フラット化する世界 下 増補改訂版: 経済の大転換と人間の未来

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532313784

感想・レビュー・書評

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  • 秩序立てて物事を理解していないと、それより進んだ物事を作ることはできない(ビル・ゲイツ)

    本書が示す「フラットな世界」の登場によって、技術の進歩が格段に今まで以上に速くなった現在、「学ぶ方法を学ぶ」の大切さを実感します。なぜなら、今日得た知識が明日には陳腐化し、使い物にならなくなるからです。一方で,ポジティブに考えるのであれば、今日より成長した自分を追い続ける人、努力する人にとっては素晴らしい世界かもしれません。つまり、頑張った者が報われる世界になっていると思います。

    「学ぶ方法を学ぶ」と一言に言っても、そう簡単にできるものではありません。小学三年生から十年以上受験勉強を続けた今であっても、確固たる勉強法は確立できていません。最近まで弁理士試験の勉強をしていて唯一大切であると実感できたのは「予習、授業、復習」です。初歩的なことと思いつつも、そういった初歩的なことが本当に大切であると気付けました。

    情報化社会の兵弊害として、「慢性注意散漫」が挙げられていました。これは、情報へのアクセスが容易になったことの反面として、多くの情報に触れていなければ不安になり、一つの物事に集中することが難しくなる現象です。

    その際たるものとしては「メール」ではないでしょうか。頻繁にメールの受信状況を確認し、その返信に時間と集中力を奪われる結果、取り組んでいた業務が停滞する羽目になります。「メールの確認は一時間に一回」と決めて取り組んでいたとしても、「急な用件が来ていないだろうか」と不安になり、ついつい受信状況を確認しています。

    今までは「本当に大切なことなら電話をかけてくるはず」と割り切って、メールの確認を頻繁に行わないようにしています。利用するはずの情報に逆に踊らされては本末転倒も甚だしいですね。

  • 《教員オススメ本》
    通常の配架場所:開架図書(3階)
    請求記号:361.5//F47//2
    【選書理由・おすすめコメント】
    経済格差を前提としたグローバル化ではなく、標準化が前提となってくる21世紀的なグローバル化を観察/展望した一冊です。2004年までの「世界同時経済成長」を背景に書かれていますが、ここで示されている方向感は把握しておきたいですね。(経済学科 清水昭男先生)

  • 世界でどんどん国や地域ごとの格差がなくなっていくフラット化現象を取り上げた本著の下巻は、フラットな世界でより激しくなる人材競争から始まります。
    理想の才能とは何か、どのように育てられるか、そして国・企業はどのように求める人材を確保していくか。グローバルな世界だからこそ、ローカルの特色が生きてくる、というのは昨今のゆるキャラブームやクールジャパンのアイデアにも繋がります。
    フラット化によるつながりが戦争を防ぐ術になる、という”デルの紛争回避理論”も興味深いです。テロにも言及していますが、おそらく貧困がテロの温床であるという考えを踏まえているのでしょう。
    最後にテロに対し痛烈な批判をしており、ここはアメリカ的だな、と感じています。

    総じて、ためになる内容が多いです。多分ニュースの理解を深まるだろうし、日本のジャーナリストが書いた本を数冊読むよりは、これを上下読んだ方がいいな、と思います。

  • 【配置場所】特集コーナー【請求記号】361.5||F||下
    【資料ID】10706098

  • 「私たちを結合させているテクノロジーは、明らかに私たちを離れさせている。従来は考えられなかったほどに、私たちひとりひとりが結び付くのを可能にしたテクノロジーが、従来以上に私たちを邪魔している。それぞれのコンテンツをアップロードし、世界に自分のことを語る力を個人にあたえたテクノロジーが、それと同時に、私たちの言語を粗末なものにして、言葉による意想伝達の質を低下させる。」

