なぜ、伊右衛門は売れたのか。

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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本棚登録 : 105
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532195045

作品紹介・あらすじ

失敗の連続から1000億円ブランドの誕生へ!若き開発者たちを決定的に変えた考え方と行動とは。老舗茶舗とのコラボ、本木雅弘・宮沢りえのCMでも大きな反響を呼んだ緑茶飲料「伊右衛門」誕生の舞台裏を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 次回のケーススタディーのテーマが飲料業界だったので、
    参考に読んでみた本。
    (ただし、あまりマーケティング的な要素は少ないです。。)

    本の内容としては、
    伊右衛門の開発されるまでの秘話が簡単にまとまっています。
    有名な話ですが、開発チームは伊右衛門が発売される前に
    一度失敗作を世に出してしまっています。
    そのような中で発売された伊右衛門は、
    開発チームにとっては、
    いわば最後の砦的な商品だったのだと思います。

    チームの伊右衛門に対するアツい思いや
    サントリーの挑戦する社風が伝わってくるよい本です。

  • あの「伊右衛門」の開発秘話です。
    改廃厳しい飲料業界の新製品の開発において、他社との差別化できるポイントを作ろうとしのぎを削っている中、
    そのポイントを緑茶については「本物志向」と考え、Reason Why?を京都福寿園の創始者の「伊右衛門」で
    明確に消費者に伝えたことが成功要因という要旨です。

    当時の業界の常識をやぶって「加熱しない製法」を採る、「竹筒」型のペットボトルデザインにこだわるなど、
    消費者に価値を認めてもらうための妥協をせずにやりぬいた姿が描かれています。

    興味深かったのは、伊右衛門がサントリ-社の緑茶事業で、じつはセカンドプランだったという点。
    NXというプロジェクトチームの裏ですすんだ、NZという伊右衛門のチーム。
    その背景の中、大胆な常識破りのアイデアを社内で通す難しさを思うと、
    脱帽モノです。

    あと、もう一つのキーとなるのが、福寿園の福井社長の判断。
    最初は判断を留保していたが、福寿園が連綿と続けてきた家業について、21世紀にむけて福寿園が成すべきことを考えた結果、受け入れたというのが印象的でした。
    老舗の企業も変革を考えているこの事実。
    創業50~100年ぐらいの企業が前例主義で停滞なんかしてられないですね。

    さっと読める、元気になれる本です。

  • 開発者の苦労話でした。

  • 徹底的にこだわれる製品の開発に携われた、伊右衛門の開発チームは幸せだと思う。

  • ペットボトル推進派でも反対派でもない。
    ありがたく飲ませていただくこともある。

    自分も商品開発といったら大袈裟だが、新しいメニューを考えて宣伝をする。
    大きな会社で役割分担があるので随分違うが、商品ひとつでたくさんの人の人生を左右する。
    それだけ命をかけて作られていることに感動を覚えた。
    茶のことも深め、パッケージにとことんこだわるその姿勢を見習いたい。

  • 『なぜ、伊右衛門は売れたのか。』読了。★4つ(5点満点)
    http://www.amazon.co.jp/dp/4532195047/

    激戦の緑茶市場における比較的最近のヒット商品「伊右衛門」。
    この開発物語が面白いとの話をグロービス講師から聞いて手を伸ばしてみました。
    伊右衛門開発のドキュメンタリー的物語です(「プロジェクトX」や「プロフェッショナル仕事の流儀」的な)

    もし「なぜ、伊右衛門は売れたのか」というマーケティングロジック的なことを期待して読むとほぼ得られるものはありません(笑)★1つ
    一方、もし自分が商品企画、サービス企画を生業としている(しようとしている)のなら、自分を重ねながら読むと面白いです。
    商品企画者の沖中さんは、会社に億円単位(何十億かも)の損失を与えた失敗作(熟茶)を出す。そして進退を賭けた次の企画、伊右衛門をどのように企画していったか。
    そこから、企画者の心構えや熱意見たいのを感じ取る本。

    一番印象に残ったのは、サントリー商品開発者に伝わる完璧主義、即答主義という思想。
    「商品開発担当者というのは、自分が開発する商品のすべてを知っていなきゃ、ダメなんだよ」
    (#ドリンクのオマケの説明書のハジの方の記号の意味を即答できずに役員からカミナリ)
    「商品開発担当者は、開発商品を本気で愛するたった一人の存在」

    サービス企画を10年ほどしてきて、あー、確かに最後はその辺だよね、という気がします。
    いろいろ、マーケティング理論とか必要は武器はあるけれど、その先(手前?)の話。
     自分の担当する商品のすべてを知り、本気で愛する
    これ重要。


    ---------------------------
    めも
    すべてを知って、愛さなければ商品開発をする資格などない
    自分が担当する商品のすべてに精通していなければならない
    商品開発担当者というのは、自分が開発する商品のすべてを知っていなきゃ、ダメなんだよ
    商品開発担当者の完璧主義
    完璧主義、即答主義

