俺は、中小企業のおやじ

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
3.61
  • (39)
  • (102)
  • (104)
  • (15)
  • (2)
本棚登録 : 702
感想 : 84
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532314385

作品紹介・あらすじ

かつてない危機をどう乗り越えるか。創業期以来の数々の苦境を乗り越え、いままた世界自動車不況に敢然と立ち向かう!スズキ会長兼社長が初めて語る。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ・外注先にコスト削減を強いるのはもってのほか、そんなことをしてはいかんのです。
     それは生産が増えているときにすることです。いまみたいなときは、内なるコスト削減、
     すなわち、おのれのマイナスをいかに減らすかに努力する。材料の質を落とすのではなく
     材料そのものを変えたり、不良率を減らすといった工夫をしたりする。
    ・「会計の基本は2つのポケットだ」それは、「売り上げと儲け(利益)は違う」ということ
     が分かっているからです。
    ・「1位と2位が本気で戦いはじめると、3位以下のメーカなんて木端微塵に吹きとばされる。
    ・「会社というのは、いろいろ手間がかかっても一からつくりあげたほうが、いい結果がでる。
    ・カネと時間がかかるものは大嫌い。会議はその最たるものだ。
    ・『率』は実態を覆い隠す。『個数』と『金額』で判断せよ。
    ・ものごとの延長線上で考えるのはダメだとは思っていました。しかし、与えられた環境のなか
     で最善を尽くすことだけがすべてでした。

  • 決しておごらず、いつまでも中小企業がごとく、1番を取ることにこだわる。生き残りをかけ、巨大な企業に勝つための筆者の経営観が述べられている。豪腕経営者のイメージを持っていたが、記載された文章は暖かく優しい。文章中に散りばめられた、浜松(筆者の出身地は下呂)の仲間とのやり取りがそう感じさせたのでは。

  • 本書は、「スズキ」の当時社長兼会長であった鈴木修氏がサブプライムローン等で厳しい状況にあった2009年に著したスズキの隆盛と同氏の半生記である

    とにかく「即断即決」「現場がすべて」など、会社トップによる「率先垂範」の話が満載で、非常に興味深く読むことができた
    また最後に語録がまとめられているが、これも逸品で、本書を一読後もこの語録だけは再読したいと思うなような内容であった

    また、
    「安くするために軽くする」という考え方は、スズキのクルマづくりの原点です
    というあたりが、スズキらしくて好きです
    こういう考え方のおかげで、自動車は大衆化し、経済活動等の活発化など、戦後日本の発展に繋がったように感じました

    【引用】
    危機は常に社内にあり、このようなときこそ、おのれを見つめ直すチャンスです。苦境に立たされれば立たされるほどファイトがわいてくる。悔いや失敗の連続だったこれまでの私の経験と、そのときどきに抱いてきた率直な思いをつづることで、この最大の危機を乗り越える力としたい。(P10)
    これを私流に言い換えると、「工場にはカネが落ちている」です。ムダを削れば削るだけ、それが会社の利益を押し上げ、社員や株主へ還元される原資が増えるのです。(P101)
    「トップダウンはコストダウン」というのは、「私が即決すれば、スズキなら5分で決断できる」と、このプロジェクトの進展を催促した言葉でもあったのです。(P159)
    私はいざという時、トップが直接乗り込むことは非常に大切だと思います。(P185)

  • 見てくれは確かに中小企業の技術屋オヤジだが、経歴は大卒のバンカー。でてくる話も技術的ではなく、経営理念的な部分が多い。ジムニー開発秘話なんかは読み応えがあるが、それ以外は可もなく不可もなく。ただ鈴木修の人となりを知りたいなら読むべき本。

  • 日本では軽自動車が運転しやすいと、特に最近はそう思います。私自身は、これまでは結構大きめの車でしたが。鈴木修「俺は、中小企業のおやじ」、2009.2発行。「アルト」、息が長いですね! あるときはレジャーに、あるときは通勤に、またある時は買い物に。あると便利なクルマ、それがアルトです」(^-^)。 1979年5月、47万円の価格で登場。でも、小型車もいいけど、歩くのが一番ですね(^-^)

  • スズキ(株)の社長の半生を綴った本。
    なかなか面白かった。

  • 2011.11.16開始〜2011.11.30読了

  • 鈴木会長の信念や思いが飾らない形で表現されていて、親しみを感じた。その言葉の端々に「幸運だった」「これからももっと頑張らねば」という謙虚な気持ちが感じられ、これほどまでの成果を残したお方の言葉とは思えないほど。
    やる気、というシンプルな座右の銘にとても共感した。日頃、そういうことを自分には言い聞かせていても、他人に言うと「やりがい搾取」や「感情論」だとか言われる風潮もあり、なかなか信念を持ってこの言葉を使うことが出来ない。やっぱりそれでいいんだ、という励まされた思いも持った。
    そして、やっぱりダジャレは受ける。