  • p9
    物理学者ラビの母親は授業のことを毎日質問した。何を習ったかではなく「今日はいい質問したの?」とつねに聞いた。
    p12
    大学ではみんなが好きな先生の授業をとるようにする。専攻に関係なく。学ぶ方法を学ぶには、学ぶことが好きにならなければならない。
    p18
    努力は大事だが、好奇心のほうがもっと大事だ。好奇心の強い子供ほど一生懸命学ぼうとするものだからね。
    p21
    創造ということに関して、はっきりわかっていることがある。二種類以上のまったく違う分野をものにした人間が、ひとつの枠組みでもうひとつについて新鮮な思考を働かせたとき、それが生まれる。
    p31
    親や大学の卒業式で祝辞をいう人間が、「好きなことをやりなさい」といったとすると、それは甘ったるいお世辞ではない。サバイバルの戦略を教えようとしているのだ。
    p45
    アメリカには世界で最も柔軟な労働法がある。瀕死の産業での解雇が容易な反面、五年前には存在すら予測できなかった新興産業での雇用も容易だ。フラット化する世界では、最大のビジネスチャンスがあるところに迅速に労働や資本を配置する柔軟性と、利益を生まなくなった場合に迅速に再配置する能力が欠かせない。
    p110
    政府や企業の任務は、すべての人間に終身雇用を保証することはできない。そういう時代は終わった。今保証しなければならないのは、「雇用される能力」を高められる機会である。
    p112
    われわれ政府や企業は、終身雇用を保証できない。だから、いまよりも高い”雇用される能力”を備えた人間になるためのツールの提供に専念する。適応し、合成し、共同作業を行うのが巧みになるように、知識と経験を身に付けられるように。
    p189
    混乱から簡潔を見つける
    不調和から調和を見つける
    困難のさなかに好機がある
    p190
    「だれもが経済成長を望むが、変化を望むものはいない」
    世界がフラット化すると、できるようになったことは、なんでもなされる。唯一の問題は、それを自分がやるか、自分に対してなされるかだ。
    p201
    グーグルを検閲するような国に新世紀を明け渡してはいけませんよ。
    p297
    検索エンジンが高度化すると、突然、他人の陰口が全部聞こえるようになる。
    人間がみんな犬の聴覚をそなえたらどんなことになるだろう?
    p382
    自由貿易は神の外交政策である。人々が平和のうちに手を結び合う確かな方法はこれよりほかにない。
    p433
    過去の業績がよかったことばかり話すようだと、その企業は苦境に陥っているとわかる。国でも同じだ。
    p439
    ルールは最小限にしてきちんと守らせる。
    p449
    もっといい方法がありますよ、といわれても人は変わらない。ほかに方法がないという結論に行き着いたときはじめて変わる。

  • フラット化にはインドと中国の台頭が大きいと感じた。
    フラット化で先進国であおりを受けるので肉体労働者。
    イシドル・ラビは小学生の頃、母親から毎日今日はどういう良い質問をしたのかと聞かれ、良い質問ができるようになって科学者になった。
    何が低価格を追求するもので、何がサービスを追求する者なのか、その境界がわかるとすごい。
    UPSは流通業から請負の事業に拡大した面白い例。

  • 5年くらい前に読んだ。そして去年インドに少し滞在した。
    名だたるIT企業が各都市に進出して、そこで働くインド人はジム付のタワーマンションに住む。
    オバマ再選の日の新聞ではアメリカ国内の雇用を増やすためにインドへのアウトソーシングに規制をかけてインド経済に打撃をうけるのでは、という記事が目についた。
    日本はそんなにシビアではないけど、英語圏のアメリカは相当仕事がインドに流れているみたい。
    日本も今後はインドやほかのアジアの国に仕事が流れていく可能性は高い(そもそも日本のマーケット自体も縮小しているし)。そんな中で自分の価値を高めていくには何をすればいいのか、これから自分の課題になりそうだ。

  •  よくIMF総会とかに来ている、グローバリゼーション反対デモを理論的に批判してます。またイスラム原理主義の過激派も、自分たちが発展しないのを教義をたてにして妬んでるだけだ、みたいな事を言ってました。まったくその通りだと思います。
     5年程前の本なのに、マイスペースについての言及はあるけど、フェイスブックはたった一回名前が出ただけ。ツイッターは記載なし。仕方のないことだけれども、時の流れの速さを感じました。

  • かなり衝撃を受けたのを覚えています。あなたが寝ている間にというところなどは特に。

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著者プロフィール

ニューヨーク・タイムズ コラムニスト
1953年ミネソタ州生まれ。ブランダイス大学を首席で卒業後、オックスフォード大学で修士号を取得(現代中東研究)。UPI通信に入社し、79年から81年までベイルート特派員。その後ニューヨーク・タイムズ社に移り、ベイルートとエルサレムの両支局長を歴任。その間、ピュリツァー賞を2度受賞。89年に帰国。95年からニューヨーク・タイムズ紙の外交問題コラムニスト。02年にテロ問題に関する執筆活動により3度目のピュリツァー賞。

「2021年 『遅刻してくれて、ありがとう(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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