- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532171131
感想・レビュー・書評
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等伯こと、信春(まだ上巻の時点ではこの名前)は武家の生まれでしたが、家督は兄が継ぎ末っ子の信春は子供の頃に養子に出されました。
そして、その染物屋の娘の婿となり、絵仏師としての修業を積むこととなります。
所が信春が33歳の時、兄の計略により養父母を自害に追い込まれ、妻子と共に故郷を追われる身となります。
時代は信長が天下統一を目指した、正に戦国時代。
その戦火に信春も知らず知らずの内に巻き込まれ、激動の時代に翻弄される事となります。
等伯という数奇な運命をたどっただろう絵師の生き様、それと当時の時代背景を描いた話。
彼の人生には興味惹かれました。
ただ、文章は良くもなく悪くもなく・・・はっきり言って特徴がないと感じました。
ドラマチックな時代背景と主人公の人生によって成り立っているという感じ。
私が最も物足りないと感じたのは、等伯が絵を描いているシーンがほとんどないという事です。
絵を依頼されたと思ったら、次の場面ではもうその絵が出来上がっていたりする。
そしてたまにある絵を描くシーンからも絵師が絵に向かう鬼気迫るものだとか、魂の迸りだとか、そういったものが全く感じられない。
この人がどんな風に、どんな心情で絵を描いたのか、当時生きてない人間は誰も分からない。
言い換えればそこは作者が作者なりの等伯という人物像を思い描き、好きなように描く事だってできる。
それが事実と違っていようが何だろうが、そこに何か訴えてくるものがあれば私はいい、と思う。
今の所、この本は等伯という人に起きた出来事、当時の時勢みたいなのをつらつら書いているだけとなっていて、特に歴史に興味のない私には面白いと感じられませんでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
信春の妻子を置いて京都で絵に打ち込む日々。そして妻子と共に暮らすようになって、絵に打ち込む日々。どちらも良かった。下巻が早く読みたい。
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20130521
利休にたずねよ、と同時代のこともあって興味深く読んだ。心情の掘り下げ方は利休の方が深いかも。でも、さすが芥川賞作家だけあって、等伯が作品に向かう気迫や葛藤なんかの表現の仕方はものすごい。 -
史実が語られる部分は、生理的にとても苦手。
アーチスト等伯の生きざまには興味があり、読み始めました。下巻が楽しみです。
・・・島田荘司さん「写楽」のミステリー感とは違った面白さを期待します。 -
超読みたい!!
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絵師、長谷川等伯の物語。信長に翻弄されながらも、絵の道を追い求める。
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一頁一頁読む度に自分の身体に響き沁み入る。電子書籍で出して欲しい。毎日聖書か仏典を読むように繰り返し読みたい。何だか自分で買うよりも図書館で借りて読んだものの方がかけがえのない読書体験につながっている気がする。直木賞に選ばれたというのも手に取るきっかけではあったが、出会ったんだな、と強く思う。2013.05.04
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歴史小説と聞くと、武将が主人公…とイメージしやすかったが、この本の主人公は武家に生まれた絵師。戦国時代を別の視点で読め、とても興味深く読める。
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2013/05/03-05/10
緊急入院で読み始めることができず、枕元にあった本書。七転八倒している私の夢枕に出てきたのは、虎が前足をしっかり踏まえて100人乗りの大型バスを引っ張る姿。後日、「等伯の虎」であることが判明。安部龍太郎の作家魂と気迫が伝わってくる。