遊牧民から見た世界史: 民族も国境もこえて
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2003年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (465ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532191610
感想・レビュー・書評
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ユーラシアの遊牧民を中心に世界史を見直をすと、従来の定住民(農耕民)中心の歴史とは全く違った世界が見えてくるという壮大な意図で書かれた新しい歴史である。スキタイ、匈奴、テュルク、ウイグル、モンゴル等西欧史、中国史に登場した諸民族と彼らが組織した帝国を新しい史料により見直していく著者の手際は鮮やかで、中国諸王朝の始祖が遊牧民と関連有る等の事実にも驚かされる。従来の史観への暴走気味のツッコミも楽しい。西欧による「海と火器の時代」が始まる前は、ユーラシアの「陸と騎射の時代」で有ったことを理解した。
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2009-00-00
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詳細にみていくと中国もロシアも遊牧民との関わりが深いのにも関わらず歴史にあまり出てこない感じが。文字で残していない、ということは、自分達の存在を主張できない、ということにつながっているんだろう。
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自分の受けてきた教育がいかに西洋中心のものだったかあらためて思い知らされた。
海が世界をつなげる前にユーラシア大陸というとてつもなく広い陸を遊牧民がつないでいた。
遊牧民国家は境界線を想定する固定された国家とは異なる。
境界線を固定する国家が生まれたことにより桁違いの破壊、侵略が行われるようになってしまった。
今はそのような時代を経て、人から奪って手に入れたように見えた豊かさは長く続かないものだと気づく時。 -
遊牧民ってどんだけ強かったの?モンゴルすげー。ってみんな1回は考えたはず。
「大航海時代」以前は陸戦が圧倒的で、遊牧民が騎馬能力に優れててめちゃ強いから、現在の経済中心の文明からの巻き戻しで西欧中心に歴史見てるのも、華夷思想で漢人が偉かった!って歴史語るのも誤っちょりますよ。と。だいいちアメリカ除く世界は、遊牧民国家とイスラーム商人らの手でだいぶ前からつながっておりました。
日本なんてなおさら農耕定住の単一民族国家(一部除く)。歴史上の遊牧民の国家名は次から次へと出てきて、それはなんで?て疑問だったが、それは民族じゃなくてあくまで国家というゆるい集合体だったんです。今も民族自決なんていうけど、区切り自体が恣意的なんだから、そんな簡単じゃないでしょう。さらに遊牧民は人の集合と、政権そのものまでもが地理的な移動繰り返すから理解しづらいでしょう、という内容。
確かに。そこが一番理解しがたい。
ロマンがある。
モンゴル帝国礼賛。
それを追い返した鎌倉幕府てすごい。かつ、日本の武士ってユニーク。 -
内陸アジア・遊牧民の歴史関連を読むと、いつも自分の凝り固まった歴史観が覆される。
・アジア史を中国中心史観でとらえてしまっていること。
・世界史をヨーロッパ中心でとらえてしまっていること。
・民族という枠組みはその時々の政治が作り出すものであって、「民族が先にあり、国家が作られる。」といういかにもありそうなストーリーは実際にはほとんどの場合ないということ。
などなどである。
そういった固定観念を捨てて今、世界の関係を見ると自分達がなぜかアメリカ視点で世界を見てしまっていることに気がつく。 -
特にチンギス・ハン以前の中国が面白い。
中国の昔の国が漢民族に作られたものばかりと思っているなら、ぜひ読んでみることをオススメします。
目からウロコ。 -
21世紀の中心は複雑系、生態系、遊牧系。
遊牧民は名前を変えて登場するが、それはすべて同じだったのではないかという大胆な仮説。また遊牧民が歴史に与えた影響について。 -
えてして民族や国家という枠にとらわれがちな僕の歴史認識をグラグラ揺らしてくれた良書。騎馬民族はやはり特定の人種だけで構成されていたりしたわけではないという。
騎馬民族はよく連合体を形成したが、それは形成しやすくもあり、瓦解しやすくもあったという記述は、【ノマド】がキーワードになってきている現代社会の共同体にも言えることだよなぁ。