遊牧民から見た世界史: 民族も国境もこえて

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532162290

作品紹介・あらすじ

中央ユーラシアは「東西文明の十字路」などではなく、高度な文明を誇る地だった。スキタイ、匈奴から、テュルク、ウイグル、モンゴル帝国まで、草原の民の視点から世界史を描き直す話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 1997年刊(文庫の増補版あり)。著者は京都大学文学部教授。視点を転換させる書は数多存在するが、本書もそれ。中東・中華帝国・印度・欧州史は、書籍も多く、各々独立して学習することが多い。ところが、これを逆、つまりユーラシア大陸内陸から周辺を見ればどう映るか。本書は、内陸部で生活する遊牧生業者が形成した国家の目線から叙述した書。①匈奴(遊牧生業連合体)と漢帝国との長期間の対決、②隋唐帝国との区分は誤謬で、五胡十六国時代から北魏を経て唐、契丹までは全体的に共通基盤の国家、③元は海洋国家を志向など、驚嘆の内容。
    ただし、こちらの世界史の基礎知識と、ユーラシア大陸の地理的知識が足りないため、多面的に展開する議論についていくのが難しいところもあった。特に、遊牧生業連合体の名前・民族、展開地域は多様で、かつ時代によっても変遷している。ついていくのが大変でした。要再読。

  • 単語に使われる文字から対象のイメージが先行してしまうのは分かるが、その部分について触れた文が挟まれる所が微妙に読みにくかったです。
    遊牧民から見ると、今まで持っていた歴史観が如何に欧米や中華視点に染められていたかが分かります。
    『書いたもの勝ち』というのもうなずけます。

  • 1404夜

  • 漢族vs遊牧民!
    東アジアの歴史は、この両者の対立・抗争の歴史だと言っても過言ではありません。
    中国に学ぶところの大きかった日本では、中国(漢族)中心の史観により、「中華の文明人と、それに敵対する草原の野蛮人」という図式が支配的でしたが、本書は逆に遊牧民の視点から見た歴史です。
    チンギス・ハーン(成吉思汗)のモンゴル帝国が中心ですが、古代の匈奴から鮮卑・柔然・突厥・沙陀などの遊牧民の歴史も綴っています。
    漢語史料に頼る「中国史」としてではなく、ペルシャ語・モンゴル語・パクパ文字史料からも照らした「ユーラシア史」という広い視点は、遊牧民についての従来の評価を改めさせられます。
    農耕民より、遊牧民の方が海上に興味を示し、船舶を重視するというのは興味深いです♪
    ただし、中華中心史観に一石を投じ、新しい視点を提供するのはいいですが、幾分漢族側を過小評価してるきらいもありますねw

     「漢族は、遊牧民にやられっぱなしか、遊牧民の温情で辛うじて生き延びていられるヘタレ民族」

    とでも言いたそうな印象を受けますが、逆に漢族の側が遊牧民を圧倒した事実はほとんどスルーしてますwww
    著者は京都大学教授で、クビライ・ハーン(忽必烈汗)研究の大家ですが、中国の三国時代の記述では漢族の英雄・曹操の出自などで明らかな事実誤認をしていたのが残念ですね。

    ニン、トン♪

  • クビライ帝国の税制:80%は塩引、20%は商税(売却代金の3%)。塩引は銀とリンクされた。

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著者プロフィール

京都大学大学院文学研究科教授
1952年 静岡県生まれ。
1979年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、
    京都大学人文科学研究所助手。
1992年 京都女子大学専任講師を経て同助教授。
1996年 京都大学文学部助教授・同教授を経て現職。
主な著訳書
『大モンゴルの世界――陸と海の巨大帝国』(角川書店、1992年)
『クビライの挑戦――モンゴル海上帝国への道』(朝日新聞社、1995年)
『モンゴル帝国の興亡』上・下(講談社、1996年)
『遊牧民から見た世界史――民族も国境もこえて』(日本経済新聞社、1997年、日経ビジネス人文庫、2003年)など。

「2004年 『モンゴル帝国と大元ウルス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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