国際秩序

著者 : ヘンリー・キッシンジャー 伏見威蕃

• 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2016年6月1日発売)

感想・レビュー・書評

[masaさんの感想 · 2016年8月28日]

自明だと思っていた主権国家という概念。普遍的な価値観だと思っていた国家の対等性、内政不干渉などは、17世紀のウェストファーレン体制によるものだという。
中国の成り立ち、宗教を基盤とするイスラムの国々などは、確かにこれになじまない。世界は自然に自由と民主主義に向かい、欧米が作り上げた体制に同期していくわけではないのだ。
偉大な知性キッシンジャーが歴史を語る本書は知的好奇心を大いに刺激する。
専門的な書物ゆえにやむを得ないが、読むのに少々難儀した。一読して意味の取れない文もあり、メディアやネットの書評やレビューでは、翻訳に難ありとのコメントも散見された。原書を読んでいないが、そうであれば残念だ。

著者プロフィール

元国家安全保障問題担当大統領補佐官、元国務長官、国際政治学者。キッシンジャー・アソシエイツ会長。
1923年生まれ。ドイツ出身。ナチスの迫害を逃れて米国に亡命。第二次世界大戦では米陸軍に所属し、ヨーロッパ戦線で戦った。復員後にハーバード大学に進学。68年にはニクソン政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任。フォード政権では国務長官を務める。ベトナム和平を実現したパリ協定の締結によって、73年ノーベル平和賞受賞。今日に至るまで米国の外交・安全保障政策に多大なる影響を及ぼしてきた人物。

「2023年 『リーダーシップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」