戦略の本質: 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532165291

感想・レビュー・書評

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  • 失敗の本質はおもしろかったけど、こっちは二匹目のドジョウを狙いに行って失敗。

  • 『ポリティックス(政治)と軍事、中央と現場との間に横たわるより本質的な問題の存在を確認することができる。

    すなわち、何かをなすことによって生じた失敗と、何もしないことによって生じた失敗をどのように識別するかということである。

    何かをなして失敗した場合は検証されるが、何かをさせなかった場合の結果はどのように検証されるのであろうか。実行されなかったことの誤りを実証するのは難しい。

    成功したかもしれないことをやらせなかった場合の機会損失は、誰が責めを負うべきなのだろうか。』

    戦略の本質は、結局のところそれを実行する責任を背負ったリーダーの存在が欠かせないことがよく分かった。

    浮き彫りになるのは、日本の『失敗の本質』であって、つまりはリーダーの不在、不明確な責任の所在、不明瞭な意思決定にあるのだとよく分かる。

  •  副題にある、戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ、が本書の内容をよく示している。この戦史は、毛沢東の戦い、バトルオブブリテン、スターリングラード、朝鮮戦争、中東戦争、ベトナム戦争で、第二次大戦とそれ以降である。
     各戦いがどのように行われたかを知るだけでも読む価値はある。これが8割を占め、残りでこれらの勝利を導いた戦略を考察している。
     あとからは何とでも言えるけれど、勝者には敗者にはない一貫性のようなものがあるようだ。

  • 毛沢東、バトルオブブリテン、スターリングラードの戦い、朝鮮戦争、第4次中東戦争、ベトナム戦争を通して、勝負の分岐点がどのようなところにあり、戦略とは弁証法・目的の明確化、時間・空間・パワーの場、人・信頼・言葉、本質洞察、社会的に創造されるもの、義、賢慮であることを立証していく。

    本書で、ビジネス戦略に発展させ議論するのは、いささか難があるような気もしますが、歴史を通してリーダーシップを学ぶにはいいのかもしれません。

  • 数年ぶりに読み直しました。戦史を題材にして、フレームワークを抽出した作品は、結構増えたように感じますが、その中でも本書のレベルは高く分かりやすいと思います。ケースの抽出もさすがだなと思います。

    ただし、3つほど不満な点がありました。
    1)勝因をリーダーシップやリーダーとしてふれていた節が随所に見られた。リーダーシップやリーダーのどこが凄かったのかを抽出する必要が出てしまう。しかし、最後に「賢慮」というキーワードを使い、その要求を5つに整理してあったが、浮いているというか宙ぶらりんな感じがした。リーダーシップやリーダーを属人化しないで理論で説明できないものかなあと思いました。
    2)8章で勝者のみをフレームワーク化していたが、敗者の敗因もあわせて分析してみる必要があったのではないか。
    3)同じ8章でベトナム戦争ではなぜ米国側を表にまとめたのか?他のケースと同列に勝者を取り上げるのであれば、北ベトナムを採用すべきだったのではないかと思う。

    本書の内容をどう自分の組織の戦略に活かすか考えようと改めて感じたことと、まだまだ世界史では知らないことが多すぎるなと感じました。

  • 名著「失敗の本質」で展開された研究の続き。同じメンバーが前著と同じフォーマット(戦時の例を挙げてそこから見出される本質を抽出する)で、今度は「戦略」、おもに逆転にいたる要因にフォーカスを当てる。

    今回の事例対象は世界にまで広がり、毛沢東の国共内戦、チャーチルのバトルオブブリテン、マッカーサーの朝鮮戦争、アサドの第四次中東戦争、スターリンのスターリングラード攻防戦、ベトナム戦争、これら6つの逆転(量的・質的に劣っていた側が何らかの方法で優劣を覆す)要因が「戦略」に基づくものであるとして分析している。

    クラウゼヴィッツなどが展開した戦争論・戦略論などから始まり、上記6つの事例、そして本質の考察の構成。冒頭の部分が冗長に思えたが、本質考察にあたりとても重要であると感じた。そういう意味で、本書の構成はよく練られており、まさに研究結果といった体。

    戦記好きな人は6つの事例だけでも楽しめるし、企業戦略を担う知的労働のポジションの人は最後の考察から読み進めても良いかもしれない。「最終的には人である」といった感じで締めくくられているが、これはサブタイトルの「逆転のリーダーシップ」からも読み取ることができるが、戦略はあくまでソフトであり理論や計算などから簡単に創出できるものではないという、本書の強いメッセージなのであろう。

    「失敗の本質」が傑作なだけに本書は不評であるようだが、あくまで相対的な評価でしかなく、内容な重厚で読み応えがある。

    個人的な話になるが、「失敗の本質」「昭和16年夏の敗戦」「大本営参謀の情報戦記」と続いて本書を読んだが、戦争というフィールドの上にある(組織としての)知的創出・展開・運用を様々な観点から見れたような気がして、現在平成の時代に企業で働く身として考えさせられることが多かった。

  • 乱読の一冊として、図書館で何も考えずに手にとった一冊。
    毛沢東の包囲討伐、バトル・オブ・ブリテン、スターリングラードの戦い、朝鮮戦争、第四次中東戦争、ベトナム戦争を通じ、戦略とは何かを解説してくれる。
    私も含めて、軍事マニアではない人にとっては、怒涛のごとく書かれる兵器の名前にややアレルギー反応はありそう。それを乗り越えることができれば、それぞれの戦争に関して、少なからず理解は深くなるものと思います。

  • 野中氏は「失敗の本質」を書いて約20年目にしてこの本を書き上げたとのことですが、前作が日本軍の失敗を通して経営について考えさせる好著だったのに比較し、今回は軍事評論家が多く、軍事・外交について考えさせる内容で、そういう意味ではあまり参考にならないようにも思いました。毛沢東がいかに国民党軍に勝ったか、チャーチルの指導下でドイツの空襲から英国を守ったバトル・オブ・ブリテン、スターリングラードの逆転、朝鮮戦争におけるマッカーサーの仁川上陸作戦、中東戦争でイスラエルの肝を冷やさせたサダトの限定戦争戦略、ベトナム戦争でなぜ超大国米国が敗れたのか、などのテーマです。今ひとつ、タイトルどおりの一貫性に欠ける本だったとの印象は否めません。その中では、サダト大統領がなぜ戦争を起こした後に、イスラエルと和平したのかという不思議がやっと理解できたように思います。

  • 戦略の本質とは?

    →有用な知識は実践から離れて存在せず、知行統一されてはじめて獲得される
    戦略の基本原則は、制約のある資源をいかに有効に集中的に活用し、優位性を確保するか
    戦略には、技術、戦術、作戦戦略、軍事戦略、大戦略の5つのレベルがあり、そのメカニズムとして、1.構造の重層性つまり各レベルの相互作用が隣接するレベルの相互作用から影響を受ける、2.逆説的因果連鎖の垂直的展開つまり主体間の相互作用は、各レベルの間で垂直的にも展開する
    戦略はテーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼのプロセスで生成発展しているため、弁証法とも言える

  • チャーチルの演説が印象に残った

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著者プロフィール

野中郁次郎
一九三五(昭和一〇)年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造株式会社勤務ののち、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D.取得。南山大学経営学部教授、防衛大学校社会科学教室教授、北陸先端科学技術大学院大学教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。著書に『組織と市場』、『失敗の本質』(共著)『知識創造の経営』『アメリカ海兵隊』『戦略論の名著』(編著)などがある。

「2023年 『知的機動力の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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