  • 未読。会社にて保管。
    かなり面白そうではある。

    [more]
    序章 いまが最大の危機
    危機は25年周期でやってくる
    竹は折れないが、杉の木は裂ける

    第1章 ピンチをチャンスに変える
    忘れることのできないクルマ
    ヒントは工場の従業員から
    あえて商用車で売り出す
    格上のクルマは不愉快
    35万円でつくって儲けが出るクルマ
    初の全国統一価格
    わからなければ、恥ずかしがらずに人に聞く
    アルトの大ヒット
    軽自動車のルネサンス

    第2章 どん底から抜け出す
    アルトの儲けを設備投資に
    儲けがないなら水でも飲んでおけ
    投資は3年で元をとる
    タイヤは4つあるが排気量はバイクと同じ
    若造が余計なことをしやがって
    代理店の社長経験がないと営業関係の役員に登用しない
    規模でなく中身が重要
    セールスは断られてから始まる
    1位と2位が争ったら3位以下は吹き飛ばされる

    第3章 ものづくりは現場がすべて
    スズキとの出会い
    実態は町工場
    報告される数字はウソばかり
    経営企画室との闘い
    本社を追い出されて工場建設
    35歳以下11名の強行軍
    ケチケチ作戦
    24年ぶりの国内新工場
    スズキ流の理想の工場
    工場監査
    小少軽短美
    工場にはカネが落ちている
    とことん生かし切れているか
    部品共通化――ハーン博士の教え
    技術者の力を引き出すことの難しさ

    第4章 不遇な時代こそ力をためる
    マン島TTレースの優勝
    USスズキの設立
    エンジンをばらしていない日はない
    聞く耳を持ってくれない本社
    東京駐在時代
    ホープ自動車、小野さんとの出会い
    4輪駆動の軽自動車
    製造権を買い取る
    ジムニーの成功で赤字を帳消し

    第5章 トップダウンはコストダウン
    GM 提携
    注目される小型車
    蚊は鯨に飲み込まれない
    カルタスで小型車に挑戦
    対米輸出自主規制の延長
    北米での小型車生産開始
    クルマづくりはGMから学んだ
    サムライ横転事故
    最高の人材を雇えば見返りは大きい
    スズキなら5分で決断できる
    ハンガリー進出
    ユーゴスラビアが本命だった
    現物を持ってこい
    西欧への輸出の道を開く
    スペイン事業の撤退
    後ろ向きの仕事はしない

    第6章 小さな市場でもいいから1番になりたい
    世界に例のない小型車中心の市場
    募集の締め切りはとうに過ぎていた
    表敬訪問のつもりが3時間
    真剣に聞いてくれた社長はミスター・スズキだけ
    国内で1番になるのが難しいならインドでやってみよう
    ガンジー首相との対談
    まるごと焦げ付いても赤字は1期に
    ガンジー家とスズキの縁
    幹部用の個室の壁をぶち壊す
    スズキがインドの労働者の意識を変えてくれた
    苦労した部品の調達
    政権交代と理不尽な要求
    競争にもまれていない会社はもろい
    いきなりメジャーリーグになったインド市場

    終章 スズキはまだまだ中小企業
    軽規格改定とワゴンR
    売上高が大きければ大企業、という時代ではない
    難しい後継者選び
    小野君の死
    生涯現役

    あとがき
    鈴木修語録
    年譜

  • タイトルの通り、鈴木社長は中小企業の経営者のように、謙虚で背伸びをせず、1円単位でのコスト削減に勤しむ現場主義の経営者である。社長就任時に3000億程度のだった売上を、3兆5000億までに拡大させたその手腕は、稀有なものであるのは疑いの余地がない。インドやハンガリーにいち早く進出することで先行者優位を享受できているもの、同社長の英断あっての結果であろう。

    同氏は、例えば何かの会合に車で行く際には必ず自社の軽自動車で出向くという。高級ホテルの車止めに黒塗りのスズキの軽で堂々と乗り付けるという。自社製品に対して並ならぬ誇りを持っている事がわかる。(日産のゴーン社長は、一般道で接触事故を起こした際に、プライベートでポルシェを乗り回している事が発覚した事がある。日産の社員は大いに落胆したことであろう。)

    一方、スズキに対して投資する気はどうも起きない。その最大の原因は、鈴木修氏の強烈な個性とワンマン体制であり、彼の目が黒いウチは安泰であろうが、その後のシナリオが見えないことだ。カリスマ過ぎて、社員や幹部が鈴木氏にモノを言えないような空気があるのではないかと思ってしまう。また、極限までのコスト削減に依存した経営は、企業の本質である価値の創造とは逆の方向性でもあり、今後どのようにしてその価値を作り出していくのかということが不明ということである。

全84件中 1 - 10件を表示

鈴木修の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×