ユーラシアの東西: 中東・アフガニスタン・中国・ロシアそして日本

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532167714

作品紹介・あらすじ

イラク・アフガン戦争の歴史的意味、地政学でみる中国・ロシア、大陸視点からの後醍醐天皇論-。ユーラシアをひとつのかたまりとしてみれば、あらたな地平が浮かび上がる。壮大なる日本発世界史への試み。

感想・レビュー・書評

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  •  地理的なものがそこにすむ民族の性質をつくりあげるのに関わっているということは分かるような気がする。
     学校では西洋から見た歴史を習ってきたけれど、ユーラシアの真ん中あたりから世界史を見るとどうなるか。
     イランのあたり、トルコのあたり、モンゴルのあたり、モスクワのあたり、北京のあたり、それらが力を持つと周囲に押し出してきた。東西、南北。

     力を持つものが影響力を持つのは自然のことか。権力を集中させることによって発展させてきたものがあることは確か。
     できれば楽していい思いしたい→権力に群がる→権勢の交代→古いものの粛清。どこを切ってもおんなじ金太郎あめみたい。
     力づくで得たものはいつか奪われると学べれば歴史学というものはとても意味がある。
     水が高いところから低いところに行くように、良いものが穏やかに広がっていく時代にそろそろなっているのかな。

  • 2010年刊。
     
     モンゴル帝国史を専門にする著者が、ユーラシアを軸に展開する歴史エッセイ。
     ①モンゴルはユーラシア大陸における巨大陸上帝国➡現代の同様の帝国という意味での露中論(主に露)。
     ②モンゴル帝国研究は東洋史・西洋史という日本的世界史研究の区分を超克・融合する上、国史と世界史という近代的国境線で区分する歴史研究の射程範囲の狭さを雄弁に語る素材であって、明治移入期の宿唖を克服できぬ現代日本の史学研究に痛烈なカツを。
     ③モンゴル帝国と日本との同時代史と、日元交流・貿易に光を当て得る者として後醍醐天皇を提示。
     ④上山春平京都大学名誉教授との対談、
    そして
     ⑤国家という枠組みを超越した視座を持つ上で、世界各地に散らばる碑刻・拓本研究の重要性(そこで必要とされる多言語を操る力)
    が語られる。

     歴史研究における国家単位を超えた複眼的・重層的な視座と、時代毎の比較の意義など、ナショナリズムという狭い視野に止まりがちな歴史研究の狭小さをこれでもかと感じさせるエッセイである。
     著者は京都大学大学院文学研究科教授。

     なお、世界史における銀産出とその移出入の意義に注目する要あるか。

  • w

  • モンゴル史の碩学のいろいろな文章。圧倒される。

  • 対談と講演会はおもしろかったが、
    雑多に原稿集めすぎで。もう。
    遊牧民の話、もっと体系だてたものが読みたいので、別の本で。

  • 一時期チンギス・カーンに関して読み漁ったことがあった。
    その下地があるので杉山氏の言説はよく理解できた。

    世界史のあり方、これまでの東洋史、日本史の諸先生方、いろいろと言い分があるのであろう。
    大いに言って下さい。

  • 様々なところに書いた文章の寄せ集めなので、そういう限界はある。でも、著者の視点は面白いし、有益である。類時の主張や、著者の主張に対する批判の本も読んで見たいものだ。

  • 学生時に世界史を学んだとはいえユーラシアについては中国周辺及びヨーロッパ周辺に偏ったものだったように思う。また、日本人全体としても著者が述べるようにスキタイやモンゴルといったユーラシア大陸を内側から動かしてきた遊牧民とその社会に対する理解・認識は低いと思う(中央アジア辺りは特に)。そういえば、北京五輪中のロシアによるグルジア侵攻はすっかり記憶から消えてしまっていたし、その背景もよくは知らないことにも気付く。そもそもグルジアの位置は?(アゼルバイジャンは?アフガンは?) また、中央ユーラシア史を理解することは日本史にも影響があるらしい(当書では後醍醐天皇とその施策がモンゴルとの関連から記載)。ソ連崩壊により史料へのアクセスが大きく改善されたということなので今後の研究が期待される。今回、改めて世界地図をじっくり見直しました。

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著者プロフィール

京都大学大学院文学研究科教授
1952年 静岡県生まれ。
1979年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、
    京都大学人文科学研究所助手。
1992年 京都女子大学専任講師を経て同助教授。
1996年 京都大学文学部助教授・同教授を経て現職。
主な著訳書
『大モンゴルの世界――陸と海の巨大帝国』(角川書店、1992年)
『クビライの挑戦――モンゴル海上帝国への道』(朝日新聞社、1995年)
『モンゴル帝国の興亡』上・下(講談社、1996年)
『遊牧民から見た世界史――民族も国境もこえて』(日本経済新聞社、1997年、日経ビジネス人文庫、2003年)など。

「2004年 『モンゴル帝国と大元ウルス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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