    商品開発担当者は、開発商品を本気で愛するたった一人の存在


    「ネガティブな意見をいっておけば、肯定した責任を回避できるから、自分に安心できるんでしょうね。
    ネガティブな意見を探して、どうしても見つからなかった時に、初めてポジティブな意見がでてくる。
    だからこそ、ビジネスの企画を合議で決めるとネガティブな意見に圧倒されてしまい、優れたセンスの企画がつまらなく修正されるか、ボツになってしまうんですよ」
    斎藤

  • メガヒット商品「伊右衛門」。

    そのコンセプトは「本物(志向)」。他のペットボトル商品とは一線を画す圧倒的なブランドイメージがあると思います。
    日本人の「心」に正面から向き合った答えが、福寿園とのコラボレーションであり、その名前に負けないレベルでの品質の追求なのでしょう。

  • サントリー「伊右衛門」の開発秘話。大成功からしたからこそ、すべてがいい話になっているわけだけど、消費財が開発されて市場に出るまでの生々しいやりとりは、作っているものは違えどメーカーの立場にいる人間には非常に参考になるし、身近な商材であるがゆえ興味深いです。
    いろいろ調査とかをやってはいるけど、(書籍だから多少の脚色もあるだろうが)最終的には開発者側の思いなどが優先して具現化したのが今の形、という塩梅で、読みようによってはでき過ぎた話なんだけど、うまくいく時ってこうなのかもしれないですな。個人的には、「伊右衛門」に関して味でさほどの驚きを持っていなかったので、そこまでこだわっていたのか、というところに驚いたんですが。
    マーケティングに関わる人は成功事例として読んでおく価値がある一冊ですね。

  • 要約】プーアール茶の失敗でもう後がなかったサントリー飲料開発チームの沖中、牧、水口は「100年間、ブランドを維持できる緑茶飲料を作る」という構想を抱く。独自の緑茶飲用者のプロフィールリサーチ、3C分析結果の統括を経て、「お茶の作り手の顔が思い浮かぶこと」が重要であると判断した沖中は、老舗茶舗「京都 福寿園」とのコラボレーションに踏み切る。「伊右衛門」という福寿園創業者の名を冠した商品名、竹筒をイメージしたパッケージ、京都に設立したサロン等、「日本人に愛されるお茶の本物感」にこだわりつづけた伊右衛門はビッグブランドへと成長していく。

    【考えたこと】沖中氏が行った日本茶市場の分析、日本茶の地域別構成比、急須で淹れたお茶の年齢別の飲用頻度、年齢別の急須で淹れたお茶と緑茶飲料の好意度比較といったデータ分析、ユニークな質問等、まずは生活者のインサイトを探らなければならない。生活者が本当に何を欲しているのかを徹底的に突き止める為にも、その調査方法もクリエイティブである必要がある。ここを最大限慎重になによりも丁寧にやることが、成功の秘訣だったといってもいいのではないだろうか。土台がしっかりしていたからこそ、その後の展開がピタッとハマっていったのではないかと思う。逆にここでその憶測を見誤ってしまうと、その後の施策がすべて見当違いということになってしまうかもしれない。それ程、ターゲットのインサイトをつくということは重要である。また、そのインサイトに基づいて、商品名やパッケージに至るまでの「心遣い」をも徹底した姿勢が伊右衛門をビッグブランドまで押し上げたのだと思う。
    生活者のインサイトに敏感になりたい。そしてそれは、伊右衛門がデザインチューニングを行っていったように日々素早く変化していくものであるのかもしれない。一方で、人の根本は元来変わらないのかもしれないが、ライフスタイルや価値観は変化していく。とにかく「今」を知り、さらに「今」が抱える問題は何であるのか、その原因を見極め、社会にソリューションを提供できるようになりたい。経済成長が社会に富をもたらすのかといった議題は常々繰り返されるが、やはりそれは格差を生むものであると思う。それは社会の仕組み、構造の問題なのかもしれないが、ちょっとした工夫次第で社会がとても良くなっていくような気がするし、日本はそういった段階にあると思う。震災や大雨が続き、自然の脅威を感じる現在の日本はより節電やエコといったことに敏感になる。たとえば節電やエコにおしゃれなイメージやある種のステータス感を伴うようにすると、もっと積極的な参加者が増えるかもしれない。とにかく生活者が今何を感じていて、社会の構造や空気はどのようになっているのかといったことに対して常にアンテナを張っていかなければならない。下記本文引用。
    「ブランドがブランドとして社会に存在し続けるということは、そのブランドが社会に対して何らかの役割を果たしている証左であると思います。それは人でもモノでもビジネスでも同じで、役割を果たしているからこそ、存在することが許されるのです。」「いつもいつも現状不満足。それがブランドビジネスの本質」

  • 自分が好きなお茶、伊右衛門がなぜ売れたのかをプロジェクトX風に描いている。

    「すべてを知って、愛さなければ商品開発をする資格などない」
    妥協しないこの姿勢を自分に叩き込んでやりたい。


    個人的にはサントリーのブランド戦略は非常に上手いと思う。
    博報堂と手がけた伊右衛門のCMもそうだし、プレミアムモルツ、DAKARA、などCMを中心にしたブランドマーケティングでそれぞれの商品自体が強い訴求力を持っている。

    サントリーに入社したい気持ちを起こさせる本でした。サントリー関連書籍はいくつかあるけど、それらの本自体がマーケティングなのか。上手いやり方です。。

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