入できる。

    実際、米国ではメインフレームは2割もないのに、日本では4割も稼働している。

    (2)いずれ組織を背負うと期待されるリーダーは人間力を鍛える必要がある。
    ハイポテンシャルを持つ人は、能力と影響力を持っている。
    かつては、肩書を手に入れる権威パワーで影響力が広がっていた。
    しかし、時代が変化し、今は、専門分野で知識がある、誰よりも詳しい、問題解決能力を持っている、幅広い人脈を持っている、などの実力パワーが注目されている。
    権威パワーを行使し、強圧的なプレッシャーを与えるようなオペレーションは、だんだん古いモデルになっている。
    つまり、そうしたトップダウン的なパワーではない、ボトムアップ的に自然に生まれてきたパワーが問われている。

  • 売却済み

  • マイクロソフト社長の樋口さんが書かれた本。マイクロソフトの文化や組織風土が描かれている。
    ・日本MSは日本企業に対する営業を行う
    ・評価は外資系でシビア、データ重視
    ・日本は大きなマーケットでレガシーシステムも多い。パートナー企業からのお金が97%
    ・ホスティングからSaasやIaasへとシフト

  • マイクロソフト社長による、マイクロソフトの本なので、マイクロソフト贔屓感があるのは否めないが、IT業界におけるリーディングカンパニーの経営戦略が分かる一冊。

    「爆速経営」を掲げているヤフーもそうだが、それなりに収益を上げて、ある意味完成している大企業が、危機感をもって更なる向上を目指す姿勢は凄い。世界の社員が集められ熱狂するMGXの箇所は読んでて羨ましくなった。

    ・企業というのは、背骨が一本通っていないと決して大きくなれない
    ・何より重視しなければならないのは、長期的に正しいことをしていくこと
    ・利益を求めるのは、新たな技術への投資のため
    ・常に徹底していたのは、投資をするための利益という発想
    ・マイクロソフトのベクトルを「売れていた」時代から「売る」時代への変更
    ・品質問題に対処するCQO(チーフ・クオリティ・オフィサー)の新設
    ・リーダーに必要なのは、インパクト&インフルエンス

  • ミッドイヤーレビュー

  • 2010年のCESで、マイクロソフトのスティーブ・バルマー氏のKeynoteを聴いたとき、そのパワフルさに圧倒された。一企業のトップとしてだけでなく、業界全体を牽引する重要なポジションにいることを自負しておられることが垣間見られて、海外の経営者とはこのような人たちなのだと刺激を受けた。

    そのスティーブ・バルマー氏などから請われて日本のマイクロソフトの社長に就任された樋口さんは、やはりすごい人材だと思う。

    先日、Windows8が発売されたこともあり、テレビや新聞などメディアへの樋口社長の露出が多い。また、マイクロソフト自体の記事も多く、今後のWindows8の動きが社会的に注目されていることが伺える。その中で、マイクロソフトが以前の殿様主義の商売から変わってきた、といった記事も見かけた。時代や市場の影響もあるだろうが、樋口社長の取り組みも大きく影響しているのだろう。

    大きな成功を収めたにも関わらず、危機感を持ち続けているマイクロソフト。今後の動向にますます注目していきたい。

  • 今のマイクロソフトの方向性や、考えていることが分かる本。そんなにびっくりすることはなかったけど。やっぱりすごい会社だね。

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著者プロフィール

パナソニック コネクト株式会社 代表取締役 執行役員 社長・CEO。1957年兵庫県生まれ。80年大阪大学工学部卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)入社。91年ハーバード大学経営大学院(MBA)修了。92年ボストン コンサルティング グループ入社。94年アップルコンピュータ株式会社入社。97年コンパックコンピュータ株式会社入社。2002年日本ヒューレット・パッカード株式会社との合併に伴い、日本ヒューレット・パッカード執行役員に。03年同社社長就任。05年株式会社ダイエー社長、07年マイクロソフト株式会社に入社し、08年マイクロソフト代表執行役社長就任。11年2月日本マイクロソフトに社名変更、15年執行役員会長就任。17年4月パナソニック株式会社に入社し、専務役員そしてコネクティッドソリューションズ社社長就任。同年6月代表取締役専務執行役員就任。22年4月より現職。

「2022年 『パナソニック覚醒 愛着心と危機感が生む変革のマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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