等伯 上

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
3.93
  • (89)
  • (170)
  • (85)
  • (9)
  • (4)
本棚登録 : 985
感想 : 148
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171131

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 等伯こと、信春(まだ上巻の時点ではこの名前)は武家の生まれでしたが、家督は兄が継ぎ末っ子の信春は子供の頃に養子に出されました。
    そして、その染物屋の娘の婿となり、絵仏師としての修業を積むこととなります。
    所が信春が33歳の時、兄の計略により養父母を自害に追い込まれ、妻子と共に故郷を追われる身となります。
    時代は信長が天下統一を目指した、正に戦国時代。
    その戦火に信春も知らず知らずの内に巻き込まれ、激動の時代に翻弄される事となります。

    等伯という数奇な運命をたどっただろう絵師の生き様、それと当時の時代背景を描いた話。
    彼の人生には興味惹かれました。
    ただ、文章は良くもなく悪くもなく・・・はっきり言って特徴がないと感じました。
    ドラマチックな時代背景と主人公の人生によって成り立っているという感じ。

    私が最も物足りないと感じたのは、等伯が絵を描いているシーンがほとんどないという事です。
    絵を依頼されたと思ったら、次の場面ではもうその絵が出来上がっていたりする。
    そしてたまにある絵を描くシーンからも絵師が絵に向かう鬼気迫るものだとか、魂の迸りだとか、そういったものが全く感じられない。

    この人がどんな風に、どんな心情で絵を描いたのか、当時生きてない人間は誰も分からない。
    言い換えればそこは作者が作者なりの等伯という人物像を思い描き、好きなように描く事だってできる。
    それが事実と違っていようが何だろうが、そこに何か訴えてくるものがあれば私はいい、と思う。
    今の所、この本は等伯という人に起きた出来事、当時の時勢みたいなのをつらつら書いているだけとなっていて、特に歴史に興味のない私には面白いと感じられませんでした。

  • 信春の妻子を置いて京都で絵に打ち込む日々。そして妻子と共に暮らすようになって、絵に打ち込む日々。どちらも良かった。下巻が早く読みたい。

  • 20130521
    利休にたずねよ、と同時代のこともあって興味深く読んだ。心情の掘り下げ方は利休の方が深いかも。でも、さすが芥川賞作家だけあって、等伯が作品に向かう気迫や葛藤なんかの表現の仕方はものすごい。

  • 史実が語られる部分は、生理的にとても苦手。
    アーチスト等伯の生きざまには興味があり、読み始めました。下巻が楽しみです。
    ・・・島田荘司さん「写楽」のミステリー感とは違った面白さを期待します。

  • 超読みたい!!

  • さて、とうとう、読み見ましたよ、上巻だけですが。安部龍太郎『等伯』日本経済新聞出版(直木賞)。評伝なので筋は横に置きますが、久しぶりに「感動で打ち震えた一冊」でした。返却期限ぎりぎりで通勤中に一気に読了。なさけない話だけど、泣きそうになった。もっぺんゆっくり読みたい。

    前半生を描ききる安部龍太郎『等伯』(上)で驚くのは、等伯の信仰心の素朴さが極めてユニバーサルだった。素朴かつ普遍的なことに驚いた。そしてそれを時に生き生きと、そして時に活劇の如く、そして時には情愛と静寂に満ちあふれた言語で表現する書き手の存在にも驚いた。武士が主人公でないしね。

    後半は、さらに進化・深化としての松林図の実相に迫ると聞く。これはもうただならぬ予感ですよ。(カントが批判するけど)スウェデンボリみたいな安易なスピリチュアルでないところが歴史なんだけど、そこからそういう漆枷を超脱する本物の何かつうのはあるんだなと思った。

    ちょと日蓮遺文をもう一度読み直してから、『等伯』の下に挑もうと思います。等伯の歩みそのものなんだけど、そこには、通俗的な排他主義的でない包摂がみられる。その包摂とは丸山眞男が批判した日本精神の問題としてのそれではなくして、自身が関わることによって露わになる何かなんだと思った。

    私自身に才能がないつうのはハナからわかってるンだけど、等伯の妻の静子と子息の久蔵との交誼には、泣いたよおいちゃんは。

  • 絵師、長谷川等伯の物語。信長に翻弄されながらも、絵の道を追い求める。

  • 一頁一頁読む度に自分の身体に響き沁み入る。電子書籍で出して欲しい。毎日聖書か仏典を読むように繰り返し読みたい。何だか自分で買うよりも図書館で借りて読んだものの方がかけがえのない読書体験につながっている気がする。直木賞に選ばれたというのも手に取るきっかけではあったが、出会ったんだな、と強く思う。2013.05.04

  • 歴史小説と聞くと、武将が主人公…とイメージしやすかったが、この本の主人公は武家に生まれた絵師。戦国時代を別の視点で読め、とても興味深く読める。

  • 2013/05/03-05/10
    緊急入院で読み始めることができず、枕元にあった本書。七転八倒している私の夢枕に出てきたのは、虎が前足をしっかり踏まえて100人乗りの大型バスを引っ張る姿。後日、「等伯の虎」であることが判明。安部龍太郎の作家魂と気迫が伝わってくる。

全148件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

安部龍太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×